網走ブルワリー・桜ドラフト
網走ビール。
日本の色ものビール界に燦然と輝く「流氷ドラフト」で有名なブルワリーさんだ。
技術力が無い色物ブルワリーかといえば、全くそんなことはなくて、ホワイトエールやゴールデンエールを飲めば、しっかりした味に逆に驚かされる良いブルワリーさんである。最近だとアルチザンエールも良いビールだった。
そんな網走ビールの期間限定品、桜ドラフトを入手。
ピンクのラベルに「桜の花びら使用」の文字から方向性はわかる。
果たしてそのお味は?
うん───「桜の───風味がする」
日本人がイメージとして持っている華やかでフルーティーな桜の香り。
麦芽率の低さを感じさせる薄めのボディに桜の風味が乗って、サッパリして軽くフルーティー、ほんのりとした甘さもある面白いビールになっている。
ちょっと待って?
「桜の風味がする」と書いたがそれはおかしい。
食品の香りに詳しい人ならご存じだろうが、ふわっとイメージする「桜の風味」「桜の花のような風味」は、桜を原料にしても普通では出てこない。
桜の花(塩漬けの花)や葉っぱから出る香りは、桜餅の香りだ。
その正体は「クマリン」。超ハーブ系の香り。
フルーティーで「花のような」香りではない。
だいたいのブルワリーが作る桜ビールもだいたいクマリン香がするビールにだし、なんなら世の中の桜サイダーとかもクマリンの香りだ。
しかし、この桜ドラフトは違う。
確かにクマリンの香りもあるが、それより何より「桜」のイメージ(花のイメージ)に近い香りと風味がある。
これは何を使ってるんだろう……と、しばし考えて思い当たったのは、サクランボの香りと味。
ラベルの原料欄には「糖類、麦芽、ホップ、桜花、着色料、香料」と書かれている。
この香料がサクランボではないかと思われる。
そういえば網走は日本最北端のサクランボの産地で、網走ビールでも桜桃の雫というチェリービールがあるし、可能性は高い。
ローモルトで飲みごたえなどは皆無に近いため「美味い」ビールかと言われると首をかしげてしまうが、面白いビールであることは間違いない。
春にみかけたら是非1度試してほしい銘柄だ。
私も来年みつけることができたら再チャレンジしてみたい。