ファウンダーズ・マスアガヴェ・グレープフルーツ
今回も美味い。私が2021年に飲んだ中で一番のお気に入り。
テキーラ+グレフルの甘酸っぱいカクテル的ビールとバレルエイジの濃い味のミックス。アガベっていうのはテキーラの原料「リュウゼツラン」のことです。
実際、メキシコで人気のあるテキーラ+グレープフルーツ+塩の「パロマ」というカクテルにインスピレーションを得たとかなんとか。
具体的にはインペリアルゴーゼを作り、アガベと海塩と一緒にテキーラ樽に入れてエイジング。そしてグレフル果汁を加えてフィニッシュした製法らしい。原料にライムと書いてあるがどのタイミングで入れたかは一応は謎……。実はこの銘柄の以前にマスアガヴェ・ライムという銘柄があって、そちらではエイジングの際にライムを加えてたようなので、たぶんそこだろ。
話がそれたが。なんというかこのビールの感想を書こうにも、要素の掛合わせが幾重にもなった上手い設計過ぎて、1軸だけで説明できないのでちょっと長文になるのですが。
まずゴーゼ。
ゴーゼは乳酸発酵させて塩を加えたスタイル。ちょっと塩ヨーグルト的な風味があるトラディショナルなゴーゼではなく、アメリカで発展した爽やかな塩気のサワーエールなゴーゼ。酸っぱ美味くて少しミネラルで爽やかなビールではあるが味わいがやや単調なので、フルーツゴーゼのように他の味わいを加えるタイプが主流ともいえる。
さてそれでこのマスアガヴェについてはですね、度数が高く味わいの濃いインペリアルゴーゼになってる。だからテキーラの風味やグレフルの風味にも一切負けない。ボディも濃いので飲みごたえあり。
テキーラ。花やフルーツ的な香りとフルーティーさが、乳酸やグレフルとマッチングして全体を爽やかにしている。インペリアルゴーゼならではの度数の高さから、蒸留酒のテキーラらしさも漂わせる。
グレープフルーツ。ゴーゼの酸味、テキーラの風味とよくマッチングして甘酸っぱく爽やかである。グレフル特有のほろ苦さはホップと重なって全体を影で整えてる。
塩。グレープフルーツとの組み合わせで涎がでるような甘酸っぱさを出している。グレフル+塩に酒を加える相性の良さは、カクテルのパロマ以外にもソルティドッグ(塩+ウオッカ+グレフル)でも証明済み。
樽。それほど強くはないが適度なウッディさがあり。ゴーゼの単調さとグレフルの甘酸っぱさで、やや一本調子になりそうなところに複雑さと深みを加えている。甘さの部分にかかると、黒糖のようなニュアンスがでたりする。
ゴーゼ、テキーラ、グレープフルーツ、塩、樽。互いが互いの弱点を補い長所を乗算する。
バレルエイジドタイプは風味が煩いのもけっこうあるけど、ここまで綺麗にまとまって楽しめるのも中々ないと思う。気になった人は飲もう。ほんとおすすめですよ。
ファウンダーズ・マスアガベ・グレープフルーツ
スタイル:インペリアルゴーゼ、バレルエイジドビール
国:アメリカ
醸造所:ファウンダーズ醸造所
原料:麦芽、ホップ、アガベ、ライム、グレープフルーツ、塩
アルコール度数:10%