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TEST RIDE BETA ENDURO MY2024 - イタリアのレース哲学、その結晶
Enduro GPの現場からフィードバックした技術をエンドユーザーに提供する、レーシングに立脚するメーカーが自信を持って送り出す最新モデルをアローザでテストする。
Text : Hisashi Haruki
Images : Masanori Inagaki
まさにプライスレスの価値
レーシングに立脚するイタリア企業が、レース、コンペティションを愛するライダーのために、一貫したフィロソフィーに従って開発し続ける製品群である。トライアル、エンデューロの両方で常に世界タイトルを競い、そこで培われたテクノロジーが形もそのままにユーザーに届けられる。すでに昨年10月のことになるが、日本のディストリビューターであるBeta motor Japanが開催した2024年モデル試乗会で披露された2ストローク、4ストロークのエンデューロモデルもまったく同様だ。フルモデルチェンジではないが、着実にアップデートされ、現代のエンデューロにマッチした性能をエンデューロライダーに提供する。
レーシングに対する情熱は、Beta motor Japanにも完全に受け継がれ、日本のエンデューロ、ハードエンデューロにフルシーズンでサポートチームを派遣し、現地でのパーツ供給、テクニカルサポートを行う。このことは、レーシングマシンとしてBetaを購入したユーザーに、車両価格をはるかに超えるバリューを約束するものだ。全日本エンデューロ選手権でのタイトル獲得、ハードエンデューロ選手権での数多くの勝利はもちろんだが、多くのアマチュアレーサーに愛用されるようになった大きな理由のひとつが、この充実したアフターサービスにあるといえるだろう。
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奇をてらうことがなく
基本に忠実な開発姿勢
現在のBeta(Beta Motor S.p.A)による初めてのエンデューロモデルは、2005年モデルとして発売されたRR4Tシリーズである。KTMのEXC-Rシリーズに搭載されていたOHCユニット(2000~2008年)を、Betaが開発したオリジナルのシャーシに積んで仕上げたもので、排気量は当時のKTMに準じ350、400、525をラインナップした。しかしこれらは日本ではわずかしか販売されず、世界的にも大きなセールスとなっていない。
Betaの完全なオリジナルのエンデューロモデルは、2010年に登場した、DOHCの400ccエンジンを搭載したRR4Tである。排気量バリエーションは400/450/525をラインナップ。レースではドギー・ランプキンのライディングによってイタリアのヘルズゲートエクストリームエンデューロなどで活躍。その後、2ストロークエンジンのRR2Tもラインナップに加わり、徐々にユーザーを増やしていく。Enduro GPでは、BetaのサポートチームだったBoano Racingが活躍。2016年にスティーブ・ホルコムによってRR2Tの300ccモデルが初めてタイトルを獲得。以後、ホルコム、そしてブラッド・フリーマンによって多くのタイトルを重ねることになるのは、みなさんには改めて言うまでもない。
Betaのエンデューロモデルは極めてコンベンショナルな構成で、特異なフィーチャーは見られない。もっとも人気がある2ストロークの250/300モデルでは、伝統的、裏を返すと現代的ではないとも言える味も残しているほどだ。それは同時に、基本的な性能、シーズンを通じてレースを戦うために必要な信頼性、耐久性に優れるという意味でもある。
最近のモデルでは、エンデューロの実戦における整備性、携帯できるわずかな工具で、簡単に短時間に整備ができるように意識したデザインが多く見てとれるようになった。これは長年、シックスデイズで鍛えられてきたKTMのそれにも非常に良く似て使いやすく、ユーザーにとっては歓迎する以外にない。Betaのバイクがレースの現場で開発され、マスプロダクトのコストの論理に浸食されない、本物のレーシングバイクであることを証明するものだ。
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