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「楽しむ」ボランティア

タイトル写真 : 2003年のBAJA500。国道を封鎖し、レーシングマシンを誘導するボランティアスタッフたち。彼らのおかげでレースは成り立っている…と言うと偉そうだが、じつは彼らも交代しながら青空の下でビールかっくらったりしてそれなりに楽しんでいるのだ


photo & text : MIKAMI Katsuhisa

 カリフォルニアで行われている数々のサンデーレース・イベントの多くは、ボランティアの存在抜きには語れないものだ。ユタ州のソルトレイクで乗り物の世界最速を競う世界的に有名な大会である「ボンネビル」もそうだし、その対極にあるような商業的イベント「X Games」も、じつはボランティアによってその運営が支えられている。そして、僕があちらこちらで声高に面白い面白いと言いふらしているSCORE BAJA1000ももちろん、そうだ。
 BAJA1000に参戦するドライバー、ライダーの数はおおざっぱに言って毎回おおよそ300チーム~400チームほど。そしてBAJA1000の場合、複数のライダー、ドライバーでチームを構成するケースがほとんどなので、ライダー、ドライバーだけで1000人程度! 集まっていることになる。
 そして、それらのチームをサポートするチームメンバーが平均4人として(なかには100人くらい来てるんじゃないかってチームもあるけど)やはり1000人程度。これに加えてピットサービスを行うチームが20やそこらはあり、それぞれがコースの途中に10~20のピットに2人~10人程度のスタッフを置くピットを設営するから、これだけでも少なく見積もって20×10×4で800人程度。加えてオフィシャルスタッフの人数もかなりのもんだから、BAJA1000では4000人以上の人間がレースを追って動いているわけだ。
 そして、それらのうちの多くがボランティアである。主催であるSCOREですら、常時オフィスにいるのはボスのサル・フィッシュと、参加者全員の面倒を快く見てくれるスー・ジョンソンの2人だけ。それ以外の膨大なスタッフはほとんどがボランティアなのだそうだ。ちなみに日本からも、村田千秋さんがもう15年以上もボランティアとしてBAJA1000に参加し、日本人エントラントのサポートを行っている。
 BAJA1000のコースサイドで、とあるアメリカ人ボランティアに参加する理由を聞いてみたら、ずばり「バケーションさ」と言っていた。なかにはクルマやバイクにはまったく興味のない単なるアウトドア好きもいたし、家族でメキシコを楽しむついでにボランティアとして参加してる、というファミリーもいた。つまり、彼らの多くはボランティアとは言っても楽しむために参加しているのだ。
 僕が毎年のようにカリフォルニアを訪れるようになって15年ほどたったが、その間にカリフォルニアに住む日本人やアメリカ人たちと接してきて思ったことは、BAJA1000に参加するスタッフがもってるようなボランティア意識が非常に高いことだ。しかし、そのボランティア意識とは、日本でのいわゆる「ボランティア精神」とはやや異なるものだと感じている。彼らにとっては、ボランティアもまたレクリエーションの一環なのだろう、と感じるのである。
 しかし、日本で言うボランティアという言葉は、

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