SILK WAY RALLY 2021 - 梅田真祐インタビュー No.236より
ロシアのオムスクからウランバートルへ。中央アジアに展開する壮大なラリーはパンデミックによる制限で突然のルート変更を余儀なくされた。波乱のラリーにSSVで挑んだ日本人ドライバーに訊く。
2020年のアフリカに続き、今度は中央アジアの壮大なラリーに挑んだ
FIA/FIMクロスカントリーラリー世界選手権2021
シルクウェイラリー
2021年7月1~11日
あくなきチャレンジ
-- シルクウェイラリーへの参加を決めたのはいつ頃だったんですか。
梅田 : 今年の2月でした。アフリカエコレースが中止になって、去年のアフリカで知り合ったヨーロッパの人たちが、シルクウェイのことを話題にしていたというのもあるし、COVID-19の状況で、日本から行ける国も限られている中で、調べると、シルクウェイなら行けそうだということが分かって、それで準備を始めたんです。なんでこんな時期に? って考える人も多いと思いますけど、スガワラ(菅原義正)さんの影響が大きいかな? どんな状況になっても自分ができることを淡々とやる。そうやって物事を実現させていく力に見習って、という感じかな。年齢的にも、いろんなことを先送りにしていられなくなってきたし、やれることはやっておこうといったところです。
-- なぜシルクウェイだったんですか?
梅田 : 今言ったように、ロシアとモンゴルなら渡航が比較的スムーズだと考えました。平時だったらモンゴルはビザも要らないし、ロシアもビザの取得は難しくないですから。それになんといっても、国境をまたいで走るラリーだということ。それとモンゴルというのも魅力を感じましたね。過去に2度モンゴルを走った経験もあって、地形の特性もある程度は理解しているつもりなので、大きなミスをしなくて済むとも考えました。
-- 2020年のアフリカエコレースは自分で購入したヤマハのSSVでした。今回のクルマはどうやって準備したんですか?
梅田 : 4輪のレースって、実はドライバーが自分でクルマを製作して走るというのは珍しいんです。大きなレースになるほどそうですね。チームがクルマもメカニック、サポート体制も用意していて、それにドライバーがお金を持って行ってシートを得る、という形が普通なんですが、今回は、ポラリスのファクトリーチームである「エクストリームプラス」というチームを見つけて、そこにコンタクトしました。SSVでは、このポラリスとカンナムがラリーの経験が豊富なんです。もちろん結構お金はかかります。
-- いいチームでしたか?
梅田 : すごく良かったですよ。クルマは完全に仕上がっているし、ナビゲーターもダカールもFIAの選手権も経験豊富で。ドライバーは「とにかくドライビングにだけ集中しろ」と言われて。パンクしてもドライバーはクルマを降りちゃいけないとまで言われました。ナビが全部やるから心配しなくていい、シートベルトを締め直す時間だけロスになるから、そのまま乗っていろ、と。前回のアフリカはナビもいないシングルハンドだったので比較にならないですけど、ドライバーはメーターすら見なくていい。メーターその他の計器類もナビが見るように作ってありますから、とにかくナビの指示だけを聞いて、目の前の路面にだけ集中することができました。
-- アフリカエコレースではマシントラブルもありました。
梅田 : ノウハウもほとんど持っていませんでしたからしょうがなかったですね。初めてながら、スガワラさんに相談しながら、自分で選んだ部品や改造方法だったのでトラブルには納得しています。今回はマイナートラブルもなく、本当にレースに集中できたラリーでした。
アフリカに比べて渡河の多いコース
オムスクのスタート
緊迫のビバーク
-- ロシアからモンゴルのウランバートルを目指すラリーでしたが、モンゴルに入れずに短縮されました。
梅田 : 2日目の夜のブリーフィングでそれが発表されました。その直前から、なんとなくオーガナイザーの人たちの態度から何かを感じてはいましたが…。公式には、モンゴル国内でCOVID-19の感染拡大が深刻になっていて入国するのが危険だから、という発表でしたが、ロシアとモンゴルとの間で調整がうまく行かなかったのかも知れません。モンゴルに入れない、ということはある程度想定されていたと思います。というのは、モディファイされた短縮ルートのロードブックやナビに必要なデータはきちんとできていたからです。
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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記…
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