山本アヤト、ついにG-NET制覇 - G-NET2021 R3 HINO HARD ENDURO - No.238より
G-NET全日本ハードエンデューロ選手権 第3戦
2021年11月14日 群馬県
Report and Images:Satoru Ii(ANIMALHOUSE)
26歳、山本礼人
10年目にして掴んだ栄冠
2021年は日本のエンデューロシーンが大きく動く年になった。JNCCでは馬場大貴が、JECでは飯塚翼が、そしてG-NETでは山本礼人が年間チャンピオンに輝いたのだ。共通するのは全員が20代で、そして初チャンピオンということ。異なるのは馬場はモトクロスIA、飯塚はモトクロスIBだが、山本はノーライセンス(今年エンデューロNBを取得)の自転車トライアル出身という点だ。
2011年、16歳でハードエンデューロの門を叩いた山本は2014年からG-NETに参戦。2015年にはサハリンの極東ハードエンデューロ選手権に出場。2018年にはトルコSEA TO SKYにて、シルバーメダルを獲得。2020年には、チャンピオンの水上泰佑とともに台湾の亀山ハードエンデューロに参戦、台湾や韓国の猛者を抑えて優勝するなど、若くして海外レースの出場経験も豊富なライダーだ。
そんな山本だが、2020年まではG-NETで優勝するレースはあったが、成績が安定せず、常にランキング上位にいるものの、チャンピオンにはあと一歩及ばない年が続いていた。2018年には高橋博と最後のヒルクライムまでチャンピオンの座を争い、惜しくもランキング2位に終わるという経験もしている。
しかし、2021年はレースに集中できる環境が整い、JEC全日本エンデューロ選手権への参戦の経験も大きかったのか、山本の走りは一味も二味も違っていた。開幕戦CGC奈良で勝利を収めると、第2戦広島でも優勝。そしてこの第3戦日野でも圧倒的なレースで優勝を手にし、最終戦を待たずしてシリーズチャンピオンを決めてしまったのだった。
G-NETライダーの多くは土曜日から会場入りし、入念なコースの下見を行った。しかし日野はコースの一部を「下見禁止エリア」としており、前日の立ち入りを禁止。下見を終えた高橋曰く「一周できないかもしれない」というコースは、近年のG-NET戦では最難と言っても過言ではなかった。
その主な原因は今コース中唯一、難易度5がつけられたセクション「エムスリー」だ。下から見上げると、全く頂上が見えないロングヒルクライムで、太い木々が密集している中を縫うように駆け上がっていく。常設コースである日野だが、G-NETで使われるセクションのほとんどは普段は走行禁止となっており、さらにこの「エムスリー」は今回のために開拓された完全な新セクションであったため、ラインもほとんどついていなかった。
下見を終えた山本と水上は「中段で一度コーステープが狭くなって、そこがエムスリーの本当の入り口。そこからが本番」と難色を示した。
もちろんその他にも難しいセクションはいくつも存在する。近年のG-NET日野で多くのライダーをふるい落としてきた「壁」こそ使われなかったものの、「ワイヤーマウンテン」や「BOCヒル」などが主な難所となった。さらにレース当日となる日曜日の朝にはスタート直後のフラット路面を重機で豪快に掘り返し、第1セクション「穴」が誕生。
関東では珍しいマウンテンコースである日野カントリーオフロードコースだが、日野の開拓スタッフはその広大な敷地を生かして毎回新しいセクションでもって全国から集まるライダーを歓迎してくれる。
レースをリードした大塚
超難関セクション「エムスリー」
レースがスタートすると、一番手で「穴」を抜けていったのは鈴木健二だった。続いて大塚正恒、木村つかさ。山本はアウト側のラインを選び、スタックしてしまい出遅れ。水上はその山本の横を抜け、中盤で立ち上がっていった。また、CGC、広島と5位に入っている原田皓太はスタート直後にエンジン停止トラブルがあり、最前列の最後尾。さらにその後のモトクロスコースでも再びエンジンに不調があり、後続のハードクラスに埋もれてしまった。
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