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不定期連載 レゴラリータ

不便だからこそ気づくこと

文 / 佐藤加世子
写真 / 佐藤敏光

エンデューロやトライアルなど決まったエリアの中だけでなく、自然の中に分け入ってレースが開催されるような場合、一番困るのがトイレである。
 男の人はいいな…と思うことの一つにこのトイレ事情がある。ウンチはイコールコンディションとしても、オシッコがしたいのにトイレがない時、女性は困り果ててしまう。ズボンやパンツを下ろさなくても用が足せる男の人が本当に羨ましい。正面さえ気にしていれば、後方はあまり気にかけているようにも見えない。余程の街中でない限り、いつでも何処でも、世界中がトイレみたいなものなんでしょう? と、思う。
 バカンスを利用して、どちらかと言うと辺鄙な国を旅することが多いフランス人女性が教えてくれた。インドなど、あまりトイレがないような国を旅する女性は「ズボンの上にヒラヒラのスカートを着用すべし」と聞いた。彼女の説明によると、スカートの両方のポケットの底を切って手が入るようにし、スカートの中でズボンとパンツを下ろし、用を足すときはパフっとさせたスカートの中ですると、周りからお尻を見られることはないのだそうだ。確かに名案だが、どこの国でも使える方法ではないかもしれない。
 トイレにもお国柄があって面白い。サーキット内に設置された簡易トイレはほとんど無料だが、どういうわけかベルギーだけは有料だった。トイレエリアの入り口に「トイレおばさん」が座っていて、まずはテーブル上の料金箱にコイン(当時は約20~30円)を入れる。すると雑巾みたいな布を片手に、こちらですとトイレのドアを開け、便座を拭いてくれる。でも、使いまわしの雑巾は果たしてキレイなのか、全く信頼は持てない。そして、あらかじめ一定の長さに切って重ねてあったトイレットペーパーを1つ手渡される。なんだかなぁ…余計なことしてくれなくてもいいのにと、いつも思いながらコインを握り締めて並んでいた。

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