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Roadbook 三橋淳 「デジタルか、紙か?」 No.248より

 2023年のダカールラリーの写真、だそうだ。私がダカールラリーを最後に走ったのは2016年。すでに8年も前の事だから、今のダカールラリーの写真を見せられても、コメントしようがない。ので、単純に解説するということになる。
 本来なら2023年には紙のロードブックを廃止して、デジタル化されるはずだった。けれども、ライダーからの反対で延期になったという経緯がる。なんで反対したんだろ? みんなはどう思う? 紙の方が便利? 馴染みがあるから? 見やすい? 壊れたら困る? 日本では競技としてのラリーはそう多くはないけれど、その全てが紙のロードブックだから、デジタル化って何の意味があるの? ということになる。
 ダカールラリーでは4輪やカミオンクラスはすでにデジタルデバイスのロードブックとなっていて、紙が使われているのはバイク部門だけ。なんで? 
 私が出ていた頃はロードブックはゴールした時に翌日分を渡される。ところが今はスタート15分前だ。なぜか? それはワークスチームのロードブック解析を避けるため。いくつもデータを持っているチームは、ルートマップを見ればどこを走るのか? が大体わかってしまう。走るところが分かれば今やGoogleマップで衛星写真が簡単に手に入るので、ルートのイメージが湧きやすい。それでどのくらいガソリンを積んでいくのか? セッティングはどうするのか? という作戦を立てることができる。アドベンチャーを推しているダカールラリーとしては、ハプニングを期待するのだから、ルート解析されたら困る、というわけ。
 だから今はそれを防止するために。ロードブックはスタート15分前に配られるし、またロードブックへの書き込みも禁止。色塗りも主催者が用意したものをそのまま使わなければならない。ロードブックに手を加えることが一切禁止されている。
 となれば、デジタルデバイスで配った方が主催者は楽だし、何より印刷しなくて済むので手間も減る。ルート変更のアナウンスだって、以前はブリーフィングでイチイチ説明して修正しなきゃいけないが、デジタルデバイスならしれっと入れ替えておけばいい。なにしろ選手が見るのはスタート15分前なんだから。

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