JEC 2021 R1レポート「飯塚がケンジに肉迫したマディの開幕戦」 No.234より

2021年6月25日 15:00

COVID-19感染拡大、その緊張感が続く中、今年もJECが開幕。ライダーたちを歓迎したのは降り続ける冷雨。スペシャルテストは、見たことが無いぐらいのエクストリームコンディションに仕上がっていた。

MFJ全日本エンデューロ選手権
第1戦 2021年3月28日テージャスランチ(広島県)

Photo Report : Masanori Inagaki
Edit : Hisashi Haruki

4ストロークのShercoを得て好調。後半、鈴木健二を追い詰めるタイムも出したIAクラス2位の飯塚翼。

成長するシリーズ

　昨年11月下旬の最終戦SUGO2デイズから約4ヶ月の短いブレイクで、2021年のオープニングラウンドを迎えた。テージャスランチは、この開幕戦の前に大幅な路面補修が行われ、これまで難易度の高かったトレイルも林道のように走りやすくなっているはずだったが、降り続く雨の影響で、移動区間のルート、スペシャルもすべてスリッパリーなマディコンディションに仕上がった。

　JNCCのようなクロスカントリーレーシング、CGCのようなハードエンデューロに比較すると人口が少ないクラシックエンデューロのJECだが、それでも、昨年もほぼ毎ラウンドで定員を満たす活況が続いている。この開幕戦も定員オーバーで当日を迎えることになった。COVID-19状況における消費動向の変化も影響していると思われるが、わずかずつ、比較的若いライダーの参入が続いていることも関係しているはずだ。これは15年以上に渡って着実に公式シリーズとして成長してきた結果ということができるだろう。

IAクラス3位。思ったようにはタイムを出せなかった保坂修一 GASGAS

IBクラス2位の富永陽平 HONDA

IBクラス3位と健闘した月原邦浩 YAMAHA

雨中のスタート。

　IAクラスでは、ディフェンディングチャンピオンで、昨年からBetaを走らせている釘村忠が思うようにペースを上げられずに苦戦。一方、釘村の最大の競争相手である鈴木健二(YAMAHA)は、激マディの路面をフルスロットルで飛ばし一番時計を連発して首位に立ち、そのままリードを拡大。釘村は、4ラップでエンジンストール。釘村の2ストロークBetaに再び火が入ることはなく、そのままリタイアとなってしまった。開幕戦にしてノーポイントのハンデを背負い込む結果。

　釘村が抜けた2番手争いは、若手の二人。まずは保坂修一(GASGAS)がリード、続いて成田MXパークでのライディング仲間であり、ライバル関係にある飯塚翼(Sherco)が追う展開。飯塚は次第にペースを上げ、保坂をかわして2番手に上がったかと思うと、後半は鈴木健二を抑えてトップタイムをマーク。

4ストロークShercoの飯塚は、最終ラップまでに鈴木との差を2秒11まで詰めてきた。

若手の台頭が目立つ

　ワキタソフトのライブタイミングで、飯塚が僅差で迫ってきていることを知った鈴木は最後のテストでラストスパート。好調の飯塚もIAクラスでの初優勝を期してShercoのクラッチをつなぐが、テスト後半のヒルクライムで失敗。大きくタイムロスして鈴木との差は拡大する結果に。勝利に手が届くところまできて、惜しくも2位で開幕戦を終えることになった。

　「今年はエルズベルグロデオに出ることもあって、ハードエンデューロに力をいれています。世代交代もそろそろ、と思っていますし、チャンピオンを狙うつもりはないんですが、今日は朝から乗れてましたね」という鈴木健二。

　一方の飯塚、初優勝は逃したものの、2位は自身にとってIAクラスでのベストリザルトだ。「最終ラップでやっちゃいましたね。もう少しラインを見ておけばよかったんですが…。今日は、序盤にかなり攻めていたつもりだったんですが、うまくタイムに繋がらなかったんです。それで中盤にラインを思い切って変えてみたり、落ち着いて走るようにしたらタイムが出たんですよ。今年から4ストにしたのも、よかったのかもしれません」。

　また3位の保坂修一は「序盤は良かったのに、だんだんと荒れていくコンディションに対応できませんでした。実力不足ですね。1番時計をひとつ出せたのは良かったと思います。今回は、本気で1位を獲りにいくつもりだったから悔しいですね」。保坂は今年から新生GASGASにスイッチ、地元の千葉から大阪に拠点を移し本腰を入れてエンデューロに取り組む。

NAクラス3位、森慎太郎 Husqvarnaのアグレッシブな走り