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GNCCの道場破り - 屈辱の4年間から立ち上がったUSオフロードシーン - エンデューロ日記 No.35

ジョセップ・ガルシア(スペイン)とスティーブ・ホルコム(UK)は、ENDURO GPにおいて世界タイトルを持つライダーであり、現役でトップ争いをしている2名であるということを改めて知っておきたい。

2005-2008   GNCCに起きた事件


ヨーロッパで開催されるENDURO GP(FIMエンデューロ世界選手権)の開幕前に、KTMファクトリーチーム、Betaファクトリーチームに所属するこの二人が、アメリカ最大のオフロードレーシングのシリーズ戦であるGNCCにスポット参戦した。

あるいはどちらかが優勝するのではないか、と期待していた人も少なからずいるはずだ。それぐらい、この二人の強さは特別だし、GNCCに殴り込みをかけて「道場破り」を果たした過去の欧州ライダーたちの実績もある(これは後述する)。

現在のENDURO GPは、スペシャルテスト1本での爆発的な速さと、それを2日間維持する強靭なフィジカリティを必要とし、そのためライダーたちのトレーニング量は、まさに逃げ出したくなるほどのものだ。

一方で、GNCCライダーたちの速さ強さも世界が認めるところになっている。それを証明しているのが、年に一回開催されるISDE(FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ)における、近年のUSA代表チームの活躍だ。

2016年スペイン大会で史上初の優勝を遂げて以来、常に優勝争いの「台風の目」となり、2019年にも優勝。23歳以下のジュニアチーム、ウイメンズチームでもトロフィを獲得してきた。

そのUSA代表チームの核となっているのが、現在のGNCC出身ライダーたちなのだ。

GNCCは、3時間のタフな耐久レースである。そこで通用するフィジカリティは、もちろん、ISDEのような競技でも強みになる。だが、かつてのUSライダーたちは、ISDEでも、もちろんENDURO GPでも強いというほどの存在ではなかった。GNCCもそれほど注目されることはなく、人気があることは知られていたが、強いライダー、世界レベルでの競争力を持つライダーが育成される場として認識されているわけではなかった。

それを大きく変えたのが、2005年から2008年にかけて起きた事件である。

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