人生最後の一台 - TL125バイアルス 柏秀樹の場合 No.243より
ある日、あなたの前に神様が現れてこう宣告する「あなたはこれまでにいろいろなバイクに乗ってきたが、ついに最後の一台を選ぶ時がきた。あなたが手に入れることができるのはあと一台だけ。その代わり、世界中に存在する、あるいは存在したことがあるどんなバイクでも選ぶことができる」。さあ、あなたが選ぶ人生最後の一台とは?
第3回 : 人生の先輩とTL125
Text : 柏 秀樹
人生最後のバイクというと簡単に2つの候補が上がった。ひとつはスーパーカブ。C50やC90で全国あちこち走り回ったが人生最初のバイクは500円で買ったポンコツOHVのC100カブ。バイク屋さんの裏に放置されていたが、何も問題なく走ることができた。
高校時代は空き地に行ってはC100でダートラごっこをやっていた。日本でダートラなんて言葉はまだ存在せず、私もそんなレースがあることも知らず、アメリカで一気に普及し始めていた60年代後期に私はカブに乗ってグルグルしていたというわけ。
モトクロスよりもはるかに単純で、誰かと競わなくてもバランスをとって走ることが十分に楽しい。誰から教わるわけでもなく、「ダートラもどき」を純粋に楽しんでいた。
スーパーカブとの出会いがそんな感じだったためかオフロード系が好きだけど、サーキットやワインディング走行の快感も今なお求めてやまない。「ダートラもどき」から40数年間にわたり仕事だけではなく趣味としてもバイクで走り続けた。
プライベートで65台以上のバイクを乗り継いだ。雑誌社の依頼で新型車などを山のように乗った挙句に、人生最後のバイクがスーパーカブというのはあまりにも意外性が少ないし、自分としても直球過ぎるという思いにたどり着いて、次の候補がサッと思い浮かんだ。
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