多ブランド化の背景 - TEST RIDE GASGAS EC250F - No.235より
マッティグホーフェンはなぜここまでの多ブランド化を推進するのか。その背景、プラットフォームインダストリーの本質。
Test & Text : Hisashi Haruki
Images : Masanori Inagaki
レーキシステムはBRAKETEC製を採用
シングルトラックでの扱いやすさも際立つ
多ブランド、多国籍
プラットフォームインダストリーと呼ばれる。基本設計を同一にしたプラットフォームを土台に、複数の、それぞれに個性がある製品を作り出すことだ。これは、電気自動車の分野でも本格的な流れになると考えられている。ひとつの優れた設計のシャーシを使って、用途やユーザーの嗜好に合わせた多様な完成車を生み出していく。
ただし、マッティグホーフェンによるプラットフォームインダストリーは、そこまでのマスプロダクト化を目的としたものではない。
KTMグループによる複数ブランドのプラットフォームインダストリーは、まず、フサベルの吸収に始まり、続いて2014年、Husqvarnaブランドの1ドル買収から本格化する。
2015年に来日した、当時、Husqvarna部門のセールスマネージャーとしてブランドを率いたオリバー・ゴーリング氏は次のように話している。
「私たちが作るモーターサイクルは世界最高のものでなければならない。最高のものというのは、唯一の、という意味を含む。そうである以上、KTMとHusqvarnaが共通の基本設計を持つのは当然だ」。
そうはいいながら、Husqvarnaには、KTMには無いいくつかの特徴が当初から持たされている。大きくはリンケージシステムを持つリアサスペンション(KTMはリンクレスのPDSだ)、樹脂複合素材のリアフレーム、そして全体としてはKTMよりも贅沢なパーツが奢られていて、プレミアムなブランドであることを主張。単なる兄弟車ではない、という誠実さをそこに見ることができる。
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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記…
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