15年前、LolinaとDean Bluntに誰もついていけなかった理由
実はめちゃくちゃ長い間やっていたLolinaのアルバムの日本盤が本日13日に発売します。
Lolinaは言わずもがな Inga CopelandとしてDean Bluntと共にHype Williamsとして2007年から2012年まで活動。
結果、Hype Williamsは2010年代そして現代2020年代の音楽シーンへ多大なる影響を与えることとなったのですが、彼らがとんでもないのは彼ら自身は大否定すると思いますがファッションの歴史も動かしたといった事実です。
ノームコア。
それは日本人の99.999%、日本のファッション界の90.999%が誤って解釈したまま日本に浸透し今に至るファッション・ムーブメントを指す言葉(ファッション以外にも使用される)であり、ウィキペディアによるとそれは2008年に初めて使用され、2013年にはトレンド予測グループK-HOLEによって使用されるもその際は服装のことを指さず態度を指していたが、翌年の2014年にはオックスフォード大学出版局による今年の新語の次点に選ばれたそうです。
ノームコアの話に関しては2014年から2020年の間に何度も書いたり聞かれたりしてるので気になる方は下記の記事をチェックください。
しかしリンクはかなり外れているのもあるししインターネットラジオ局i-radioもブログ・サービスであるヤプログ!もすでに存在していないし、いやはや時の流れを感じます。
2014年:
2015年:
2020年:
改めてましてノームコアを正しく理解しなかった日本人の損失は計り知れないものがあります。
それは現在もまた今後数十年に渡って我々に重くのしかかるに違いない…
となぜ年寄りになるとやたらめったら世を憂うのでしょうか。
おそらく憂いて憂いて自分より若い者たちを自分より不幸にしたい、是非なってもらいたいという年寄りの願望からと私は思うのですが、確かに私も親や年寄り達に「おまえらの世代の未来は大変だぞ」と散々脅されるも「いや戦争あったおまえらの方がどう考えても大変だったろ」と心の中で言い返していたため、たぶん今の若者たちも結局年寄りが憂うほど大変なことにはならないのだろうと思います。
つまり歳を食っただけで憂うなんて偉そうなことをしたくないと言いたかっただけで、そしてまたノームコアなど理解せず過ぎてもかつての日本が武器としていたカルチャーもしくはサブカルチャーさらにユースカルチャーといったものが韓国やアジア諸国にお渡ししただけなので、と話を戻しますがコチラInga Copelandの2012年のライブ。
ブログでもHype Williams時代のDean BluntがすでにLivestrongのキャップをかぶっていましたが、僕が知る限りしっかりとNikeのロゴのキャップをかぶっている人間を確認したのはこの動画の彼女、Inga Copeland = Lolinaが初めてでした。
今観ると誰もが普通にカッコ良いと思うと思いますが、申し訳ないですがこの私でも12年前に観た時は
「この格好してこの場にいるのは私ならマジ無理」
と思いました。
実際、ここにいる客も
「なんだこのダセエ女」
と思っているに違いないほどのドン引きです。
しかし12年後の今観れば
「何もわかってないダセエ男たち」
とただそこにいた客なだけなのに世界中の男女他に指さされる可哀想な感じになっているのは時の流れの結果でありますが、この時期では誰もノームコア的な感覚がわからなかったことを証明する貴重な動画でもあります。
新しいモノにひょいひょいと意味もわかってないまま無理やりついていく人生を送って来た私だってこの時点でNikeのロゴキャップがムズかったんです。
だって観てください。
今ならばクラブに行かずとも原宿でも青山でもみんなかぶってる浅いキャップを誰もかぶってません。
キャップかぶってるのは別ラインの深めのベースボールキャップの人くらいです。
13年前の2011年。
早い、早すぎる。
(↑時が早いという意味ではなくて彼らが早い早すぎるという意味です)
以前も話したことがあると思いますが、2009年に彼らから作品出さないかと連絡あったんですけど断ったんです。
ちょうど媚び売ってもやっていけないなら好きなことだけしようと2008年にBIG LOVE RECORDS名義にして翌年の2009年は今や激高のそのSALEMや翌年4ADとサインしたAriel Pink's Haunted Graffitiを出した時期で、だけどそのどちらの7インチも全く売れなくてめちゃくちゃ残って本気でお金がなくなってもうマジやばい!というところにHype Williamsなんて出したら死ぬだろ!とメールにひとりでツッコんだの覚えてます。
それはレーベル人生でもっとも後悔してることのひとつです。
Ariel Pinkに
「7万円出してくれれば人生で初めてスタジオでレコーディングできるんだけど」
と言われても7万円なんて絶対にムリ!と断ったのも後悔してます。
だってその曲、その後4ADで出した大ヒットの名曲"Round and Round"だったんだもの。
く〜この原盤持ってたってことか。
まあ、そんなことになったらArielと揉めたと思うんで良かったかもです。
Lolinaが凄いのは恥ずかしがらないところです。
だって日本のファッションの人でこの時点じゃなくても2014年とかその翌年でもいいですけど激ノームコアなファッションしてた人いますか?
みんなしなかったじゃないですか。
私はしましたよ。
そして通っていたコーヒーショップの女子がなんだかいつもと違って異常に冷たくて、うん?お機嫌が悪い日かな?とラテ飲みながらの帰り道、ハッ!このスウェットインとナイキのキャップのせいっ!と気づいてゾッとしたわけです。
「普通コア化した超絶おっさんと思われたんや!か、悲しいいっ!」
と、いきなり私は道端で全裸になったかのような錯覚に陥り身体中の大事なところを手と足で隠しましたが、ふと我に返り道歩く人々に訴えました。
「安心してください!ノームコアですよ!」
私は仲真史。
こんなところで負けてるわけにはいけません。
TシャツもスウェットもINする!
ゴルフしないけどナイキのキャップかぶるっ!
そんな私を町内会の早めの飲み会帰りの自転車に乗ったおっさん達が見つけこう指差し言いました。
「アイツ(の格好)電気屋のやまもとちゃんに似てんな!」
とみなで笑い過ぎ去っていきました。
く、くっやしーーー!!オイ!日本のファッション業界の奴ら!
オマエらがまず最初に恥ずかしい思いをするのが義務やろっ!
なのになんでオレだけこんな辱めを受けなきゃならんのだ。
先端というのは恥ずかしいものじゃ!ボケ!!
なのにオマエらはひよりやがって、というかノームコアを理解しようとさえせずのうのうとオシャレを語りやがって、この野郎、
「オシャレとは我慢(無理)することよ」
という(おすぎと)ピーコの名言を知らんのか!
ピーコ様の垢を煎じてテメエの歯茎に浸み込ませろ!
恥ずかしいともなんとも思わず正しく新しい道をいくLolinaと、めちゃくちゃ恥ずかしいけれどたぶんこれが正しく新しい道と信じてコーヒーショップのお姉ちゃんにめちゃ冷めた目で見られた挙句おっさんたちにも指さされて笑われてるオレを見習えっ!
ボッ、ケェーーーー!!
10年経っても私の怒りは収まっていないようです。
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サポート!とんでもない人だな!