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BIGHEAD 10th Anniversary 記事①DJ編



BIGHEAD名義で2014年Los Angels/THE BELASCO THEATER でDJしてから10年の時が経ちました。


先週、韓国版コミケとも言えるILLUSTAR FES/Vocastarに参加した際に、現地新聞社に取材を受け色々と質問に答える中で

結果的に過去10周年を総括するような話になりました。そのインタビューのやりとりで2014年のDJを思い出し、10年目にしてDJキャリアの点と点が繋がったので、記事に残そうと思い立ち文字を起こしています。


まず韓国SETECでのDJ体験が素晴らし過ぎた。


会場の広さ、観客の熱量(ダンサーでありシンガーであり能動的にPARTYを楽しみに来ている)、サウンドエンジニアやVJ/映像/演出チームのクオリティの高さ、スタッフのサポート、全てが最高としか言いようの無いイベントでした。スピーカーの音質も高く、演出にレーザーがあったり「これはミスれないな…」とリハーサル前に強く思いました。


肝心の本番は大成功と言える内容で「BIGHEAD!」のアンコールも頂いたので間違いなく成功だと思いました[※違ったらすみません]

個人的にはBIGHEAD過去最高到達点のDJになったと感じています。


理由はとしては主に「BPMの遅い曲中心に組み立てたセットリストで盛り上がりが成立した」「自分のテンションを観客の熱量が超えた」「言葉を理解できなくても音響/映像/DJのチームで高いレベルの表現ができ、言語の違う観客と高い熱量の意思疎通ができた」という3点。


特にBPMの遅い曲中心のセットリストで盛り上がりを維持することは難しく、VOCALOIDというジャンルでのDJをしている以上テンポの速い曲が人気でHIPHOPの曲というよりかは「VOCALOID ROCK」「VOCALOID ELECTRO」がメインになってくる。BPMで言えば128-190とか。85とか100の曲がVOCALOIDのクラブでは流れることは少ない。思い起こせば2014年にVOCALOD DJを始めた時はEDMやHOUSEがメインストリームだったのでBPM128-140付近の楽曲中心に組み立てることができた[がVOCALOIDの有名曲を入れると160-200の速いテンポの曲が多く試行錯誤しながらセットリストを構成していた記憶がある]が、EDMやHOUSEの流行が若干下火にになりHIPHOPが席巻しつつあった2017-2023年でもVOCALOIDクラブシーンではHIPHOPがプレイされることは少なく、速いテンポの楽曲がメインストリームでした。


それでもBIGHEADのDJとしてはグローバルチャートでヒットしている音像でDJしたい。VOCALOIDをHIPHOPに落とし込みたい。日本の音楽を海外の音楽史に接続したい!テンポが遅い曲でもパーティーできるはずだ!という気持ちがあったので、なんとか模索しながらセットリストを作っていた。しかし、ハマらない現場もあったし、DJ中に辛いな…「速い曲かけた方が絶対盛り上がるのにな」と思う日は少なくなかった。


そしてBIGHEADのサウンドのスタイルとして最初はEDMやROCKでオリジナル曲を作っていたが、BIGBANGやBLACKPINKがHIPHOPの要素を音に入れ込みながら英語の歌詞で世界に勝負する姿を見て「VOCALOIDもRAPっしょ!HIPHOPしょ!」ということで初音ミクのRAPに挑戦することになった。Miku’s Bounce xxxやHatsune Miku’s Counter AttackはまさにK-POPを研究しながらボカロに落とし込んでいった曲だ。そういったオリジナル曲や、メルトやWorld is MineをHIPHOPのテンポにとらえてREMIXしていったりしてDJではテンポが遅めの曲中心を増やしていった。


地道にHIPHOP曲を作りながら、なんと2023年には初音ミクとHIPHOPをコンセプトにしたイベント「MIKU BREAK」のVOCAL EDITやDJで参加させてもらうことになる。HIPHOPをルーツに持つMIKUBREAKのメンバーさんとコラボさせてもらったイベントでDJしていく中で「HIPHOPいいけるじゃん!」という感覚を現場から得る。加えてオリジナル曲を2曲提供させていもらい「WE ARE HATSUNE MIKU」「MIKUBREAK NOW」をライブで披露していく。WE ARE HATSUNE MIKUなんかはBPM100付近の遅い曲だ。この曲を作っておいて良かったと思うのが、近年HIPHOP界隈で流行している「チーム友達」とリンクしつつあるということ。「チーム友達」を「TEAM HATSUNE MIKU」に作り替えREMIXして福岡でプレイした時は一体感が凄かったし「WE」「チーム」という「俺たち」「集団」のバイブスが「WE ARE HATSUNE MIKU」と繋げてプレイすることで爆発力が増していく。感染症の流行で声の出せない・孤独ムードが明けたら「合唱」だし「WE ARE」が盛り上がると思っていたから


少しづつHIPHOPやテンポの遅い曲を増やしていき自分らしいサウンドを構築し、なんとか皆んなで歌えるDJ PARTYを模索していた。2024年にHIPHOPの本国であるアメリカ・SanjoseでDJする機会があったので「これは!!!」と期待してHIPHOPセットで挑むが、やはりアニソンやボカロの流行でUSのクラブイベントであってもボカロイベントなら自分以外のDJのBPMは速かった。それでも心折れず笑 鹿児島、福岡[TEAM HATSUNE MIKUはブチ上がった]と観客の熱量の増加を感じながら、臨んだ韓国。


1曲目BIGBANGをプレイした瞬間大合唱。ちょっと泣きそうになった。そしてテンポの遅いHIPHOPをプレイしても熱量は下がることなく歌い踊る。話は逸れるがDJする前日に韓国の音楽シーンを感じておきたいと思い経ちSeoulの音楽CLUBに行った。梨泰院に。外でも爆音で音が鳴り響きCLUBも10個以上近接して営業して、客はハシゴし放題。みんな踊りがダンサー並みに上手いし、歌うし、酒飲むしで韓国の底力の感じた。普通の人というか音楽をやっていない人でもこの熱量で音楽に接してる訳だから、音楽家になればスキルもあるし、観客として参加する場合も全員歌って踊れるわけだ。


そういった音楽先進国のお客さんが自分のDJフロアにも集まっていて、曲なんか知らなくても踊るし、能動的に盛り上がるし、日本語歌詞のTEAM HATSUNE MIKUも盛り上がるし、とてつもない熱量だった。「こりゃ勝てないわ」と「受け入れてもらった嬉しさ」に挟まれ複雑な感情だったが、アンコールの「BIGHEAD!」コールを貰った時に、韓国の皆さんと一つになれた実感を得る。


K-POPに影響を受け、学び、本国で受け入れられる。10年の楽しくもあり苦しい旅が終わった気がした。このスタイルでも盛り上がれる!!

「これでいいんだよ」そう言ってもらえた1日。やりきった。大満足。


10年目以降もシーンに合わせることなく、ありのままの自分が好きなスタイルで行こう!!




1点目で熱くなり過ぎちゃったけど2点目、3点目を補足していくと

「自分のテンションを観客の熱量が超えた」


いつもDJする時は、過去最高でありたいと思いながら臨むし、前より新しい何かを作りたいと思っている。思想が強すぎるが「カルチャーの1つを積み上げ更新したい」来てもらった人には人生変わって欲しいなと思うし、自分も人生変わりたいなと思って準備している。故にその気負いや緊張が、空回りする場合があるのだ。重すぎるというか、ハマらな時には焦りになってしまう。苛立って怒ってるようにも見えるんじゃないか。そんなDJの時は後で後悔したりする。 


それでもDJ前にはテンションを上げるため、エネルギッシュで明るいMCをするためにBIGBANGのライブ音源を聴いて準備している。毎回。自分の好きなMCのスタイルは、観客として見にいった時に高い熱量をぶつけてくれるアーティストが好きです。感情をぶちまけて叫んでくれるような…The 1975とかBIGBANGとか。なので自分もそのスタイルになるんだけど、観客が同じ熱量にならないと「狂ってる人」「怒ってる人」になってしまって笑 

それでもやはり全力をぶつけないと、自分をセーブしたり、何かを演じてしまっては、分かり合えないんじゃ無いかと思ってます。

でも韓国では叫んで自分より、お客さんの方が叫んで歌ってくれた。やりたいことできたなあ


そして最後の「言葉を理解できなくても音響/映像/DJのチームで高いレベルの表現ができ、言語の違う観客と高い熱量の意思疎通ができた」


マジで今回の音響/映像チームのクオリティ高過ぎで、そんなステージに立たせてもらい光栄でした。

リハ時間の無いし、言葉も通じないので何も細かいこと話さずにステージに立った訳ですが、ビビりました。


ステージ上で鳥肌立ったの初めてかも。MCでBIGBNAGが好きだって!って言ったんだけど、その後悪めのHIPHOPの曲をプレイして重低音を響かせた瞬間にステージが「真っ赤」になったの!真っ赤に染まったんです。BIGBANGのライブで見たやつだ!ビリーアイリッシュのコーチェラのスタージで見たやつだ!その時、冷静になったというか寒気した。自分が一生懸命に盛り上げようと必至になっていても楽しめるんだなと。自分に感動できるんだと。


一人で盛り上げるんじゃなく、音響さん映像さん照明さんレーザーさんVJさんと一体になってチームでステージを作るんだという実感。しかも言葉は通じない、音だけでコンセンサスをとっていく。はじめまして、一度限りのステージで。どんだけ普段の基礎体力高いのよ!って思いましたし、お互いの求める方向性同じなんだ!と嬉しくもなりました。


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