音楽を所有する、初期投資するメリットの無さについて[1週間無料公開]
最近、音楽を所有するメリットが無い、楽曲に初期投資しても全くリターンが無いなと感じ、いい方法無いかな?と記事を書いてみました。
「絵画や仮想通貨のように価値が上がった時、先行投資者が利益が得られないだろうか」
ピカソが無名だった時代に絵を購入・発注したパトロンは、ピカソの絵画の価値が上がった後に最初に購入した金額の何倍もの値段で売ることができました。所有することもできました。
スタートアップでも株式会社にでも、会社の将来に初期投資した株主は会社が大きくなった後に利益を受け取ることができる。
仮想通貨も同じように、のちに利益を得ることが期待できそうだから投資をする。メリットがあるからリスクをとって自分の財産を他人に運用してもらう。
「音楽はリターンを得ることができるのか」
上記のアートや株のように音楽は投資者にメリットを与えることができるのか?
まだ売れていない新人アーティスト、作曲家がいたとして初期段階にその楽曲を250円ほどで購入したとして(データでもCDでも)後に100万円や30万円で他人に売ることができるようになるのか。
または毎月5000円や年に一度100万円など配当を受け取ることができるのか。
できない。
音楽は複製物なのでCDでも楽譜でもデータでも、無限に複製されてしまうので希少性を担保できないし、シルクスクリーンのように1/100という生産数を限定することもできない。供給側が生産数・流通数を制限することはできても、ユーザーに複製を禁止することを制限するのが難しい。
終了。
「音楽のブロックチェーン」
仮にブロックチェーンの技術を使って1/100のデータです。ということが証明できても「この曲を聞けるのは俺だけなんだー、最高にうれしいぜ」っていう人がいるのか。「この曲をDJで使えるのは私だけー!みんなスーパーレアだから聞いてー」って言う人がいるのだろうか。
音楽は多くの人と共有する役割もあって「希少性による価値の増加」との相性が良く無いように思う。儀式やダンスに使われてきた歴史があるからレアということが「何この曲、知らん」「みんなが知ってる曲かけてよ」ってなりそうです。
レアな曲を誰が持っていて、「その聞いたことない曲、100万円で売ってくれー!!」っていうコレクターはいるのだろうか。
絵画と同じような仕組みを作るのは難しいように思える。
「曲の著作権を買う」
1曲をitune storeなどで買うユーザーベースでの投資が難しいのなら、楽曲の権利(著作権)やアーティストの権利(専属実演家契約)を購入してヒットした場合に著作権使用料・印税を受け取る、ということは投資とも言えるかもしれない。ただそれは音楽出版社を立ち上げて楽曲を買い取る、アーティストの事務所を立ち上げて専属契約する等、知識や法律を知らないと気軽に扱うことは難しい。現状、株式市場や仮想通貨の様に開かれた市場で買えるようにはなっていないので一般的な投資としては機能していない。
もし音楽の権利が購入できる仕組みがローンチされたとして「ビートルズの著作権」「ブルーノマーズの楽曲の権利」「テイラースイフトの実演家の権利」を買ったり、一部を保有できたとするとユーザー・ファンは世界規模なので世界中から印税が集められ投資の様なリターンを得ることは可能だろう(一般に解放するメリットは無いような気もするけど)
しかし日本のコンテンツを購入することにとなれば、ファンの数は日本国内に限られ英語圏・非日本語圏のファンにはなかなか聞いてもらえないので印税収入も少なくリターンもえることができない。投資として成立しないことが予想される。
「課題・投資として難しい部分」
・仮想通貨や株のように、もしくはアートのように権利を購入することだけでもできないだろうか。
・車や時計・株のようにヴィンテージになったり価値が認められた時に「高い金額で他人に譲渡」できるようにならないだろうか。
・最初にファンになった人の名前が順番に残り、後にメリットを得られる
上記の投資するメリットが成立しない分野だと自分は感じている。最初の頃に支えたファンも後で知ったファンも同じような扱いになってしまうし、昔からのファンが老害とか呼ばれたり新規ファンとの対立が起きてしまうことも少なく無い。
最初に購入した曲やグッズを300万円とか1億円でオークションにかけて先行者利益を得ることができない。
最初にファンになるメリットが全く用意されていないのです。
「好き」「救われた」「元気をもらえる」という精神面での恩恵を受け取ることはできても物質的に投資的な意味で「価値を受け取る」ことができない。それが一番困った部分だと思っています。
漫画家の雑誌やコミックが「曲やアルバム」だとして、原画や絵画が「アート的な価値を持つ投資」になりえると思うのです。ただ音楽には原画や一枚絵のように後に高額な価格で取引される「アート的な価値を持つ投資」が無いのです。アートコレクターが集めたくなる、お金を投資したくなる対象が無い。
書いてて実感してますが音楽は消費としての側面が強いコンテンツだなと思います。
「音楽を所有する、初期投資するメリットの無さについて」
アーティストや音楽供給サイドが用意できるメリット
・ファンクラブを作ってファンに会員番号を付番して特典を作る
・クラウドファンディングでメリットを提案して活動に賛同してもらう
・アルバムや曲をリリースして購入してもらう
という従来の方法しか思いつかないのが現状です。
・初期に楽曲の権利を購入、保有してもらった人にヒットした後に分配を用意する。
これが投資的な方法かと思うのですが、記事に書いた通り複製できたり・他人に譲渡することが難しいのでメリットとして弱いなと感じています。
明確な答えの無い記事で申し訳ない気持ちなのですが....
これからのアーティスト・音楽家はどれだけ「魅力的なメリットを用意提案できるか」が重要になってくると予想しています。もちろん良い楽曲・良い演奏はあった上で、他の娯楽や投機対象に負けない魅力を提供する必要があると2010年代からの動きから感じています。
とはいえそのメリットも消費型の娯楽の側面が強いので音楽で「投資としてのリターンが得られる仕組み」を作ったアーティストが出現したならば多くのファンと交流を継続して何年も豊かな音楽活動を続けることになると思います。
既にそういった仕組みを始めているアーティストやプラットフォームがあるかもしれませんが自分も作品作りと並行して、もしくはそれ以上に音楽の価値を高められる方法を模索していきます。