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エッセイ141.小さい頃不思議だった物語の世界ー(3)ドリトル先生とアフリカ


ドリトル先生は、一度全部読み返したいぐらい好きです。
挿絵も、作者のヒュー・ロフティングさんによるもので、
可愛いところも、不気味なところもあり、なかなか独特です。

私は「岩波少年文庫」の、大判で表紙も固く、箱入りのもので読んだので、
今 大人買いをするのなら、今度は13冊揃いで、「ドリトル先生ものがたり」となっている岩波版(やはり箱入り)を選ぶと思います。

「ナルニア国物語」などでもそうですが、何度も繰り返し読んだ本は、
挿絵が一緒に脳裏に刻まれていますので、
他のものは入って来にくいと思うのです。

新訳で、挿絵も漫画のような親しみやすそうなシリーズも、「角川つばさ文庫」というので出ているのを知りました。
今度本屋さんで立ち読みしたいと思っていますが、そっちの可愛い版のドリトル先生では、「あの人」はどんなふうに描かれているのかなと思いました。

それは、「ドリトル先生アフリカゆき」として岩波で出ている、アフリカについてのお話です。

その前にこの奇妙な動物。
上半身が二つくっついた、不思議な動物がいまして、この名前が「オシツオサレツ」でした。子供心に、うまいことを言うなぁと思ったものでしたが・・

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もしかすると、今ではちょっと問題になるフォルムかもしれませんね。


さて、前述の「あの人」とは、ドリトル先生がアフリカで出会う王子様のことです。


こんな感じです。

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今だとどんなふうに受け止められるのかな。

この王子様は、ドリトル先生を助ける代わりに、「顔を白くしてください」ということを言います。
西洋の本を愛読していて、白い人に憧れ、白くなりたいと言うのでした。

その方法が確か、ドリトル先生がそういう液体の薬を作り、
王子様が洗面器に入れた液体に、息を止めて顔を浸すというもの。
一回ではうまく白くならず、頑張って顔を漬け続けて、ようやく白くなる、という場面では、ハラハラドキドキしました。

子供の私は「アフリカの人が、白くなりたいと願う」ということについては、
読んで、どんなふうに感じたのでしょう。覚えていませんが、抵抗はなかったと思います。


ただ、王様とお妃様をロフティングさんが描いたのがこれでして。

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当時の英国人のイメージはこういうものであったり、
世界でも美しい白人に、みんながなりたがって当然、的なものも、
(ロフティングさんがそうで、というのではなくてデフォルトとして)
あったのかもしれないなぁ、と想像しています。

「ちびくろサンボ」「風と共に去りぬ」「ドクター・スース」に、問題になる部分があるとされ、読めなく(見られなく)なっている昨今では、もしかしてこの挿絵も、ギリギリかなと思わないでもありません。

人種についてのデリケートな部分については、
「物語としては名作ではないか」
「作品の価値は損なっていない」
・・だから解禁を、という声のあるのも最近知りましたけれども、
読んで嫌な感じになる人がいるのであれば、やっぱり差別でしょう、
というのが私のスタンスであります。

(そういえば、少し前の洋画も見ると、「うわ、セクハラ!」「うわ、女性の方も順応しちゃってる!」と驚くことがよくあります。
人間て、時代に作られるのだなぁとつくづく思うところです)


ドリトル先生は、動物と話せるので、異文化コミュニケーションについてもなかなか深く突っ込んでいる部分があり、そこがまた大きな魅力です。

ある巻では、人が殻の中を歩き回れるぐらいに巨大なカタツムリがいます。
ところが、さすがのドリトル先生もカタツムリ語はわかりません。
そこでカタツムリ語だけわかる亀と、亀語のわかるイグアナ・・(本が手元にないので適当ですみません)に挟まってもらって、伝言ゲームみたいに話し合うという場面がありまして、私はすごく面白いと思って何度も読みました。

このカタツムリにドリトル先生が、「何か希望はありますか?」と尋ねると、
通訳が、

「みなさんの靴の鋲が殻の内側を歩いているときに痛いので、
靴を脱いでください、と言っています」

というところもあって、今でもときどき思い出していました。
(靴脱いだら、ぬるぬるなんじゃなかろうか、と、みんなを心配しました)


ドリトル先生や、プーさんについて、イギリス人の「上から目線」とか、
「さすが征服が十八番おはこの国民性」とか、論じているものを、大人になってから読んだことがあります。

当たっているとも思うのですが、私としてはとりあえずは、子供の頃に感じたワクワクを大事にして、思い出したり、不思議がったりしたいと思っています。



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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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