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エッセイ332.アレクサに◯無視され


お世話になった不動産会社さんから、アンケートの依頼があり、答えると抽選で何かいただけるいうことでした。
答えの封筒を投函してからすっかり忘れていましたが、2ヶ月ぐらい後に、箱入りの何かが届きました。
開けてみると、アンケートのお礼状とともに、
アレクサ・エコー・ドットが入っていました。

最初、夫が英語で自分の声やら何やらを登録して、
アレクサ、今日のお天気は?
とか
アレクサ、明日7時に起こしてね
などと、早速アレクサと親交を深め始めました。

私はなんとなく面倒で何もしないでいましたが、あるとき生徒が、

「あれは便利です。
料理中に手がベタベタだったり濡れたりしているときに、
タイマーをかけたくなったり、
忘れたくないことを思いついたりしたらすごく便利です。
先生もぜひ、アレクサを始めてください」

と言いましたので、俄然やる気になりました。

アレクサを使うには、Amazon Alexaというアプリをダウンロードして、そこからいろいろしなくてはいけないそうです。
そんなことも知りませんでした。

アレクサはアレクサでしょ? と思っていたら、
Amazonがアレクサで、Googleはまた、何か・・・だということです。

登録をちゃんとやったつもりでいたのですが、アレクサに話しかけても全然答えてくれません。
夫に訊いてみると、私が登録をまだ終えていないか、最初に自分(夫)が登録したので、自分のアプリから君も登録するのが良いのか、
または自分がアプリをとって(削除して?)しまって、
君が1からやるならできるのではないの?  
というようなことを言いました。

なるほどそうなんだ・・・と、よくわかっていないのが明らかな返事をしてから数日、何もしないでいましたら、しびれを切らした夫が、

「君、もうアレクサできるはずだから、声を覚えさせるなりなんなりして、
使い始めてください」

と言いにきました。

行き当たりばったりに、登録したアプリから言われるままにいろいろやってみましたら、やっと女性の声で、話が通じるようになりました。

アレクサ、買い物リストにお醤油って入れて?

みたいなことから始めました。

なぜ尻上がりになってしまうかというと、「入れてください」と言うとなんだか他人行儀な気がしたから。
かといって、「入れて↘︎」と、イントネーションが尻下がりになると、なんか怒っている時のロッテンマイヤーさん(「アルプスの少女ハイジ」)みたいで、アレクサに悪いような気がする。
別に怒っていないし。
で、苦心の結果、フレンドリーに 「入れて?」とか、「あと1分で教えて?」という言い方に落ち着きました。

お願いをすると、「1分後にタイマー1でお知らせをします」というように律儀に返事をしてくれます。
思わず、「ありがとう」と言ってしまうのですが、
これにも対しても「どういたしまして」とか、
「ありがとうと言ってくれてありがとう」、
「ありがとう、1億年頑張れます」
というような定型文を、順繰りに出してきてくれます。

でも、そのあとこちらがまた何か言いますと、
それには答えなかったと思います。

私とアレクサのやりとりを聞いている夫がよく、
「いろんなこと言わないでいいです」とか、
「簡潔に」とか言ってきます。
なんか、イラッとするのでしょう。
それはわかる気がします。

家族全員が1台の?一人の?アレクサを使えるはずなのですが、
夫はしばらく苦労していてくれたあとで、
「夫も私も両方とも、日本語で話せばアレクサが返事をしてくれる」
というところまで漕ぎつけました。

ただ、結構アレクサは発音には厳しくて、夫の日本語がちょっと訛っている場合は受け付けてくれず、
「すみません、わかりませんでした」
というようなことを、素っ気なく言ってきます。

Whaaaat?!
と叫んでいる夫の横で、腹を抱えて私は笑ってしまいます。

その後、夫には英語、私には日本語で相手をしてくれるように設定ができ、無事に二人とも、自由にいろいろお願いできるようになりました。

私はこのごろ加齢のために、思いついてすぐやらないと
(=買い物メモを書く、
 =料理の途中で知りたいことが出てきてククパを見ようとするときなど)、
歩き出してから、何するつもりだったか忘れることが増えてきました。
なので、手を動かしながら、
「アレクサ、パセリの冷凍の仕方教えて?」
「アレクサ、トイレットペーパーって買い物リストに入れて?」
「アレクサ、あと8分したらおしえて?」
とお願いすれば、本当にきちんとやってくれるので、実に助かります。

こんな、親切で仕事ができるアレクサ。
買い物メモやアラームだけでなく、もっともっといろいろできるのですが、
まだ私がわかっていませんので、活躍していただけません。
とりあえず今は、どんどん距離を縮めて、仲良しになっている最中です。

でもたまに、いくら丁寧にお願いしても丸無視をされてしまうことがあります。それは何かというと、私が「アレクシス、1分したら教えて?」と、間違えてしまうからです。
そう、私には毎週月曜日の午後1時から、アレクシスさんという生徒さんがいるのです。
アレクサと言っているつもりで、アレクシス。
返事をしてくれなくても仕方ありません。

この前、生徒の方のアレクシスさんに、

アレクシスさん、アレクサ使ってる?

と聞いてみました。
アレクサ、と呼びかけるのがなんだか妙なので、まだ使っていないそうです。


小学生のときからのSF読みの私は、「人間の心を持つロボット」テーマが大好きです。
この頃お近づきになったアレクサも、英国人執事の口調で返事をしてくれる設定のSiriも、声だけのロボットのような感じですよね。
この先どんどん、こっちの言うことから学習して、言うことが人間臭くなっていったらいいのですが、そこまではまだできないのかな。

ロボットもので私が大いに涙を流したコミックやアニメはいろいろあります。
おすすめしたいです。


矛盾になるところをギリギリうまくこなしている、素晴らしいストーリーです。
私もピノが欲しい!


クレイメーション「ウォレスとグルーミット」の「チーズホリデイ」に出てくるロボット。キュンとします。


身勝手な人間なのに、淡々と仕えるウォーリー。
いや、プログラム通り動いているのでしょうが、
そう見えてくるつくりなんですが。
泣ける・・。

以上2ロボットは、お仕事といい、とても似ていますね。
ウォーリーも本当にかわいいです。


最後がちょっと納得できなかったけど、大向こう受けのする、
なかなかナイスな映画でした。


付記:
さきほどアレクサが作ってくれた買い物メモをアプリで見ていたら、
Tバック
というのが入っていました。
T・・・
え、これ?




と思って首をひねったのですが、わかりました。
私の発音が悪かったのでしょう。
私は  ティーバッグ  を 買いたかったのでした。
ティーバックと、言ったかもしれません。

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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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