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ポップでキャッチーなビッグバンド!? 聴いて見て踊って騒いで、ステージ全部丸ごと楽しめる今をひた走るエンタメ系ビッグバンド4選

はい、ビッグバンドファンです。今日は現在日本で楽しめるポップでキャッチーなエンタメ系ビッグバンドを4つ紹介したいと思います。

エンタメ系ビッグバンドの嚆矢!?熱帯Jazz楽団

一つ目のバンドは「熱帯Jazz楽団」です。結成25周年を迎える日本屈指のラテンビッグバンドですが、その特徴はなんといってもイカしたラテンサウンドと選曲です。サウンドに関してはリーダーのカルロス菅野氏を筆頭に勢揃いしたトップミュージシャンの技術とノリの良さが全開となっており、これだけご機嫌なサウンドを出せるビッグバンドというのは世界で見てもなかなか無いのではないでしょうか?現在まで17枚のアルバムと2枚のDVDをリリース、バンドスコアブックや吹奏楽用譜面集も数多く発売され、全国アマチュアビッグバンドや中高吹奏楽部の学生達からも熱烈な支持を受けています。特徴のもう一つである選曲も、いわゆるラテンやジャズ、ビッグバンドという枠に留まらず、今や代表曲にもなっている「September」はアース・ウィンド&ファイアー、「今夜はドントストップ」はマイケル・ジャクソンといった具合に様々な楽曲を見事にアレンジ、まさにポップでキャッチーなビッグバンドというのを体現しているバンドと言えます。

実際カルロス菅野さんもかつてインタビューでどういったファン層をイメージしているかという質問に対しこんな風に語っています。

目標でもあったけど、ラテン・コアなファンじゃないです。そのために選曲の幅も広げたいと思ったし。松岡さんはフュージョン時代のトップ・アーティスト。デ・ラ・ルスは骨太のサルサ。熱帯でもっとパイを、層を広げたかった。もちろん僕らラテン大好きだけど、コアな方向に行くとコアなファンしかいなくなっちゃうんで

当初よりライトな層を意識して活動していたということがうかがえる話ですが、これ言葉で言うほど簡単ではない。キャッチーさにだけ寄ってしまうとかえって阿るような雰囲気が出てしまい受け入れられないということもしばしばあります。いわゆる「いかにもな企画」ってやつです。勿論だからといって微妙なところを狙っても微妙な感じにしかならず「やるなら思い切った」感じでやらないといけない。熱帯Jazz楽団はその辺りのバランスが実に絶妙で、実際別のインタビューでエンターテイメント性という話の中でこんな風に言っています。

エンターテインメントっていうのは、あくまでも「"人を惹きつける魅力"をどう見せるか」っていうことじゃないですか。だから、僕らが例えば"ミッション・イン・ポッシブル"をやるから、"セプテンバー"をやるからエンターテインメントだ、ということじゃないんですよね。これだけの技術を持った人間がいて、余裕をもって演奏したところに出てくる、その"魅力"っていうものがあるじゃないですか。それを感じとってほしい。そこがエンターテインメントのKEYだと思うんですよね。何か面白い演出をする、それはそれで大切なことなんだけど、やっぱりそれが受け入れられるだけの「その日の空気」っていうのを作らないと、ああいうこと自体がもう、ちょっと逸脱した世界になりがちなところがあるじゃないですか。ただウケを狙っている、みたいなことに転びかねないものだと思うんですよね。

さすがエンタメ系ビッグバンドのフロントランナーだなと思いますね。

現代のボードビリアン・ジェントル久保田率いるGentle Forest Jazz Band

2つ目のバンドは「Gentle Forest Jazz Band」です。こちらもリーダーのジェントル久保田氏のステージ上での振る舞いとビッグバンドが一体となった、ステージ全体を楽しむビッグバンドです。オリジナル楽曲も沢山リリースしている他、ボーカル曲も日本語で歌ったり、また先日お亡くなりになられましたがコメディアンとして昭和・平成を駆け抜けた「小松政夫」さんやお笑いトリオ「東京03」といったお笑いとのコラボを積極的に行うなど、エンターテインメントとしてのビッグバンドというものをとても意識したステージが特徴です。

サウンドとしては1920年代~30年代、ジャズとビッグバンドがまだ一体でダンスと共にあった時代のサウンドをとても意識したものになってます。こうやって聞くと何か古めかしいものを想像するかもしれませんが、これが実にハマってるんです。ディズニーシーのビッグバンドビートを想像してもらえれば分かりやすいかもしれません。

ビッグバンドビート、抽選でもなかなか当たらなかったりするほど大人気ですが、これは「ミッキーがドラムをたたくから」だけではないですよね。要するに本質的にエンタメとして楽しめるかどうかがポイントなわけです。実のところ1920年代~30年代というのはビッグバンドが黒人も白人もグチャグチャしつつギラギラしながら音楽を作り上げてきていた時代です。その後徐々に整ってくることで今のようにクールでテクニカルな音楽になってくるわけですが、ジェントルフォレストはそのまさに「ビッグバンドがギラギラしていた時代」に着目、より本質的に人間がドキドキ・ギラギラするようなサウンドやステージを追求している。ここがポイントなのかなと思っています。余談ですが、このGentle Forest Jazz Bandがまだここまでメジャーになる前、メンバーに私の知り合いが何人か乗っていたものでその関係で何回かライブを見に行ったことがありました。当時アマチュアとプロの狭間くらいの時期だったのかなと思うのですが、凄いなとおもったシーンがありましてね。そのライブではゲストとして浜野謙太氏が乗っていて、曲間のトークではジェントル久保田氏と二人で軽妙なトークを展開していたんです。ところがアドリブだったのか原稿だったのかは分かりませんが、トークの中でちょっと内輪な話が出てきたんです。恐らく浜野氏と久保田氏の二人からするとこの部分はサッと流して次にいきたい、そんな感じだったように見えたのですが、ところがバンド側の人間がここにどっとウケてしまったんです。これ、客との間に距離が出来てしまう典型なわけですよ。客はよく分からないのにステージの人間だけが笑っているというね。それを察知したのか、瞬間です、ほんの一瞬ですが、久保田氏がバンド側にキッと睨みをきかせましてね、それでバンド側はすぐに収まった。一瞬だったのでトークの流れ自体は軽妙に続きましたし、恐らく周りのお客さんも気づいている感じでは無かったのですが、私にはこれが凄く印象に残りましてね「あぁ、この二人はプロフェッショナルだわ」と思いました。ステージをエンタメとしてここまで作り上げるビッグバンド、昔であればクレイジーキャッツさんとかフランキー堺さんとかがいたと思いますが、現代ではさすがにいないかなと。

現代のボードビリアンが率いるビッグバンド「Gentle Forest Jazz Band」注目です。

「1/2」の川本真琴がなんとビッグバンドを!?!?

3つ目のバンドは川本真琴ビッグバンドです。川本真琴ですよ、ソニーレコードから岡本靖幸プロデュースで出てきて「1/2」「DNA」などの有名ポップソングをリリース、デビューアルバムがミリオンヒットにもなった、あの川本真琴です。

実は2000年代初頭からプライベートオフィスを立ち上げ、インディーズ活動に軸足を置くようになり、このビッグバンドもその活動の中で立ち上がったものです。声がもう本当にTheポップ!!1/2なんて、るろ剣のテーマソングですよ。今でいったら紅蓮華になるのか?そんなポップのど真ん中な歌手である川本真琴がビッグバンドです。

もっとも編成的にはサックス・トロンボーン・トランペットが1本ずつにフルートを加え、そこにドラム、ベース、パーカッション、ダブルギターに川本真琴がボーカルというTentetに近い感じですが、でもねぇ私が以前定義したビッグバンドには当てはまります。

何より嬉しいですよ、こんなにポップにビッグバンドを楽しんでるんですから。ビッグバンドといっても米米クラブのような形もありますが、結局のところあとは本人にしろ周りにしろそれをビッグバンドとするかどうかだけの話なんでね、ご本人がビッグバンドと言っている、これが何よりだと思います。

本人曰くあのアイドルグループより先に名付けたと言っているAKBB

そして4つ目はAKBB、赤塚謙一ビッグバンドですね。このビッグバンドは国立音楽大学卒業で第一回山下洋輔賞を受賞したトランペッター赤塚謙一氏が率いるビッグバンド。Akatsuka Kenichi Big Band、これの頭文字をとってAKBBとなります。2010年7月に「ビッグバンド・ジブリ」という全曲ジブリナンバーというアルバムをリリース、リリース当時メンバー全員が20 代というフレッシュなヤング・オーケストラだったのですが、時にポップに時に大胆にビッグバンドにアレンジした作品となっています。

この間もこのAKBBとジブリの歌姫:井上あずみさんとのコラボライブを配信していました。3月14日までアーカイブ配信しているそうです。

こういう題材を選ぶ時っていわゆる売名的になると面白くないというのが、これは完全に私の持論です。つまり原曲は今更何かやるまでもなく誰もが知ってる曲なので、敢えてそれを取り上げてアレンジするならやっぱり原曲に喧嘩を売るぐらいの勢いがあった方がいい、そのぐらいでちょうどいい気がします。でこの作品、それを見事にやってのけてます。まぁ、よくもこの曲をここまで変えたなぁ、と。ビッグバンドはアレンジの文化ですから、若さゆえに出来たものなのか、赤塚氏の勢い故に出来たものなのか、その辺は分かりませんが、とにかくアレンジがとても秀逸です。カッコイイ。エレクトーンとかで弾くならこのアレンジもの弾いた方が多分盛り上がるんじゃないか、そんなことを思うぐらいカッコイイ、それでいて原曲のモチーフも実に巧妙に使っているという、素晴らしくポップでエンタメ精神溢れる作品になってます。

いかがでしたでしょうか?こういうビッグバンドがもっと増えてくると、ライブに行く楽しみも増えますし、ビッグバンドというのをもっと沢山の人が気軽に楽しむ、そんなことにもつながってくるのかなという気がします。以上、ビッグバンドファンでした、ばいばい~



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