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ビッグバンドの洋楽カバー7選!!ベイシーだってエリントンだってビートルズカバーはやっている。というわけで、激熱・胸熱なビッグバンドの洋楽カバーを紹介
はい、ビッグバンドファンです。今日はビッグバンドの洋楽カバー、数多くありますがその中でも有名なもの7選ということで紹介したいと思います。
そもそもカウント・ベイシーだってデューク・エリントンだってビートルズカバーをやっている
そもそもビッグバンドの洋楽カバーというのはそれほど珍しいものではないもので、細かいものも挙げていったらかなりの数になると思います。それこそベイシーもエリントンもビートルズのカバーはそれぞれやってますから。
ゴリゴリのベイシーサウンドでYesterday、ちょっとクスッと笑ってしまいます。原曲は勿論こちらです。
更にエリントンはAll my lovingをカバーしています。
こちらは後期エリントンの色がかなり前面に出た意欲的なアレンジになっています。ちなみにエリントンさん、このビートルズカバーを含んだ「Ellington 66」でグラミー賞(最優秀大規模ジャズ・アンサンブル・アルバム賞)を受賞してます。原曲はこちら。
ついでにバディリッチさんの「ノルウェーの森」もカッコイイです
原曲はこちら
こうやって改めて聞き比べすると、それぞれかなり濃くバンドのカラーに染め上げているという感じがします。アレンジの自由度、ビッグバンドというのはこれがやはり大きな魅力だなと思いますね。
Stevie Wonder(スティービー・ワンダー)
というわけで、まずはこの方。レジェンド過ぎて今更紹介も何もないと思いますが、一応wikiのページは張っておきます。
ビッグバンドカバーも実に多いので、正直全部網羅するのは無理です。それに名曲だらけだし。というわけで、パッと目についたところだけ。
まずはSir Duke
原曲はこちら
もうイントロからして定番ですし、中間部はビッグバンドにすることでより厚みが増してきます。もっともボーカル部のファンキーさを本人抜きで表現するのはなかなか至難の業ですね。
続いてはSuperstition
原曲はこちら
もうたまりませんねぇ、ってどっちがだ?ってね。この手のカバーものはご本人の色が強いと曲としてはアレンジ出来たとしても魅力の打ち出し方という点では違った戦略を立てないと難しいかもしれませんね。同じようにやっても・・・というのはあるかもしれないです。
特にボーカル部をインストに変えてしまうとかなり方向性が変わってしまうので、代役になるボーカリストを入れた形で演奏するというパターンは結構あります。こんな感じ。
こうすると、メインのラインはボーカルで作り、バックのホーン部はより厚みを増した形になるのでかなり魅力的になりますね。
Steely Dan(スティーリー・ダン)
続いてもレジェンド。2000年度『グラミー賞』を3部門で受賞、2001年には『ロックの殿堂』入りを果たし、世界の作品の売り上げは4000万枚を超えるというスーパーバンドです。
紆余曲折を経て最終的にはドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの二人のバンドとなりましたが、元々インスト指向が強かったこともあり楽曲の難解さもあって、むしろビッグバンドにすることでその魅力を引き出すことに成功している例もあります。
同バンドの代表作でもある「彩(Aja)」なんかは一番よく分かる例です。まずは原曲。
ムーディーで且つ浮遊感いっぱいの雰囲気を漂わせつつ、コード進行はかなり予期しない動きをとっており、かなり複雑な構成になっています。これをビッグバンドにするとこんな感じ
原曲の複雑さがむしろ活きた形となり、サウンドの先進性が際立っているにも関わらず、原曲よりもむしろ聞きやすい形になっているというかなり珍しい仕上がり方になっています。
ボーカルを入れた形でより原曲に近い形で演奏している動画もありました
不思議なものですが、この曲に関して言えばボーカルを意識せずにアレンジした方が曲が持っている本質的な魅力を際立たせられるように感じます。Steely Danに関しては全般的にその傾向はあるように見えます。例えば、Negative Girlに関してもこんな感じ。
原曲はこちら
むしろこの曲は原曲の方がよりシンプルで且つ攻めている感じがします。あとはSierra Musicが譜面をいくつか出してますね。
FMなんかはなかなか面白い感じ
原曲と比べても押さえるところは押さえつつ、攻めるところはきっちり攻めるというメリハリが効いたアレンジになっていると思います
Frank Zappa(フランク・ザッパ)
Steely Danと同じく1995年にアメリカのロックの殿堂入りを果たしているアーティストでありますが、もはやロックという枠では語れない前衛中の前衛、レジェンドオブレジェンドというよりアーティストオブアーティストと呼んだ方が良さそうな人です。
楽曲面においては変拍子・連符・ポリリズムなどを駆使し執拗に変化する複雑なリズム、転調・移調の多用と独特のハーモニー、多彩なヴォーカルと分厚いコーラス等々実に多彩な魅力を持っており、それらをまたポップに仕上げる力もあるというある意味最強ミュージシャンでもあります。
当然ながらあらゆる音楽ジャンルのアーティストに影響を与えており、ビッグバンドでも沢山取り上げられています。
まずはなんといってもこの企画ですね。Ed Palermoがビッグバンドで1997年にアルバムを出しています。
ライブの模様も
これに続いてスウェーデンのビッグバンド「Bohuslan BigBand」も「plays ZAPPA」という全曲Frank Zappaというアルバムを2000年にリリースします。
それからドイツの放送局付きビッグバンドの一つ「hr-Bigband – Frankfurt Radio Big Band」がplays Frank Zappaと題したステージをやったようで3曲YouTubeにアップされていました。
ビッグバンドの演奏をサクッと聞くだけでも相当変な人なんだろうなというのは想像に難くないのですが、原曲も期待を裏切りません。
Ed Parelmoが1曲目で取り上げている「Peaches En Regalia」
Bohuslan BigBandが1曲目で取り上げている「Zomby Woof」
そしてhr-Bigband – Frankfurt Radio Big Bandが取り上げている頭いかれまくりの「G-Spot Tornado」
っていうかドイツの公共放送付きビッグバンドがこんな曲名の曲を人前で演奏するという辺りにもドイツのいかつさを感じます
Radiohead(レディオヘッド)
さて続いては大西洋を渡ってイギリスに行ってみます。ロックバンドとして1992年にメジャーデビュー、様々な音楽を取り入れながら進化を続け、2011年には「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第73位に入り、アルバムの総売上枚数は実に3000万枚を超えているレジェンドバンドです。
これのビッグバンドアレンジプロジェクトをSierra Musicが実施していました。
このバンドもロックバンドと言っているもののかなり先進的で音楽性にも幅があり、そうした幅の広さをより拡張するという意味でビッグバンドアレンジにも意味が出てくる、そういう感じがします。例えばRadioheadの問題作と言われながらも結果的に大ヒットとなった「Kid A」なんかは原曲と比較してもそれぞれに独特の魅力がある感じになっています。まずは原曲。
そしてビッグバンドアレンジ
冒頭のオーケストレーション等はむしろ生楽器の魅力が存分に発揮されており、現代的な響きを持ちつつ原曲よりも安心して聞ける感じになっています。その後の展開も原曲が持つドラマティックさを活かしながら、トランペットソロを実に上手く使って独特のドラマを引き出すことに成功しています。
Jacob Collier(ジェイコブ・コリアー)
そして、恐らく今世界で最も活躍しているミュージシャンの1人、イングランドの新鋭ジェイコブコリアーです。1994年生まれ、まだ若干26歳でありながら2017年には「Flintstones」と「You And I」の2曲、カバーではありますが第59回グラミー賞を受賞しているという、凄いですねぇ。
日本にもグラミー賞を受賞した年、Blue Note Tokyoで来日演奏もしています。
で、こんな若い才能を見逃すわけもなく、ドイツのWDR BigBandがガッツリ共演しちゃってます。
そしてオランダのメトロポールオーケストラも
俗に天才なんて言われますが、演奏からアレンジ、プロデュース、録音、ミックス、エンジニアリング、全て自分で出来るそうで、まぁ他に何て言えばいいんだという感じですね。すげぇわ。
Daft Punk(ダフトパンク)
イギリスが出てきた以上、フランスも負けてはいません。1993年デビューとRadioheadとデビュー年はそう変わりありませんが、なんとついこの間ですが2021年2月22日に解散したそうです。2014年のグラミー賞でアルバム・オブ・ザ・イヤーとレコード・オブ・ザ・イヤーを含む5つの賞を受賞、リードシングル「Get Lucky」が世界32カ国のチャートでトップ10入りを果たすなど高い評価を得、その後2016年にはザ・ウィークエンドとのコラボ曲「スターボーイ」でBillboard Hot 100で初の1位を獲得。ローリング・ストーン誌においても「20 Greatest Duos of All Time」のリストで12位にランクインさせるなどまさに大活躍を続けていただけに残念でなりません。
楽曲はハウス・ミュージックを中心にした踊れるものが中心で、ビッグバンドにおいてもその魅力を前面に出した形になっています。
上の絵を見て「あれ?999」と思った方、正解です。松本零士さんがPVを監修しており「インターステラ5555」というアニメーションオペラという形になっています。
で、ビッグバンドでやっているのがこんな感じ
折角なのでもう1曲、Get Lucky。原曲はとってもファンキー
で、こちらを日本のLowland Jazzが昨年9月にビッグバンドでカバーしています。
どちらも踊れますねぇ、カッコイイ。考えてみれば1930年代~40年代のビッグバンド黄金時代と呼ばれる期間もビッグバンドはダンス音楽としての需要を満たしていたことから活況を呈していた側面は否めないわけで、Artie Showのようにそうしたエンタメ的な部分に嫌気がさす人もいたそうですが、やっぱりそこは音楽として重要な要素なのかなと思います。そういう観点で考えれば、現代においてはまさにクラブがその役割を果たしているわけで、こうした方向性もまた必然なのかなと思ったりします。
Björk(ビョーク)
さて、アメリカから始まりイギリス、フランスときて、今度はアイスランド!!ビョークです。グラミー賞には12回、アカデミー賞にも1回ノミネートされ、2015年の時点で2〜4千万枚のアルバムの売り上げているとも言われ、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第60位にもランクインしています。さっきからレジェンドばかり取り上げているので今更驚かないと思いますが、彼女もまたそんなレジェンドの1人です。
さて、彼女の曲を演奏しているビッグバンドといえば、そのまんま「Björkestra」です。日本語で行ってしまえば「ビョーケストラ」と何か病んでそうな響きになりますが、そんなことは全くありません。こちらはTravis Sullivanというサックス奏者がリーダーとなってニューヨークで結成したビョークの楽曲だけを演奏するビッグバンドです。ボーカルも入っていますが、歌っているのはビョーク本人ではなくBecca Stevensという別の方になります。ビョークの楽曲が持つ世界観の大きさをそのまま活かしたようなアレンジになっています。例えばHyperballadなどはこんな感じ。
原曲はこちら
どっちも世界観がデカくてサウンドの広がりをとても感じられます。
はい、というわけでだいぶ色々紹介しましたがいかがでしたでしょうか?ビッグバンドにすることで複雑な響きが明確になったり、楽曲の持つスケールがより増すといった形で昇華する部分を感じていただけると思います。近年日本でもビッグバンドとコラボするアーティストが増えていますが、世界的に活躍を続ける洋楽アーティストにおいても同様で、ビッグバンドが持つ幅広い音楽的可能性がこうした最先端のアーティストの音楽もまた取り入れながら進化することを可能にしている、そんな風に思います。時代はビッグバンドです!!以上、ビッグバンドファンでした~、ばいばい~