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2022年皐月賞 予想

 みなさんこんにちは。妖怪「回収率9.5%男」です。去年まで3年連続回収率110%超えとイキっていた人とは別人です。
 今週は皐月賞。去年よりもタレントは揃っているようだけど、その分実力差というものが非常にわかりづらい。去年はエフフォーリアを本命視して単勝を当てただけに、今年もしっかり当てたいところ。
 そしてはやく人間に戻りたい。
 例によってデータは過去10年のものを元に予想していく。

【コース形態・ペース】
 中山競馬場芝2000mで行われる。スタート直後に中山の急坂がある。そのまま一周して直線を迎える。急坂を二度超えるため、スタミナが要求されるほか、中山の直線は短く、四角である程度のポジションを取る必要がある。
 捲りも決まりやすいコースで、持続力のある末脚を発揮できる馬が強いともいえる。
 ペースは速くなりづらい形態だが、あくまで平場の話。過去10年でハイペースが5回、ミドルペースが5回で一度もスローペースになったことはない。
 スローペースになりやすい弥生賞、ホープフルステークスとは違った適性が求められる。近年、弥生賞勝利馬は皐月賞で勝てない、馬券に絡まないと言われることが多いのは、そういったレース傾向が別物になっているのもあるだろう。とはいえ、昨年タイトルホルダーが2着だったように、まったく関係ないとも言い切れないのが難しいところ。

【枠順】
 最も好成績なのが4枠。次いで8枠と、真ん中から外枠にかけてが良成績。1枠から勝利したのはコントレイルとディーマジェスティ、1番枠となるとコントレイルのみであり、グレード制導入以降の皐月賞まで範囲を広げてもヤエノムテキ(※東京開催)とナリタブライアンしかいない。
 皐月賞は大半の馬が初めて経験する、ハイペースかつ、多頭数のレース。1番枠では包まれて本領を発揮できないか。ちなみに過去の1番枠にはアドマイヤマーズ、ワンアンドオンリー、ロジユニヴァース、ジャングルポケットといった後にGⅠを制する馬たちが敗れている。
 1番枠を勝ち切るには相当な実力が必要と見るべきか。

【配当】
 1番人気の勝率は30%、連対率が40%、複勝率は50%であり、少々安心感に欠ける。2番人気、3番人気も大体同じような成績で、配当は乱れやすい傾向にある。
 4~9番人気が過去4勝しており、複勝率も30%近くあることから穴馬は是非とも押さえておきたい。

【血統】
 サンデーサイレンス系の血統は過去10年で6勝。しかし後継たるディープインパクトに限らず、ステイゴールド、オルフェーヴル、フジキセキ、といったサンデー系統の種牡馬も勝利している。サンデー系の種牡馬はプラスだが、ただ1頭、ハーツクライは過去10年で馬券に絡んだのがサリオス(2着)のみ。
 そのサリオスは530kgを超える大型馬で母系はNjinskyを持ち、ボトムラインは欧州でもさらに馬場が重いドイツ牝系というかなり重厚な血統だった。
 晩成寄りかつ、東京のような大回りコースにスピードの持続力を発揮することに対する適性を持つ産駒が多いため、中山芝2000mは向いていないのだろう。
 とはいえサンデー系が強いのは確かで、連対馬のほとんどに父か母父がサンデー系の種牡馬。クラシックともなればサンデーの血は必須と考えてよさそう。
 次点でMr.Prospector系。やはり日本の主流血統を軸に考えて良いだろう。
 血統構成としては父サンデー系に対し、母父にはダート中距離または芝2400mGⅠ勝利経験のある種牡馬が多い。流行りの米国スピード血統と、チャンピオンコースに実績がある血統が皐月賞では必要になっている。

 というわけでこれらを元に診断していく。
 例によってランク分けは
 A:本命級で連対は固い
 B:実力的に馬券内に食い込む可能性が高い
 C:馬券に絡むのは少し難しい
 としていく。

〇1枠1番 ダノンベルーガ 前走:共同通信杯 1着 評価:C
 父はハーツクライ。母のコーステッドはBCJFターフ2着の実績馬。母母Malibu Pierはサンタアナステークス(GⅡ)を勝利し、母父のTiznowはメトロポリタンハンデとホイットニー招待ハンデ(共にGⅠ)を勝つなど、流行りともいえるサンデー系×米国短距離血統という構成。
 母系にはSeattle SlewやNjinskyが入るハーツクライ産駒ということで、ここまで東京芝コースを走って2戦2勝。前走の共同通信杯も圧巻のパフォーマンスだったものの、初めての中山競馬場&右回りコース、そしてハイペースということもあり、不安点は多い。
 皐月賞よりもダービーに向くタイプだろう。
 過去には右トモを怪我したという情報もあり、右回りは不安。実力だけで言えば世代最上位と思われるが、枠順の都合とハーツクライ産駒ということで今回は見送ることに。
 GⅠで勢いに乗る川田将雅騎手が騎乗する点で怖い印象があるが、果たして。

〇1枠2番 アスクビスターモア 前走:弥生賞 1着 評価:A
 父ディープインパクトで母父は凱旋門賞馬のRainbow Questと上記で述べた血統構成としてはドンピシャ。Blushing Groom系の重い馬場の適性とスタミナを持つタフな能力が強く、前走の弥生賞でも朝日杯勝ち馬のドウデュースに迫られても抜かされなかった。
 今の日本の馬場適性と考えると少し重いイメージだが、今回の皐月賞は雨が降って少し重くなるほか、前残りになる可能性が高いと考えている。そう考えると先行力+抜かせないスタミナと勝負根性が必要なレースになるだろう。
 去年、弥生賞を勝利して皐月賞2着だったタイトルホルダーも母父Motivatorという欧州の大種牡馬Sadler's Wells系を持つ血統構成で、逃げ・先行で粘り込むスタミナ豊富なタイプという点が共通している。
 馬場傾向にもよるが、今回の皐月賞の舞台は合っていそう。

〇2枠4番 キラーアビリティ 前走:ホープフルステークス 1着 評価:A
 ディープインパクト産駒で去年のホープフルステークス勝利馬。母父のCongareeは北米ダート中距離GⅠを3勝した。母父系統にBlussing GroomながらA.P.Indyが入るなど、少しズレてはいるが王道のディープ×スピード型である米国ダート血統で末脚のキレとパワーを併せ持つ印象。
 前走のホープフルステークスは上がりがかかる馬場ながら先行し、しぶとく伸びて勝利した。ここで敗退したマテンロウレオ、オニャンコポンが重賞を勝利した点を見るとレベルの高いレースで、横綱相撲で押し切ったあたり実力上位。馬場がよほど重くならない限りは、大きく崩れることはないだろう。
 今回も適度な内枠から先行し、抜け出す競馬を行うことになるか。鞍上こそGⅠで1番人気ながら連敗しているが、ここまでいずれも中京・阪神といわば敵地に乗り込んだようなもの。得意の中山で鞍上も連覇を狙っていることだろう。
 ここは実力最上位と判断。
 POG指名馬というのは、関係ない。ないったらない。

〇3枠6番 ジャスティンロック 前走:弥生賞 4着 評価:C
 父は新進気鋭のリオンディーズ。母父はアッミラーレ。寡聞にして知らなかった馬で輸入種牡馬かな? と思い、調べてみると天下のサンデーサイレンス産駒だったから驚きだ。現役時代はダート戦線を走り、春待月ステークス(OP特別・ダート2300m)を勝利した。
 種牡馬としては地方競馬を中心に産駒を送り出している。現役時代は競争成績に恵まれずとも、子孫に重賞を勝利し、クラシックに参戦する馬を送り出すのだから、まさに血統のロマンが詰まっている。
 話は逸れたがリオンディーズ産駒の牡馬の距離適性は幅広い。ここまで中距離で戦績を残しており、距離の不安などはあまりない。
 だがキャリア4戦中3戦で後方待機など、スタートは速くないのがネック。中山2000mは向いていると思うが、後方から差し切れるほどではないと予想。
 逆にゲートさえスムーズならば、好位につけて一発が有り得るかもしれないが、そんなことを言い出したらキリがないのが馬券予想。
 今回は消しで。

〇4枠7番 ボーンディスウェイ 前走:弥生賞 3着 評価:C
 前走弥生賞では3着に粘り込んだ、先行力と粘り強さに長けた馬。父はハーツクライ。母系はなんとHampton系。まさかこの系統を持つ馬がクラシックに上り詰めるとまでは思わなかった(母父のプラティニはエイシンフラッシュの母父なので全然いないわけじゃないのだが)。母系に重厚さがあるのは先に述べたアスクビスターモアと同じだが、それ以上にステイヤーを多く輩出した血統でもある。サッカーボーイは例外的にマイルから中距離で活躍したが、そのサッカーボーイからヒシミラクルやナリタトップロード、アイポッパーといった名ステイヤーが送りだされた。その他にセイスンスカイがおり、まさにステイヤーの血筋。
 ハーツクライの持続力のある末脚もあり、スタミナを活かした先行策を武器にしている。しかし欧州血統かつハーツクライ産駒と考えると、古馬になってからが本格化しそう。
 ハーツクライ×重厚な欧州血統はサリオスと同じだが、サリオスがNijinskyからタフな馬場をこなすパワーを引き継いだとしたら、ボーンディスウェイはスタミナを引き継いだという違いがある印象。
 しかしやはり完成する早さが求められる皐月賞ではなく、古馬になってから注目したいところ。

〇5枠9番 サトノヘリオス 前走:スプリングステークス 3着 評価:B
 父エピファネイアで母父サンデーサイレンス。前年覇者のエフフォーリアがエピファネイア×ハーツクライだったのに少し近いイメージ。母エアマグダラはJRA4勝、芝のマイルから2000mで活躍した。母母エアデジャヴーはオークス2着、秋華賞3着でクラシック適性が高い牝系。
 前走スプリングステークスでは終始内でもがきながら、最後は直線で伸びて出走の権利を手にした。敗北したホープフルステークスはレコードタイムを出してから中1週、その上外をまわすなど、流石に負けるのも仕方ない臨戦過程だった。
 スプリングステークスはスムーズな競馬にならなかったが馬券に絡んだのを見ると、軽視できない。順調にレースを進めればエリカ賞くらいはやれてもいい。
 真ん中に近い枠から直線でスムーズに進路を確保できれば、チャンスは大きいだろう。

〇5枠10番 ジャスティンパレス 前走:ホープフルステークス 2着 評価:B
 ディープインパクト産駒でこれまで先行抜け出しで2勝、ホープフルステークスは2着だった。ホープフルステークスではジョッキーが早く手を動かしながらも伸び続けた。母父は欧州Northern Dancerのヌレイエフ系。母父父のTheatricalはヒシアマゾンの父で、産駒のザクレヴは道営の雄コスモバルクを送り出すなど、芝中距離馬を送り出す血統。母母にはRovertoの血を持ち、瞬発力よりパワー型の要素が強いイメージ。
 中山の芝小回りは合っているタイプで捲っていくタイプ。先行して前の馬についていくスタイルで、ホープフルの再演は狙えそう。

〇6枠11番 オニャンコポン 前走:京成杯 1着 評価:C
 父エイシンフラッシュ、母父ヴィクトワールピサという2010年クラシックホース配合で、ウイニングポストならライバル配合とかで爆発力が増えそうな血統。
 ホープフルステークスでは11着ながら京成杯で巻き返して勝利。京成杯勝利から皐月賞直行は父のエイシンフラッシュと同じローテ。
 中山芝2000mも走れそうだがタイムを見るとスローペースで末脚勝負が合っているか。ホープフルステークスでは外から捲られると伸びず、京成杯では外から進出する形でするすると伸びて重賞勝利。揉まれ弱いところがあり、外をまわしたいが、今の中山競馬場で外を回して届くとは考えづらい。無論、当日の馬場傾向次第ではあるが、重視はしない。
 今回は消しで。3着だったらダービー本命にしてもいいくらいだ。

〇6枠12番 ドウデュース 前走:弥生賞 2着 評価:C
 朝日杯の勝ち馬で1番人気想定となるであろう馬。弥生賞は第3コーナーで不利を受け、ポジションを下げたのもあって2着。不利がなければ勝っていただろう。しかし弥生賞のメンバーの層が厚いかといわれると疑問符がつく。
 中距離サンデー系×シアトルスルーという王道血統。ハーツクライ産駒という点で懸念があるほか、前走も不利があった上の2着とはいえ抜けた存在というほどでもなかった。
 馬券から切るのは勇気がいるが、初志貫徹ということでハーツクライ産駒はばっさり切ることに。

〇7枠13番 ビーアストニッシド 前走:スプリングステークス 1着 評価:C
 父のアメリカンペイトリオットはメーカーズ46マイルS(GⅠ)の勝ち馬。War Frontの後継種牡馬で、母Life Well Livedはドバイワールドカップを勝利したWell Armed。現3歳世代がファーストクロップで現時点では芝のマイルから中距離で勝ち上がりを多く出している。
 母父はネオユニヴァース。皐月賞と東京優駿を制したサンデーサイレンス産駒だが、馬場が重いきさらぎ賞、東京優駿、大阪杯(当時GⅡ)を勝利するなど、パワーに優れており、産駒もダートの勝ち数が多く、重賞勝利も当初は芝重賞が多かったが、キャリア後半になるとダートの勝ち鞍が多かった。
 母系には近親にJBCスプリントなどを制したブルーコンコルドがおり、ブライアンズタイムの血をボトムラインに持っていることからパワーに優れた血統。
 馬券に絡んだレースはいずれもスローペースで逃げ粘っていることから今回のペースでは流石に逃げ粘れない印象。
 今回は消しで。

〇7枠14番 ジオグリフ 前走:共同通信杯 2着 評価:B
 父は新種牡馬ドレフォン。母は秋華賞、エリザベス女王杯でそれぞれ3着のアロマティコでStorm Catのスピード持続力に芝中距離血統をかけ合わせた感じ。朝日杯は少し距離が短く、忙しかった印象。札幌2歳ステークスを見るには1800mが下限の距離適性か。
 前走の共同通信杯は好位につけて直線ではダノンベルーガにかわされて2着。それでも後方を突き放しており、負担重量も唯一の57kgを背負っていた。
 負担重量57kgで共同通信杯を連対した馬はゴールドシップ、ディープブリランテ、イスラボニータ、アドマイヤマーズといずれもアドマイヤマーズ(4着)を除き、皐月賞で馬券に絡んでいる。ダノンベルーガにかわされたのは負担重量の差と考えると充分巻き返しはあり得るだろう。
 血統的に多少芝が渋ってもスピードで押し切れてしまいそう。
 実績を考慮し、馬券からは外せない。

〇8枠16番 デシエルト 前走:若葉ステークス 1着 評価:B
 父は先ほどのジオグリフと同じくドレフォン。母はアドマイヤセプターで遡ればエアグルーヴにたどり着く名牝出身。北米チャンピオンスプリンターたるドレフォンからスピードの持続力を付け足され、切れ味に優れる牝系が強化されたようなイメージ。
 外枠という点が気になるほか、ハナを奪うかどうかという点で少し評価を下げたが実力的には今回の舞台では上位と考えている。
 ダートを2戦し、迎えた若葉ステークスでは見事な逃げ切り。タイムも稍重ながらかなりのもので、スピード能力に優れるのは確か。
 若葉ステークスをステップに皐月賞で連対したのはヴェロックスとワールドエースの2頭。あまり有力でないステップではあるが、皐月賞で逃げ残る可能性は高いと考えている。

〇8枠18番 イクイノックス 前走:東スポ杯2歳ステークス 1着 評価:C
 父はキタサンブラック。母父はキングヘイロー。異例のローテーションでやってきた期待馬。東スポ杯は後方でじっくり構えると直線一気で完勝した。
 血統的にはキタサンブラック産駒最初の大物といった感じで、如何にもスタミナ晩成型になりそうな構成を幅広い適性とサンデーサイレンス産駒全盛期にも負けない瞬発力を持つ母父キングヘイローの血で短めの距離も対応できる切れ味を伝えている。
 キタサンブラック産駒はまだ未知数だが、キタサンブラック自身が古馬になって本格化したように、イクイノックスも本格化はクラシック春という雰囲気ではない。実際、消耗のしやすさという点が弱点のようで、異例のローテーションを組んで挑んできた。
 母父のキングヘイローは超良血である他、Drone≒Halo≒Sir Ivorのニアリークロス3×2×3を持ち、Haloの血が濃い。そのためサンデーサイレンスの瞬発力に負けない能力を持っていた反面、気性の悪さも受け継いでいたのだろう。
 産駒のローレルゲレイロはパワーに優れたマイラーを多く送り出すCaerlean系の母父を持ち、自身は高松宮記念を勝利。カワカミプリンセスは母父にシアトルスルーを持つことで切れ味を伝達され、中距離を主舞台に戦えた。
 母父になって重賞馬が増えているのは、母数が増えたほかに、ディープインパクトやハーツクライといったサンデーサイレンスの子供世代ではHaloの血が濃すぎるがキズナ、キタサンブラック、モーリス、シルバーステートといったサンデーサイレンスが遠ざかった種牡馬が出てきたことで良血が活かされているのではないか。
 そう考えるとイクイノックスの母系はキングヘイロー×トニービンであり、そこにキタサンブラックが加わることで東京の大箱向きの血統構成となっている。
 血統から考えると、やはり皐月賞よりはダービー向きだろう。東スポ杯のメンバーもその後重賞2着が最高でほとんどが1勝クラスでもスムーズに勝ち上がれていないことから、レベルが高いというわけでもない。
 キングヘイローの血統構成の話が長くなったが、今回の舞台は不向きということで勇気の消し。

【予想】
 まとめとして、予想印は

◎アスクビクターモア
〇キラーアビリティ
▲ジオグリフ
△サトノヘリオス、ジャスティンパレス、デシエルト

 でいかせてもらう。結果的に人気になるであろうドウデュース、ダノンベルーガ、イクイノックスをばっさり切るという珍しいことになった。
 穴馬を当てないと中々収支がプラスにならないのが競馬。
 とはいえ、私が予想して自然と穴馬を選んだとき、大抵ロクなことにならない記憶があるのだが……。
 

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