UTG,HJ VS BTNの簡易CB戦略(キャッシュ100BB,SRP)
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はじめに
今回は100bb Cash(レーキ50NL)SRPにおけるUTG,HJ VS BTNの簡易CB戦略についてGTO WIzardを用いて紹介します。BTN VS BBの簡易CB戦略はかなり多くの人が勉強していますが、UTG,HJ VS BTNの場合のCB戦略をきちんと学習している人の割合はそれよりはかなり下がるのではないかと思います。ポジションがない分CBを打つ頻度が下がるのは直感に合っていますが、単純にBTN VS BBの場合のCB戦略を、CB頻度を下げて適用しているだけだと気づかないうちに多くのEVロスが発生してしまいます。今回は、、モノトーンボード、コネクトボード、ペアボード(ペアカードが10以上),ペアボード(ペアカードが10以下),Aハイボード(キッカー10以上),Aハイボード(ローカード2枚),K,Qハイボード(ウェット)、K,Qハイボード(ドライ),Jハイボード以下に分類して、GTOウィザードでの分析結果から簡易CB戦略を構築していきます。
実戦においてはGTOよりもBTNからのCC頻度が高いように思われるので、BTNからのCCレンジを広めた時のCB戦略についても考察していこうと思います。
モノトーンボード
結論から書くと、"レンジ全体で安いベットを2割、チェックを8割行う"という簡易CB戦略を取ることがおすすめです。
UTG vs BTN, HJ vs BTNフロップQ♠︎、7♠︎、5♠︎のフロップ戦略は以下のようになっています。下のEquityチャートをみればわかる通りに、わずかにUTG,HJが有利なボードになっており、ナッツであるAx♠︎♠︎のコンボ数はオリジナル側に多くなっている特徴があるボードです。
頻度の少ないベットに回すモチベーションが高いハンド群としては、バリューとして現状勝っている可能性が高いものの、Equityの頑強さでみれば心もとないセットやオーバーペアなど、ブラフとしてはSDVがほとんどないKxsなどが挙げられます。
基本的に、ハイカード(今回はQ)が大きければ大きいほどオリジナル側のCB頻度が低く、ハイカードが小さければ小さいほどCB頻度が高くなります。これはA♠︎がボードに落ちているとオリジナル側のナッツアドバンテージが少なくなるからだと思われます。(AxsはBTN側よりもUTG,HJに多い)ハイカードを10♠︎にするとベット頻度は約30パーセント、A♠︎にすると12パーセントになります。ベットに回す優先度が高いハンドについて理解し、チェック頻度をかなり高めにすることでモノトーンボードで大きくEVをロスすることは無くなるでしょう。
コネクトボード
ストレートが多いボードであるコネクトボードについても考察していきましょう。
AKTやAQJなどのボードはキッカーが10以上のAハイボードとして分類しており、KQTなどのボードはKハイボード、Qハイボードなどに分類しているのでハイカードがJ以下でストレートが多いようなボードについて考察していきます。
結論から言うと、オリジナル側が全レンジで100パーセントチェックするようなCB戦略が有効です。
フロップ8♠︎6❤️5♣️におけるUTGvsBTNのEQ分布と戦略は以下の通りです。
HJvsBTNのEQ分布とフロップでの戦略は以下の通りです。
このようにストレートが多いボードの場合は、基本的にオリジナル側のレンジアドバンテージが消失し、レンジ事態が狭く、その中のミドルポケットやスーコネが多いBTNのCCレンジ自体が非常に強くなります。レンジの中でのナッツ、セカンドナッツ級のハンドの割合がBTN側で高いので、オリジナル側が基本的にCBを打てない状況になります。
例外的に、以下のようなレインボーのJハイボードでは33パーセントサイズベットの頻度がレンジ全体でありますが、レンジ全体でチェック頻度がありますし、この非常に限定的な場面での混合戦略の偏りをエクスプロイトすると言うのは現実的ではないので、Jハイ以下のストレートが多いボードではレンジでチェックする簡易戦略を採用することでEVロスを減らすことができます。
ペアボード(ペアカードが10以上)
ペアボードについては、ハイカードが10以上か9以下かでかなりCB戦略に違いが出てくるので、このように分類しています。
結論から言うとペアカードが10以上のペアボードでは、レンジ全体で30パーセントの頻度で33パーセントほどの安いCB,70パーセントでチェックしましょう。
例えばHJvsBTNのJ♠︎J♦️6♦️におけるEQチャートとフロップ戦略は以下の通りです。
レンジ全体で一定の頻度で33パーセント頻度のベットをしていることがわかります。大まかな傾向はT,J,Aのペアボードでも変わりません。
比較的ベット頻度の偏りが少ないですが、Aハイやセカンドペアなどのショーダウンバリューがありそうなハンドのチェック頻度が高いと言うことは覚えておきましょう。
例外的なのがKのペアボードで、このボードではオリジナルのCB頻度が非常に高くなっています。K♠︎K♦️6♦️でのHJ側のフロップでの戦略は以下の通りです。
やや大きいサイズのベットが使われることもありますが、最初に紹介したCB戦略を活用してEVを大きく失うことはないと考えていいでしょう。Kのペアボードという非常に限られた状況でこの混合戦略の偏りが大きくリークになることは考えにくいです。
ペアボード(ペアカードが9以下)
ペアボードでペアカードが9以下の時にアーリーボジション側が採用すべき戦略は、結論から言うとナッツ級or最弱級のハンドでは50パーセントの頻度で75パーセントサイズのベット、残りのマージナルなハンドでは100パーセントチェックです。このようなボードではUTG側のレンジの強さがポラライズされていることが多いです。以下にUTGVSBTNでのいくつかの例を紹介します。
995ボードの場合
772ボードの場合
このような9以下のカードがペアになっているボードでは、UTGのオリジナルレイザーとしてのレンジアドバンテージ自体はほぼ消失しており、Equityは50パーセントほどです。しかし、非常に強いハンド(オーバーペアなど)や非常に弱いハンドの割合がオリジナル側の方が高くなっているため、レンジがポラライズされていると言うことができます。そのため、レンジのアドバンテージがなくともナッツ級またはトラッシュハンドで頻度で大きめのベットをすることが正当化されるのではないでしょうか。チェック頻度は一定で必ずあるので、迷ったらチェックをしておけばこの場面で 大きくEVを失うことはありません。
Aハイボード(キッカー10以上)
Aハイボードは2枚目に大きい数字によって戦略が大きく変わってきます。BTNのコールレンジの中でAxsは多くの割合を占めており、単にAハイボードというだけなら必ずしもオリジナル側にアドバンテージがあるとは言えないからです。
キッカーが10以上の場合、レンジの半分で33パーセントベット、レンジの半分でチェックしましょう。
以下に2つほど例を挙げてみます。
AT5の場合
AQ8の場合
どちらの場合でもレンジ全体でUTG側が有利であり、ベット頻度としては50%ほどになっています。レンジ全体としてUTG側が強いので、CBのサイズは一律で33%でいいでしょう。ベットに回す優先度が高いハンド群としては、バリューがAK,AJなどの強めのトップヒット以上、ブラフがKQ,KJなどのガットショットなどのドロー系,もしくは発展性があるボトムヒットが挙げられます。(AQ8ボードでの87sなど)
Aハイボード(キッカーが9以下)
Aハイボードではキッカーが9以下になるとCB戦略がガラッと変わります。結論から言うと、全レンジチェックで大丈夫です。以下2つほど例を挙げてみます。
A95ボード
A75ボード
どちらのボードでもオリジナル側がやや有利ですが、2枚めに大きいカードが10以上の時に比べるとエクイティはやや下がり、ベット頻度は20%ほどにまで下がってしまいます。10と9の間にな境界線がある理由を明確に述べるのは難しいですが、Axoの強めのツーペアが存在しなくなるので、非常に強力なハンドのコンボ数が減ってしまうからではないでしょうか。最もベット頻度が高いAKでも50パーセントほどなので、全レンジチェック戦略を採用してEVを失うことはほぼなさそうです。
(追記 よりウェットなボードではチェック頻度がより上がります。スーコネなどスーテッド系のハンドがBTNのコールドコールレンジに多いからではないでしょうか。)
K,Qハイボード(ウェット)
次に、ウェットなK,Qハイボードについて議論していきます。ウェットと言うのを明確に定義するのは難しいですが、基本的にはオープンエンドやフラッシュドローなどといった強めのドローが多いボードのことです。
簡易戦略としては、50パーセントの頻度で33パーセントCB,残りはチェック、という戦略を採用するのがいいと思います。いくつか具体例を貼ってみましょう。
このようなボードは概してオリジナル有利であり、現状弱くても捲り目のあるハンド群は多いので、レンジ全体が有利でありベットサイズは33パーセントほどがよく用いられます。ベット頻度に関しては35パーセントから60パーセントの間ですが、50パーセントと認識して簡易戦略を採用しても大きな問題はないでしょう。ベットに回す優先度が高いハンド群として、バリューは強めのトップヒットから、ブラフは主にドロー系とボトムヒットしているAxsなど(アウツが多い)などが挙げられます。
K,Qハイボード(ドライ)
次に、ドロー系が少ないK,QハイボードのCB戦略について考えていきます。
結論として、上位3割ほどの強いハンドを33パーセントサイズでベットし、残りのハンドをチェックしましょう。
いくつか具体例を見ていきましょう。
このように、KハイボードがQハイボードかでベット頻度に差が出ているものの、
Equityが50パーセント以上のハンド群がオリジナル側に多い、
50パーセントと33パーセントのベットサイズが同じくらいの頻度で用いられている
と言う点では共通しています。これらのボードではブラフに回しやすいハンドがそこまで多くないので、一定以上強い時に頻度でバリューを打つとだけ覚えておけば大きなEVロスに繋がることはないでしょう。
余裕がある方は、Kハイボードの方がオリジナルの優位性があり、CBをより積極的に打てること、50パーセントのベットサイズが用いられることを覚えておいても損はありません。
Jハイボード以下
最後は大きな括りになってしまうのですが、Jハイボード以下の時のCB戦略について考察していきます。
結論から言うと、全レンジでチェックする簡易CB戦略を採用しましょう。このようなボードではオリジナルの優位性はほぼ存在しません。
いくつか具体例を見ていきましょう。
このように、多くのボードでBTNの方がエクイティが高く、完全にオリジナルの優位性がなくなってしまっていることがわかります。BTNの狭いCCレンジの中にはミドルポケットなどのペアがコンボ数の割合が高くなっていることが原因だと考えられます。
かろうじてオリジナルの優位性が保たれているドライなJハイボードでさえも全てのレンジで4割以上チェック頻度があり、この非常に限定的な局面で混合戦略の偏りをエクスプロイトされることはほぼないでしょう。Jハイボードの時はAJなどの強めのトップペア以上でバリューをとりに行くことも検討してみてもいいでしょう。
まとめ
GTOウィザードを用いて、UTG vs BTNのCB戦略を分析した結果は以下のようになります。
モノトーンボード:
レンジ全体で20%の安いベット、80%チェック
ハイカードが大きいほどCB頻度は低下
コネクトボード:
基本的に全レンジで100%チェックが有効
BTN側のレンジが特に強くなるため
ペアボード(10以上):
レンジ全体で30%の頻度で33%サイズのCB、70%チェック
Kペアボードは例外的にCB頻度が高い
ペアボード(9以下):
ナッツ級/最弱級:50%の頻度で75%サイズのベット
マージナルハンド:100%チェック
Aハイボード:
キッカー10以上:レンジの半分で33%ベット、半分でチェック
キッカー9以下:全レンジチェック推奨
K,Qハイボード:
ウェット:50%の頻度で33%CB、残りはチェック
ドライ:上位3割の強いハンドを33%サイズでベット、残りチェック
Jハイボード以下:
全レンジでチェックする戦略を推奨
オリジナルの優位性がほぼ消失
肌感覚よりもUTGからのCB頻度が低いと感じた方も多いのではないでしょうか。TGからのCB頻度が直感的な予想より低い理由として、主に2つの要因が挙げられます。1つ目はポジションの不利さ、2つ目はBTNのコールドコールレンジがリニアで狭いことです。特にペアボードやAハイボードでの機械的なCBは、大きなEVロスを引き起こす可能性があるため注意が必要です。ただし、実戦ではBTNプレイヤーの多くがコールドコールを過剰に行う傾向があるため、状況に応じてCBレンジを若干広げることも検討できます。理論と実戦のバランスを考慮しながら、状況に応じた適切な判断を心がけましょう。
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