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次々と意味のないものにされる性別変更特例法

先日(2024年5月31日)最高裁で戸籍変更して戸籍上女性となった男性が、その後凍結精子をつかって女性パートナーに産ませた子供との父子関係を認めると判断した。(強調はカカシ)

性別変更後に凍結精子で生まれた子と親子関係認める 最高裁
戸籍上の性別を男性から女性に変更した当事者が凍結保存していた自分の精子で生まれた娘との親子関係を求めて起こされた裁判で、最高裁判所は21日、親子関係を認める判断を示しました。(略)

性同一性障害と診断され、戸籍上の性別を男性から女性に変更した40代の当事者は、変更する前に凍結保存していた自分の精子を使って30代の女性との間に2人の娘をもうけました。

娘の「父親」としての認知届を自治体に出したものの認められず、家族で裁判を起こしました。

2審の東京高等裁判所は、性別変更の前に生まれた長女については「父親」の認知を認めた一方、変更後に生まれた次女については認めず、上告していました。

21日の判決で最高裁判所第2小法廷の尾島明裁判長は「親子に関する法制度は血縁上の関係を基礎に置き、法的な関係があるかどうかは子どもの福祉に深く関わる。仮に血縁上の関係があるのに親権者となれないならば、子どもは養育を受けたり相続人となったりすることができない」と指摘しました。

その上で、裁判官4人全員の意見として「戸籍上の性別にかかわらず父親としての認知を求めることができる」という初めての判断を示し、性別変更後に生まれた次女との親子関係を認めました。(後略)

NHK

この判決には二つの問題がある。先ず原告の男性は戸籍変更前に長女を設けている。もうこの時点で彼は特例法の「未成年の子供がいない」という項目に違反している。本来であれば第一子の認知の裁判が起きた時点で彼の戸籍は女性から男性に戻すべきだった。何故なら彼は未成年の子供がいないと虚偽の申請によって戸籍変更をしたわけだから。そして彼は戸籍変更前にあらかじめ精子を凍結していたおり、明らかに戸籍変更後に子供を設けようという計画的な犯行に及んだと言える。にもかかわらず最高裁はそれを罰するどころか許可してしまったのだ。

では先ず戸籍上の性別変更を認める要件(性同一性障害特例法)をおさらいしてみよう。同法律では二人以上の医師から性同一性障害の診断があることを前提としたうえで次の五つの要件が求められる。

  1. 18歳以上である

  2. 現在結婚していない

  3. 未成年のこどもがいない

  4. 生殖腺や生殖機能がない

  5. 変更後の性別の性器に似た外観を備えている。

人情として、自分の遺伝子を持つ子供を自分の子供として認知できないというのは気の毒だという気持ちはわかる。しかし特例法そのものがある程度の要件を満たしたもののみに認められる特別な法律なわけで、それを満たせないのであれば戸籍変更など認めてはならないはずだ。それが去年何の整形手術もしておらず生殖機能も残したままの若い女性の戸籍変更が認められ(第四項目)、今回は未成年の子供がいないという第二項目も事実上廃止されてしまったのだ。

この二つの判決は特例法の精神に完全に反している。要件の2,3,4は本人の決断により配偶者や子供が犠牲にならないように設けられた項目である。ところが父親のいない子供を持たせては可哀そうというおかしな感情に流されて、子供を守るという肝心な点が無視されてしまっている。

これについて尾島裁判長は「特例法も子をもうけること禁じていない」と指摘している。尾島裁判長の判断では、特例法では要件の1つとして、未成年の子どもがいないことを求めているが「特例法は、性別変更後に生殖補助医療を使って子どもをもうけることを禁じていない。変更前に生まれた子どもからの父親の認知も排除していない」と指摘し、矛盾はないとしている。また生殖補助医療に関する議論について「精子提供者の意思への配慮や提供者の意に反して使われた場合の親子関係が問題になっている」として、今回はそうした問題の結論になるものではないとしている。

ちょっと待て、特例法が子を設けることを禁じていないなら、何故第四項目に生殖腺や生殖機能がないことが入っていたのだ?戸籍変更前に未成年の子供がいるのは駄目だが、戸籍変更してから子供をつくることは構わないのか?そんな矛盾した法律があるか?

そうか、先ず去年の判決で第四項目をなきものとしておき、戸籍変更後に子供が出来る可能性を考慮したうえで今回の判決というわけか、良く出来ているな。

またもう一人の三浦裁判官も特例法の要件の1つについて「生殖補助医療の利用で子どもが生まれる可能性を否定していない」と述べ、「技術の発展やその利用の拡大で生命倫理や家族のあり方などさまざまな議論がある。法整備の必要性が認識される状況にありながら20年を超える年月が経過する中ですでに現実が先行するに至っている」と指摘した。

いや、文字通り「生殖補助医療による子供の出産」を否定していないとしても、生殖機能を保持していないことを求めている時点で、戸籍変更後に子供を持つことは禁じられていると解釈すべきである。

特例法は、すでに第五項目の変更後の性別の性器に似た外観を備えることも裁判中であり、これが廃止されるのもほぼ時間の問題だ。二人の医師の診断書にしたところで、問診15分で診断書を書くような金儲け主義の藪医者など探せばいくらもいるし、それを商売にしているジェンダークリニックがすでに存在している。

となると残るは1の年齢と2の婚姻状態だけだ。日本では子供の性転換治療が違法ではないので、思春期ブロッカーなどを摂取して異性に見える子供の戸籍がそのままだと不都合だとか何とか云って訴訟が起きるのは目に見えている。また結婚の状況にしても、同性婚が認められるようになれば(これも国民の意思を無視して裁判で決まりそう)結婚しているからと戸籍を変えられないという理由が成り立たなくなる。そうなったら性別の戸籍変更は本人がそういいさえすれば成り立つという、いわゆるセルフID法へと変貌してしまうのだ。

無論これは特例法が成立した時から企てられていた作戦である。こうなることは最初から解っていた。一旦戸籍上の性別を変えられるという既成事実を作ってしまえば、要件など後でいくらも変えられると活動家たちは知ったうえで長期作戦を立てていたのである。だから私は特例法そのものを撤廃し、DSDなどで出生時に誤った性別が記録された場合を除いて戸籍上の性別は後になにをやっても変えられないとすべきなのである。

ところで今回の裁判で次女の代理人を務めた仲岡しゅん弁護士(MtF)は法律の抜け穴を使った「奇策」によって今回の判決にこぎつけた。

最高裁で弁論した仲岡しゅん弁護士
 (仲岡しゅん弁護士は)5月31日にあった最高裁第二小法廷での弁論後、「性別に関係なく、子どもには親を定める権利がある。性的少数者も家族をつくる権利があるということを問う裁判だった」と振り返った。
 
男性から性別変更したトランスジェンダー女性は、パートナーの女性との間に、凍結保存した精子を使って2人の実子をもうけた。だが同性婚が認められていない日本では、分娩(ぶんべん)したパートナーは子どもの母だが、トランスジェンダー女性と子の法的な親子関係はない。2020年、居住する自治体に父として子どもを認知する届け出をしたが、現在は女性であることを理由に受理されなかった。通常であれば、自治体を相手取り、不受理処分に対する不服申し立ての家事審判を起こすところだが、相談を受けた仲岡は子どもを原告に親に認知を求める裁判を起こすことを考えた。
 
裁判は通常、利害の相反する者が争う場だ。だが今回のように、原告である子も被告である親も共に親子になりたいと願っている場合、司法はどうこたえるのか。「個人の幸せ、子の福祉を阻んでいるのは誰なのか。行政であり司法であることを浮かび上がらせたかった」という。  (略)

ヤフーニュース

この仲岡しゅんという弁護士はトランスジェンダー活動家であり、自称女性の男性を女子刑務所に収容させようとしたり、刑務所内でのトランス治療を継続させたりといった運動もさかんに行っている。

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