ロシアの”力でねじ伏せて実現する”という新しい世界秩序
”力でねじ伏せることが大きな成果を生む”という思想を持って実行に移すことが世界的なトレンドとなっている現代、そのトレンドの最先端を突き進んでいる代表格はロシアでしょう。
そのロシアが描く”力でねじ伏せて実現できる大きな成果”とは何なのか?
このことについて、ここ最近の国際ニュースで2人の専門家がロシアの戦略について解説してくれた内容をご紹介したいと思います。
ひとつ目は、ロシアの外交・安全保障の専門家笹川平和財団の主任研究員である畔蒜泰助さんが解説してくれた『プーチン大統領が実現したがっている大きな成果とは?』
ふたつ目は、長年ロシアを取材している石川一洋専門解説委員が解説してくれた『成果を生むために必要な反米感情を拡散するための外交戦略とは?』
プーチン大統領の世界戦略”新しい世界秩序の創造”
NHK番組『キャッチ!世界のトップニュース』「プーチン大統領の世界戦略とは」(23/11/6放送分より)にて、ロシアの外交・安全保障の専門家笹川平和財団の主任研究員である畔蒜泰助さんが解説してくれたロシアのプーチン大統領が描く「新しい世界秩序」についてご説明したいと思います。
プーチン大統領はウクライナ侵攻の際に、「これは国際秩序を守る戦争なんだ」と演説していますし、アメリカ主導の世界秩序は不公正であると指摘しています。
ぜならば、アメリカだけが利益を得るアメリカ主導の国際秩序は不公正であるため、公正で公平な世界秩序の実現のために戦っているというのがロシアが抱いている思想なのです。
それを踏まえてプーチン大統領が描く公正・公平な新しい世界秩序について、畔蒜さんはこうおっしゃっておりました。
このロシアの思想に、中国も共通した世界秩序観を抱いているのは習近平国家主席が述べたことからも推測できるようです。
以上のように、中国と共通な価値観を持つことを背景に、ロシアは世界に対して力でねじ伏せることで大きな成果を得ようと躍起になっていることが良く分かります。
つまりロシアが描く新しい世界秩序実現のためには、戦争をしてでも相手を倒さなければならないという戦略を持っているため、停戦どころか歩み寄りすらもしない、むしろロシアに共感を持つ国が増えているから、ここはぶれずに突き進み、力で相手をねじ伏せる戦争の時代に突入することをロシアは覚悟しているのだと、そんなふうに考えざるを得ません。
アメリカを弱体化させるロシアの外交戦略
さらに、たとえ戦争の時代に突入したとしてもロシアが突き進むのを止めない理由があるようです、それは”アメリカの弱体化”、そして”高ぶる反米感情”です。
トランプ大統領が政界入りしてからアメリカ国内の分断は加速しているように見えますし、さらに、イスラエル・パレスチナ情勢の悪化により世界的にアメリカ非難が高まっていること、この状況はロシアにとってはチャンスと捉えていると考えられます。
そこで、NHK番組『キャッチ!世界のトップニュース』「中東めぐるロシアの外交戦略」(23/11/15放送分より)について、石川一洋専門解説委員が解説してくれた内容をご紹介します。
つまり、今回のパレスチナ問題をアメリカの影響力を低下させるために政治利用しようとしているのが、中東をめぐるロシアの外交戦略なのです。
そのため、ロシアはアメリカとの対立軸を明確化させています。
アメリカがイスラエル支持なら、ロシアはパレスチナ支持に回る。さらに、ガザ地区攻撃が国際的な人道上の問題を深刻化させていることから世界からはイスラエルへの批判が強まっていることを受けて、同時に反米感情も高まりかけているいま、ロシアにとっては好都合となっているのは目に見えて明らかになっています。
もし、アメリカが中東をめぐる外交戦略で失敗することがあるならば、ロシアは好機とみて、ロシアが描く新しい世界秩序実現のために、更に力でねじ伏せる傾向を強め、結果的に戦争の時代がさらにエスカレートする時代が訪れるかもしれない、そんな悪夢のような妄想が止まらなくなってしまいました・・・
あくまでも悪い妄想だけで終わればいいことを願うばかりです。
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