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日本の空き家問題はどこに向かう?商品化?それとも別の価値観へ?
来年発表される国の調査によると、全国で空き家が1000万戸を超えるとみられています。空き家が増えると街は活気も失ったり、安全性を損なったり、魅力がなくなったりと、それだけでなく犯罪も増える可能性があるとも言われています、つまり街が衰退するというわけですね。
さらに、将来の日本では空き家の数が1万戸を超える市町村は2040年には全国で今の4倍以上になると予想されているほど、日本の空き家問題は年々深刻度を増していくということのようです。
これが2040年の空き家数 全国予測マップ(市区町村別)
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この日本の空き家問題について、いま現在、日本ではどのように問題に向き合っているかを特集してくれたNHKスペシャル『老いる日本の“住まい” 第1回 空き家 1000万戸の衝撃』を観ました。
ところが、番組で知った空き家問題に向き合っている内容を知った際に、ある”問い”を持つことができました、その問いとは・・・
日本の空き家問題って従来通りの”商品化”で解決できるの?
住宅について全く知らない私が、空き家問題を考えるのが、今回のボソッとです。
いまの日本の空き家問題の向き合い方
NHKスペシャル『老いる日本の“住まい” 第1回 空き家 1000万戸の衝撃』の番組では、日本の空き家問題の向き合い方について、2種類のやり方が紹介されていました。
①DIY型賃貸借として再生
②リフォーム後に中古物件として再生
①DIY型賃貸借として再生とは・・・
借主側がリフォーム費用を負担して許可の範囲で自分好みに改修する代わりに相場より安い賃料で借りることができることをDIY型賃貸借と言います。
②リフォーム後に中古物件として再生
賃貸から持ち家に住み替えたいというファミリー層向けに、新築よりも安く家を入手できるリフォーム中古物件。
DIY型賃貸借もリフォームも、どちらとも資本主義経済という従来通りのやり方ですよね、つまり・・・
日本の空き家を”商品”として魅力を高めることで、日本の空き家問題が解決できる!
と思う方は、どれくらいいらっしゃるのでしょうか、恐らくほとんどの方は解決できないのでは?と思うのではないでしょうか、私もそうです、”商品”という価値観から脱しないと空き家問題は解決できないのではと思っています。
空き家問題の向き合い方は商品とは別の価値観が必要
”商品”という価値観から脱しないと空き家問題は解決できないと私が思ったのは、ある国際ニュースを観たことがきっかけでした。そのニュースをご紹介しましょう。
一方は家の商品化を推奨するニュース、かたや一方は、商品とは別の価値観で街を活気づけるニュースです。
フランス 自宅に広告パネル設置で収入
ご覧下さい、住宅のすぐ横にある巨大な広告のパネルを!
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物価高を受けて、自宅の敷地内に広告パネルを設置することで少しでも収入を得ようと希望する人がフランスでは増えているというニュースです。
自宅に広告パネルを設置することで、立地場所など条件は異なりますが、下記のご自宅に設置した広告パネルの場合・・・
高さ3m、幅4mのパネルを自宅に設置、年間1800ユーロの広告収入を得ているそうです。その収入で、不動産税の支払いや日々の生活の足しにしているそうです。
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自宅の敷地内に巨大広告パネルを設置している男性
「眺めが損なわれるが、これがお金になると思えば全然気にならなくなる。それどころか一生個々に会って欲しいと思う。」
放送分より
家の商品化
こんなに大きな広告パネルを自宅内に設置とは・・・ここまでやらないといけなくなった社会。フランスですよ、美を追求する人たちが多く住んでいるという勝手な妄想をしてしまいますが、癒しを与えてくれる自分の自宅にこんなものまで設置しないといけないのか・・・
そもそも日本の空き家は需要が無くなったから空き家になったのであって、一生懸命に空き家を商品化させて、マーケティングや広告などで空き家を売っていく、フランスの広告パネルもそうですが、日本の空き家問題の向き合い方、どちらとも、とにかく資本主義のやり方で問題を解決していこう!という、そこまでして商品を売らないといけない社会になったんだ・・・
そう考えると、なんか世知辛ない世の中になったなぁと、実感しました。
ホント、なにからなにまで商品にしないといけない世の中で生きている我々、そんな世の中を皆さんはいかが思いますか?
商品とは別の価値観で街を活気づける
「フランス 自宅に広告パネル設置で収入」のニュースの翌日に放送されたのが、商品とは別の価値観で街を活気づけるニュースでした。
このニュースは以前ボソッとでも紹介させて頂いたNHK番組『キャッチ!世界のトップニュース』のコーナー「@NYC」のマイケル・マカティアさんが教えてくれました。
私の自称メンタルリーダーであるマイケル・マカティアさんが担当する『@NYC』で紹介されたのが、「玄関先でコンサート ライブ音楽♪大作戦」というニュースです。
ニューヨークの魅力である音楽を、家の玄関先のポーチに持ってきたら、ポーチがライブハウスとなったら・・・
街が魅力的になった!というニュースです。
このニュース内容を下記でご紹介しますが、お読みになればお分かりいただけると思いますが、無理して商品にしなくても、頑張って売らなくても、”商品”にしなくても・・・
この社会はうまく回るのではないか?
逆にこれからの時代は商品とは別の価値観を持った方がうまくいくのではないか?
これをヒントに、日本の空き家問題を捉えていけば、なにか妙案が生まれそうな気がしています。
もし、商品とは別の価値観が日本に広がったら・・・
近所でお金をかけずにみんなで楽しめる週末を過ごせる
こんな街になったら・・・自然と人がやってくるのではないでしょうか。価値観を変えることだけで、実現できる街には空き家問題は存在しないのでは?
そんな素敵な妄想をしたくなるニュースです、ご覧下さい。
玄関先でコンサート ライブ音楽♪大作戦
ニューヨーク・ブルックリンの閑静な住宅街で毎週金曜から日曜までの3日間、様々な家の玄関先のポーチにステージを提供してもらい、街ぐるみで音楽を楽しもうという取り組みがあります、それが『operation gig』です。
operation gig
観客の多くは近所に住んでいる人たち。
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このイベントが始まったのが3年前、パンデミックで演奏する場所がなくなってしまったミュージシャンを助けるためでイベントやホームページで寄付を募り、集まった基金からアーティストへの出演料を出す仕組みを作った。自宅のポーチでのコンサートということで、口コミで広がっていきました。
このイベントの様々な準備はすべて無償のボランティアが行っており、コンサート会場となる家には、ソーシャルメディアなどで呼びかけ、無償で協力してもらう仕組みです。
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取材当日、集まったのは約60人、最近は別の街から来る人も増えているそうで、観客はリラックスしならが思い思いに音楽を楽しんでいます。軽快なリズムに子供たちもノリノリ。
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ボランティアでイベント主催者であるアーロン・リスマンさん
「私たちのコミュニティーに音楽が必要だと思った。」
「観客は家を出て少し歩くだけで一流の音楽に触れられる。」
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取材をしたマイケル・マカティアさんが、イベント主催者のアーロン・リスマンさんへの質疑応答もご紹介します。
●マイケル・マカティアさんからの質問内容
「ポーチは実際のライブ会場よりも優れているところがあると思いますか?」
「ミュージシャンにとってのメリットは?」
「コンサートにはリピーターも多いですか?」
●アーロン・リスマンさん
「バンドの生演奏を聴きたくても小さな子どもがいる人や年配の人たちは、夜、ライブハウスに出かけるのは難しい。そんな人たちにとっても絶好のイベントだと思います。」
「ミュージシャンにとって最も大変なことのひとつは集客です。僕らのコンサートではその心配はいりません。」
「そして通常のライブハウスより高い出演料を払うことができます。」
「これまで200回のライブを開きましたが、その半分を見ている人が結構います。ある4歳の女の子は毎週3日間、さまざまなバンド演奏を体験して、それが普通だと思っている。このイベントを始めたとき彼女は1歳でした。」
●マイケル・マカティアさんからの質問内容
「イベントの運営を無償で行っている理由は?」
●アーロン・リスマンさん
「僕はソフトウェアエンジニアの仕事で生活できています。だからNYの音楽文化に貢献できることがうれしいんです。」
「自分の人生を振り返ったときに本当に誇りに思えるものになると思う。それだけで十分なんです。」