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ニューロダイバーシティ~ディスレクシアの可能性

トム・クルーズさんが”ディスレクシア”だったというのは有名なお話ですよね。

”ディスレクシア”とは、学習障害のひとつで文字を読んだり書いたり、認識するのが困難な状態のことを指す言葉です。

トム・クルーズさんは俳優として台本を読まなくてはならない、でも台本が読めない中、周りの方々が台本を読み聞かせてくれたり、録音して繰り返し聞いてセリフを覚えていったそうです。


さらに、実業家で大富豪でもあるリチャード・ブランソンさんもディスレクシアであると公言されており、学生時代、全ての教科でビリになるほど勉強が苦手、さらに学校も退学。その後に始めたビジネスがうまくいき、いまや宇宙事業にも乗り出すほど大活躍されている方です。

そのリチャード・ブランソンさんがおっしゃっていたこと・・・

「ディスレクシアは確実に私を変えたと思う。私は不可能に思えることに挑戦し、不可能を可能に変えようとする。これはディスレクシアから来るものかもしれない。」

forbesjapan『リチャード・ブランソンが語る「失読症が変えた自分」』


このような話を聞くと、「ディスレクシアはまさに表裏一体、障害という括り方をするだけでなく、可能性を秘めた能力であると考えるべきではないか?」、そう思いませんか?

しかし、「そもそも表裏一体ではなく、障害でもない、能力者でもない、脳の個性と考えるべきだよ。」という思いもあります。

そこで、リチャード・ブランソンさんが上記のように”ディスレクシアが強みとなった”と語っていたことが気になって、ディスレクシアの可能性について調べていたら、この言葉に出会いました。

”ニューロダイバーシティ”




脳の多様性”ニューロダイバーシティ”とは


経済産業省のホームページに記載されている内容を記載します。

ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)とは、Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉が組み合わされて生まれた、「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方

経済産業省「ニューロダイバーシティの推進について」

経済産業省が今後の日本経済産業の成長戦略のひとつとして推進しているのが”ニューロダイバーシティ”です。


ディスレクシアという学習障害、もっと範囲を広めて発達障害において生じる現象は、世間一般では「普通に生活できない」とか「普通に仕事できない」といったイメージを持たれており、生きづらい症状であると認識されています。

その一方で、トム・クルーズさんとリチャード・ブランソンさんのように高い才能を発揮して活躍されている方がいること、高い集中力を発揮したり、特定のジャンルに対して高い専門性やセンスを発揮されている方もいることも事実です。

しかし、現在の科学ではディスレクシアは完全に解明されていない症状のひとつとなっています。

だからこそ、ニューロダイバーシティでは発達障害のネガティブな面ではなく、ポジティブな面をどのように社会に生かせるかを考えていくことに焦点を置いているというわけです。

今までの常識ならば、成績が優秀な方々を人材確保したい企業でしょうが、今後は脳の多様性”ニューロダイバーシティ”を重視した人材採用をすることがVUCA時代を生き抜くために必要な戦略になるかもしれない、ということです。つまり・・・

世界の問題をディスレクシアの方々が解決してくれるかもしれない

今までの常識を疑って新たな問いを出すことに重点を置けば、私たちの未来はもっともっと可能性が広がるかもしれない、それがニューロダイバーシティの本質なのではないでしょうか


ディスレクシアの可能性


インターネットでディスレクシアの可能性について調べてみたところ、ニューロダイバーシティ以外でも、こんな記事を見つけましたのでご紹介します。

この研究では、過去人類はディスレクシアで見受けられる”ものごとの全体像の把握に適した脳”と”クリエイティブ分野が得意な脳”という特性を活かしたことでヒトの適応や生存に役立ってきた可能性があること、その能力を生かすために求められる「新たな教育」のあり方を説いている記事です。

当研究を行ったケンブリッジ大学マクドナルド考古学研究所のヘレン・テイラー博士

「ディスレクシアを単なる学習障害だとする見方は、全体像を捉えられていません。この研究は、ディスレクシアの人々の認知的優位性をよりよく理解するための新しいフレームワークを提案するものなのです」

「現在の学校や学術機関、職場は、探索的な学習を最大限に活用するように設計されていません。しかし、人類が重要な課題を解決し今後も適応していくには、このような考え方を育むことが早急に必要なのです」

読み書きが困難な「ディスレクシア」の特性が、人類の文化的漸進に貢献していた:研究結果


その一方、「ディスレクシア 天才」と結びつけるよりも、現段階では「ディスクレシア 強み」に目を向けることが大切だと唱えている記事もありました。

この記事ではディスレクシアへの支援方法について、これまでの支援方法から、新しい支援方法に変えるべきだと提唱しております。

従来は、困っている人に対して、
「困っている原因を探して、困っている原因を取り除く」
というアプローチが主流でした。

しかし今では、ポジティブ心理学を初めとする、
「その人の強みを伸ばして、困っている原因を取り除く」
という強みにフォーカスした支援が広がっています。

ディスレクシアの人には隠れた才能があるかもしれない 〜特徴的な仕事×支援方法〜


次回のボソッとでは、上記で提唱された「その人の強みを伸ばして、困っている原因を取り除く」についてボソッとしたいと思います。


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