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”力でねじ伏せることが大きな成果を生む”と考える世界的トレンド

”第3軸”を探る旅シリーズはいったん前回ボソッとで終了しますが、「なぜ世界はこんなにも極端化・2項対立ばかりなのか!」という問いに対して、すごく分かりやすく納得できることをおっしゃってくれた方がいらっしゃいましたので、今回はそのことについてボソッとしたいと思います。その解説をしてくれた方とは・・・

国際政治が専門の藤原帰一さん(千葉大学特任教授)です。

NHK番組『国際報道2023』で放送された「イスラエル・パレスチナ情勢 専門家と徹底分析した 90分特別版 」(23/11/7放送分より)で専門家のひとりとして番組に出演された藤原さんが番組の最後に語ってくれた内容を皆様にも共有できればと思っております。

番組で油井キャスターからの「藤原さん、ウクライナでの戦闘、そしてガザ地区での戦闘と、国際社会は課題だらけですけれど、私たち国際社会で起きているこの現実と、どう向き合っていくべきとお考えですか。」という問いに対して、藤原さんが語ってくれた内容は下記の通りです。

藤原帰一さん(千葉大学特任教授)
「この件、実はかなりの期間続いてきたものだと思います。今、私たちは戦争の時代を迎えていて、国連が何の役割も果たさないことが当たり前だと考え、更に力でねじ伏せれば、大きな成果があると。

「アメリカと中国の競合がそもそも大きな課題だったんですけども、ロシアのウクライナ侵攻が、事実上のこう着状態になった中で、今度は、ハマスもネタニヤフ政権も、力で相手をねじ伏せるという立場なんですね。それが成果を得てしまえば、戦争の時代はさらに拡大します。」

「厳しい言い方ですが、「抑止では足りないから相手を倒さなければいけない」「排除しなくてはいけない」、そこまで今、エスカレートしかかっていると思います。」

「だからこそ、ここで文民の犠牲者や一般市民の犠牲者が大量に生まれてしまう紛争に対して、直ちに行動を起こさなければいけない。停戦を実現することが何よりも重要だということを今、考えなければいけないと思っています。」

NHK番組『国際報道2023』「イスラエル・パレスチナ情勢 専門家と徹底分析した 90分特別版 」(23/11/7放送分より)


力でねじ伏せることが大きな成果となると考える世界


力を使って相手をねじ伏せて大きな成果を出そうという考え方がいまの世界のトレンドだなんて・・・


力を使って自分たちと異なる価値観を持つものたちをねじ伏せても良いと考えるものたちが増えた現状となった背景には、今まで強い力を持っていたアメリカの力が弱まっている、先進国の力が弱まっている、さらに混乱しているという状況だからこそ、このタイミングで行動に移せば大きな成果を出せるはずだと、きっと考えたからでしょう。そのものたちが目論むという大きな成果とは・・・


次の時代の主導権争い


だから、各方面で次の主導権を握りたいと目論むものたちは、世界の市民たちに気づかれないうちに、驚異的なスピードで巧妙な手法を用いて、自分たちの価値観を成立させる社会を実現しようとしている。


彼らが行う手法とは、あえて問題を複雑化にさせて私たちに考えさせる余裕を与えない中で、「これからの時代はAはダメだからBをやるしかない!」といった選択肢を単純化させて私たちの思考をストップさせる。

「Bしかないのだ!」とった極端化を推し進める体制を築き上げ、偏った価値観同士を結び付きさせていきます。

さらに、判断軸を両極化に導くことで対立構造を深めさせることで、社会に分断を起こしたことを見計らって、偏った世論をバックに力で相手をねじ伏せにいくというショック的な行動を起こし、最終的に大きな成果を果たそうと目論む、それが次の主導権を握りたいと考えるものたちの思考方法なんだと思います。

だからこそ、これまでの時代では主流だった思考方法である「対立する問題を解決させる」という思考方法では今の問題は解決することはできないばかりか、話し合いで解決しようとすることがかえって分断を深刻化させる傾向となる、それが現在の国際情勢ではないでしょうか。


つまり、力を使って相手をねじ伏せて大きな成果を出そうと目論むものたちの手法とは・・・


まるで世界はショック・ドクトリン状態


そうです、以前、「あまりにもショックな手法」とボソッとさせていただいた”ショック・ドクトリン”状態に世界は陥っているということなのでしょう。

ショック・ドクトリンとは
社会に壊滅的な惨事が発生した直後、人々が茫然自失している時をチャンスととらえ巧妙に”ショック”を利用する政策手法です。
※「ドクトリン」=政策、過激な経済政策という意味

ショックを受けて、パニックで頭が真っ白になった間に、通常なら反対が多すぎて受け入れられないほどの過激な政策を一気に通すという手法であり、日本語では「火事場泥棒」とも表現することもできます。

詳しくは以前のボソッとをご覧下さい。


藤原帰一さん


「なぜ世界はこんなにも極端化・2項対立ばかりなのか!」という問いに対して、「”力でねじ伏せることで大きな成果を生む”ことをアタリマエと考え、実行する者たちがいるから」という回答をしてくれた藤原帰一さん。

実は私が知る藤原さんはいつも笑顔で大好きな映画を語ってくれる方というイメージが強かったこともあり、NHK番組『国際報道2023』で出演された藤原さんが今の国際情勢についてとっても深刻な表情で語っていたことが強く印象に残り、心に刺さった感はありました。

ちなみに、藤原さんが笑顔で映画を語るコーナーはNHK番組『キャッチ!世界のトップニュース』で月一回放送されていますので、皆さんもご覧になってみてください!


力でねじ伏せる”ショック・ドクトリン”のニュースを探してみる


そこで、次回からはこの世界で”力でねじ伏せて大きな成果を目論もうとしている”としているニュースとは何かについてボソッとしていきたいと思います。

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