
ニュースの当事者が語る2項対立に陥らない思考”第3軸”
前回のボソッとでは”力で相手をねじ伏せて、排除をすることがアタリマエの時代”かと思われるほどの国際ニュースが連日のように報道されている現実を自分なりにまとめてみました。
そんな国際ニュースでは、当事者ひとりひとりの声を集めた報道内容もあります。
当事者たちが語る内容を知ることで、ひとりひとり何を感じているのか?何を求めているのか?そんな生の声に触れることで、「なぜ世界はこんなにも極端化・2項対立ばかりなのか!」と改めて実感すること以外にも、「なぜ当事者なのに2項対立に陥らない思考をしているのだろか」と思わせるような声も存在しています。
私はそのような2項対立に陥らない思考”第3軸”の考え方に触れたとき、なにか不思議に希望を感じるときもあります。
そこで、今回のボソッとでは、ニュースで扱われるほどの事象に関わった当事者が語る2項対立に陥らない思考”第3軸”をニュースの中から探したことを、私が過去にボソッとしたことをまとめたいと思います。
今回、”第3軸”を探す旅に登場してくれる当事者は、イスラエル人、パレスチナ支持をしている人、ユダヤ人とアラブ人が共存している街の人、ロシア人、ウクライナ人の方々です。
※2023/11/16~2023/11/18までにボソッとした記事をまとめたものです。
「それでも、憎しみにとらわれたくない」と語る誘拐されたイスラエル人家族
たとえ家族が人質にとらわれても、”憎しみの連鎖に加担することを明確に拒否すること”と、父の思いを受け継ぐことを決意したシャロン・リフシッツさんのお話をご紹介します。
シャロン・リフシッツさん
「私にはどうすることもできません。今できるのはここで話をすることだけです。」
「父にはパレスチナ人などたくさんの友人がいて、その人生を平和活動にささげてきました。私も父の肩に乗せられて平和デモに参加しました。両親が言っていたのはパレスチナ人とこそ友好関係を築くべきだということです。」
「ガザの人が直面する恐怖が分かります。ガザへの攻撃で私の心が安らぐことはありません。私は憎しみの連鎖に加担することを明確に拒否します。」
「悲劇を繰り返さないために、ガザの子供たちのために何ができるでしょうか。普通に会話ができ、人間らしく暮らし、家族を育める、そんな場所があるべきです。」

"停戦するだけでもスタートになる"と訴えるパレスチナ支持をする若者
イスラエル・パレスチナ情勢の悪化問題ではパレスチナ支持に回っている当事者が語るこの戦争の終わらせ方とは?
グラントさんはユダヤ系のアメリカ人でありながら、パレスチナの人々が長年苦しんできた姿に心を痛めてきたが、今回の非情なる人道危機を観て、立ち上がらないといけないと思ったそうです。
そんな彼が語ったことに、私は2項対立に陥らないよう思考、第3軸を導き出せるきっかけが隠されていると信じています。
パレスチナ支持のマイルス・グラントさん(24)
「何十年間もパレスチナの人々は閉じ込められ人間扱いされてこなかった、許しがたい。」
「パレスチナの自由のためにどうすべきか、停戦するだけでもスタートになる。アメリカが民族浄化と大量虐殺への支援をやめるだけでもスタートになるだろう。」

ユダヤ系とアラブ系が共存する地区の住民が思うこと
ユダヤ系とアラブ系が共存していた商店街の住民たちが語ること、問題が悪化したとしても、それでも両方のコミュニティは共存しています。
イスラエル系ユダヤ系の工場経営者
「アラブ系従業員もユダヤ系従業員も、彼らは問題なくやっている。」
「アラブ系従業員がユダヤ系の工場で働くことを公にするのは今はリスクが高いかもしれない。アラブ系コミュニティの中にも従業員とも異なる過激な考えを持つ人がいるかもしれません。アラブ系従業員をいかなる危険にもさらしてはいけない。」

アラブ系の若い店主と、顧客のイスラエル系の婦人。
2人はハマスによる攻撃以来、なにかが変わってしまったと言っています。
「住民がそれぞれのコミュニティに閉じこもって生活するようになってきた。お互いの本心が分からなくなってしまって、戸惑っています。」

ロシア人が語る普遍的なこと
ウクライナに一方的に進行しているロシア、しかし、”互いに敬い合い、周りの人や国を尊重して欲しい”という普遍的なことを語っているロシア人もいることを私たちは知るべきだと思います。
この夏、実はロシアでも海賊版ですが公開された映画「バービー」について、ロシア人の女性はこう語っています。
女性
「芸術は普遍的なもの。もっと教養ある社交的な人間になるには外国の映画を観ないといけない」

去年9月にモンテネグロで学校を設立したロシア人のマリコさんが語ってくれた全世界の子供たちにとって普遍的なもの。
「人にはそれぞれの価値があり、それがこの先の社会を作るのだと教えています。互いに敬い合い、周りの人や国を尊重し、知識を攻撃の為ではなく、自分の成長のために使って欲しい。そして、いつも皆のそばにいて支えると伝えたいです。」

ウクライナ人が語る記憶の伝承
ロシアによる軍事侵攻によって亡くなった人たちが、どのような日常を過ごしてきたのか、遺族や友人の証言が記録されたサイト『追憶のプラットフォーム』は、「対立に陥る思考方法」から抜け出せる”第3軸”を創り出すことができるきっかけを与えてくれるのではないかと私は思っております。
『追憶のプラットフォーム~ロシアの軍事侵攻で亡くなった人たち』
NGO責任者
「最も重要なのは、この人たちを”個人”として語っていることです。どう生きたか?何に興味を持っていたのか?どんな夢を抱いていたのか?を語ることです。」
「これは単なるデータではありません。生きるはずだった人たちの感情を記録しているのです。」
「亡くなったのは私たちの隣人や同級生、友人、親戚であり、愛する人たちなのです。私たちはその人数をただ単に数えることはできません。私たちのこの試みが決して他の国で必要にならないことを願っています。」