永遠を、愛を誓います。考察6(映画深読み#7)
いよいよ映画版「永遠を、愛を誓います。」ラストの#7です。
#7はプレミアム公開されたため、リアタイ同時視聴した方も多かったと思います。
尺も1番長く10分超え。
#7には曜日表記が消えました。
そして音声に違和感。
これを念頭に観ていきましょう。
「昼」
ミンミン蝉の鳴き声が響く
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夏らしい軽装にやや汗ばんだ様な渚
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手首から縄は消え、腰縄をソファに固定
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食卓にはローストビーフ、生ハム、生レバーに赤ワイン(血液?)
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笑い声を上げながら自嘲気味に見える渚
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真顔になり一瞬考えてから「今度は大丈夫」?
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気持ちに嘘をついていたと本心を吐露
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#6までとは一転、穏やかなBGM
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草津に行きたい、ステーキ食べたい、釣りに行きたい等
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何やら希望を叶う制度がある?
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腕を掻く渚
場面は「夕」へ
ウエディングドレスにも見えるワンピースを着る渚
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腕には縄。咳き込み調子が悪そう
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本当に結婚したかった
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腕や首に掻き跡
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カーテンレールに吊るされる小夏
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「怖い思いさせてごめんね」
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語気を強め「もう1人にして」と
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「コレはうそだね」、「バカだね私たち」
そして「夜」
ベッドに落ちた小夏のドライフラワー(なりかけ)
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「もう大丈夫じゃないかな?」
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腰縄+手首も拘束
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「もうそろそろみたいだから1人にして欲しい」
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「噛みついちゃうんだよ?」
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誓いの言葉を催促
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「命失った後も......」
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タイトル回収後エンドロール
映像が乱れ巻き戻し
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月曜日のクレジットが映し出されたモニター
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それを見届け立ち去る人影(明希?)
ここまでが映画「永遠を、愛を誓います。」でした。
この#7にあたる曜日は日曜日だと思いましたがクレジットはなく、昼→夕→夜という3部構成。
時間経過と共に変化する顔色、傷跡が印象的でした。
おそらく何かしら発作症状が昼と夕の間に起き、更に夜には重度の発作、または完全に自我を失ってしまう示唆がありました。
ざっくり捉えれば、ゾンビ化する感染症に罹った渚と未だ異常のない明希という関係。
さらに感染後は自治体に報告義務があるけれど、2人は隠匿していた。
#6では通報を受けた自治体が訪ねてきたため、この生活はもう終わってしまうため、#7で最後の1日を過ごした。
そして明希にも感染させることで人間としての命を失い、自我を失っても一緒に添い遂げるための宣誓を行う。
といった流れでしょうか?
神前式での一般的な誓いの言葉のラストは「その命のある限り心を尽くすことを誓いますか?」となるはずですが、ここでは違いました。
「命失った後も真心を尽くすことを、永遠を、愛を誓います。」
神父に問われ返事をするのではなく、2人で読み上げ宣誓する言い切りスタイル。
さらに命失った後をも含む永遠の誓い。
この宣誓のあと、誓いのキスでお互いが感染していくのでしょう。
映画版だけ観ればコレが物語の終わりです。
死を迎え、別の生き物になり果てたとしても永遠の時を共に過ごす。
切り立ての小夏の一輪挿しがドライフラワーとして価値を変え、永遠に残り続けるという演出もリンクされていました。
バッドエンドでありハッピーエンド。
しかしシーリア企画さんにはまだまだ仕掛けがありそうです。
そもそも「イマジライズとは舞台、漫画、映像、写真、小説など様々な表現媒体で、視点を変えて展開し、"覗き見る"ことで「余白」を想像する作品プロジェクト」とあります。
映画はほぼ全てが明希目線で展開し、カメラには渚しか写ってませんでした。
さらに#7の音声に違和感はラストで明希(?)がその映像記録を観ていたという示唆でした。
漫画版では2人がしっかりと描写されていたことで視点が変わっていることがよくわかります。
大沢やよい先生によるイラストではカフェではたらく渚とお客として訪れている明希が描かれていたりと時系列のズレもありました。
脚本家の白瀬一華さんによる日記に見立てた小説版では具体的な日付も明記されていました。
次回は各視点ごとの時系列の謎や違和感を読み解いていきたいと思います。