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レンタサイクルを使って福井の街を走り回って路面電車を撮影

 福井鉄道はドイツで走っていた路面電車を所有している。
レトラムという名前で年に数回運転するが冷房が付いていないので春と秋しか運転しない。昔ドイツに旅行に行った時に同じような電車が走っていたのでいずれ撮りに行こうと思っていたがコロナ禍で運転回数も少なくなり訪問の機会はなかった。しかし来年北陸新幹線が敦賀まで開業するということで観光用として冷房設置を取り付けたりとリニューアルするということに。下手をすると変なデザインになる可能性もあるので今の姿を撮れるのはあとわずかということで行くことにした。
 
 レトラムは1往復しか運転しないが単線の区間が多く列車との交換など時間がかかると予想。せっかく撮影するなら都市部だけでなく郊外の田園風景でも撮ってみたいとグーグルマップで撮影できそうな場所、周辺の道路状況や撮影地間の距離を見ると自転車があれば可能と判断。幸いにも福井には「ふくチャリ」というレンタサイクルがあり今回はそれを使うことにした。
シェアサイクルの料金は基本30分単位だが1日券があり朝から夕方まで撮ることを考えるとこれが最適だ。
まずは提携しているドコモのバイクシェアの会員になりふくチャリのHPで1日券の事を調べる。ネットでも購入できるようだが現地ではスマホしかなく郊外で通信ができないなど不安な面もあるので前日福井に入った時にコンビニで一日券を購入した。宿できっぷのQRコードからふくチャリのHPにアクセスしてIDやパスワードを入力して準備OK。
そして翌朝。バイクシェアのアプリで近くの駐輪場を探し空いている自転車を予約しふくチャリのHPに予約した自転車の番号を入力するとこの自転車は予約できないという表示。アプリ、ふくチャリのHP共に細かい使い方が書いてなくこの後もいろいろと細かいトラブルが起きるのだがここはふくチャリの方に直接予約したい番号を入れるとOK。予約してから20分しか有効でないので宿を出て足早に駐輪所へ行きスマホを使って自転車を借りて一安心だ。

 早朝の福井の街を走り足慣らしとロケハン。普段26インチのママチャリで方々を走っているが今回の自転車は車輪が小さいうえに電動ということで車体が10キロぐらいは重い。アプリでは電池残量がフルとなっていたが残量は70パーセント。消費の具合が分からないし変速を2(3段変速)にして電動を使わず漕いでみたが平坦の道ならそれほど重くないのでそのまま走ってみた。途中立体交差の坂道がありアシストをONにしていつものように立ち漕ぎをしたが車体が小さいからかバランスが悪くすぐに座って漕ぐことに。

福井中心部から北に流れる九頭竜川へ

 1時間ほど周辺を撮影し次は南下することに。市街地を抜け県道を走っていくが土曜の7時過ぎだというのに歩道を歩く人がほとんどいないのは予想外だ。東京ならスマホを見ながら歩く人や自己中心な運転をする自転車、運転技術が低い自動車と様々なものを注意しながら走らないといけないがここでは走ることに専念できる。

住宅地の中にスタバ。繁華街など人が多い所に
あるイメージだが右側には大型の商業施設が
あるのでそこと連動しているのか。

 工場などが増えてきた辺りから歩道が無くなり路側は凸凹、地盤が軟弱など自転車が走るには適していない所が多くなってきたが路側帯が比較的広い所が多いうえに車もそれほど多くなく10分ほどで目的地の浅水に到着し脇道に入る。

浅水付近にはこんな看板が。敦賀気比高校出身という
ことは知っていたが福井出身とは知らなかった。
この後もこの看板が目印として何度も通ることに。

この辺りから田園地帯になるのだが予想外に線路際に草が多く2駅ほどウロウロし田植えをしたばかりの田んぼを手前に入れて撮ることにした。着いてから2時間弱いたが初めて見る低床車両など福井鉄道も近代的になったなと思いつつ撮影をしながら待つ。9時過ぎから薄い雲も増えてきて時々日が弱くなってきたので晴天での撮影は無理かなと心配したがレトラム通過時は晴れてくれた。

初めて見るレトラム。日本の風景にも似合っている感が。


 レトラムは途中で交換待ちのために10分以上止まる。予想より3分早く通過したので15分近くの余裕と途中で追い抜かせるとみて電動アシスト機能を使ってすぐ近くを並走する道路を急ぎ目に走る。早く走ったためか15分ほどで電池残量が10パーセントダウンと消費が多過ぎるのには驚いた。
25分ほどで中心部の大名町の交差点に到着。レトラムが見えたのは10分ぐらい後とやはり併用区間は信号が多く止まるようで近くの足羽川の橋を渡った交差点でも3分近く止まっていたので望遠レンズを使って撮影と撮影機会が増えていく。田原町行きをビル群をバックに後追い。光線的にもこの場所が良い。20分程度で戻ってきたのを2台のカメラを使って正面気味を望遠、次に編成写真を標準で撮影しここでの撮影は終了。レトラムはこの後福井駅と田原町をもう1往復してからたけふ新へ戻るのでその間に別の場所へ移動することに。

 再び来た道を浅水方面へ走るが今度は時間に余裕があるので普通に走るがアシストをエコにしてみた。説明書がないのでエコと標準の違いがどのくらいあるのか分からないが明らかに消費量が減り返却した時で10パーセントしか下がっていなかった。

 レトラム撮影後は周辺をサイクリング。収穫がほとんど終わっていた中で残っていた麦畑を発見し電車と一緒に撮ることもできたし気ままに走れるのは自転車の良いところだ。徒歩だと撮影地を探すのに当てが外れるとかなりのロスになることが多いが自転車ならダメなら近くの他の場所への移動もそれほどかからないし狭い道でも駐輪するのはそれほど難しくない。

福井のビル群を背景に。本当は一つ手前の線路を走る方で撮りたいがここは信号待ち→発車のパターンが多く手前を走る車に遮られる可能性が高いので後追いに。
福井駅に向かって転線するレトラム


大半の麦畑は刈り取られた後だったがレトラム撮影後
遠くの方にまだ刈り取られていない麦畑を発見。  
 距離にして1キロ程度だが気軽に移動できるのは   
 自転車の利点だろう。               
バリアフリー対策で低床の新型車両(フクラム)も
運転している。色違いで4編成ある。      
郊外から福井の中心地に向かいつつ撮影。電車の本数が1時間に2本程度とあるのでそれほど待たずに撮って他へ移動できるのは便利だ。

 初めてドコモのシェアサイクルを使ったが会員になったのが2日前とアプリなどの使い方がよく分からない点が多かったが特に困ったのは駐輪した後の鎖錠。普通の自転車のように鍵を使うのではなくスマホを使って開ける。開ける時にふくチャリのHPがIDとパスワードを入力しろということが何度か起きた。幸いスマホに記憶させておいたので手間がかからなかったが急いでいる時などストレスになる。返却する時もアプリで空きがある駐輪所を選んで行ったが行ってみると満車。仕方なく他へと予想外の福井駅周辺をサイクリング3か所目(借りた場所)でようやく返却。返した時間は16時頃と土曜なら利用率がありそうな時間帯だが待機中の自転車が多いのはまだ認知度が低いということか。

予約や利用中の操作をスマホを使って行うのはドコモが経営しているからかもしれないがもっと初心者が使いやすいようにしないと利用者が増えないかもしれない。

レンタサイクルのかごは小さいものが多いが
ふくチャリのは大きくリュックを背負わずに
済んだのは助かった。東京で見たのはこんなに
 大きくなかったような気がしたがこれだけ大きい
と荷物が多くなりやすい観光客にはありがたい。

            

(追記)レトラムは冷房を設置して2024年10月から営業運転を再開したが家庭用クーラーを使ったうえに屋根にその機械が無造作に置かれたことで編成美が崩れることに。先頭の近くではなく連結部付近に置いて少しでも目立たないようにすればと思うがレトラムは一般的な電車と違い連結部付近に台車がないためバランス的な問題があるのかもしれない。日本で走る数少ない昔のドイツの路面電車だがその姿にはただただ残念としか言いようがない。

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