人間関係をよくする方法を教えてくれる一冊
子どもの頃に、親によく話を聞いてもらえなかった子どもは、おとなになってから、なにかと人間関係の構築に苦労するらしい。
子どもをもつ親にはドキッとする研究だ。
親ならば誰しも子どもの「ねぇきいて、こっちみて」、「パパ、パァーパ、パパー」口撃を煙たがることがあるだろう。
わたしも認めたくないが、イライラしてしまうことがまあまあある。
イギリスの精神科医であるボウルビィが確立した愛着理論によると、主に養育者(親)と子どもとの間に築かれる心理的な結びつきを愛着と言っている。
子どもが親の注意をひこうとする行動を愛着行動というらしいが、これが受け入れられていないと感じつづけた子どもは、癇癪をおこしたり、最悪の場合は親を特別な存在とみなさなくなってしまう。
そして、それはその子の性格となり、他者との付き合い方、人の愛し方が分からない大人になってしまうとボウルビィは警鐘を鳴らしている。
親は、子どもには将来こうなってもらいたいと理想の成長像をもっているだろう。
そのためにさまざまな体験をさせたり、できるかぎりの教育を与えてあげたいと思う。
その気持ちは間違いなく本物だ。
しかし、その気持ちがあっても子どもに本気で耳を傾けることができなければ、その理想に近づけない。
子どもにとって、成長に必要なものは、高価で高度な教育プログラムではなく、子どもの言葉に親が本気で耳を傾けるという無償の愛であることを忘れてはいけない。
幼い頃に愛着関係を築けなかった、自分に自信をなくす人もいるかもしれない。
でも安心してほしい。
愛着関係は、後天的に身に付けられる。
その方法ももちろん聴くというスキルだ。
他人に興味をもって、心から聴くことを続けていればその人と良好な関係を築くことができる。
子どもも大人も、聴くというスキルがとにかく大切だ。
大切なのに軽視されてきたとケイト・マーフィは言っている。
本気で聴けるスキルをもった人は少ない。
長年ジャーナリストであり、さまざまな人をインタビューしてきた筆者の言葉は非常に重みと説得力がある。
まだ読み始めの序盤。
それなのに、発見が多い本である。
都会で実践できる農ライフ、読書、ドイツ語、家族などについて「なぜかちょっと気になる」駄文・散文を書いています。お読みいただき、あなたの中に新しい何かが芽生えたら、その芽に水をやるつもりでスキ、コメント、ほんの少しのサポートいただけると嬉しいです。