第2話 このままではいけない
私はド平凡サラリーマン。もうすぐ歴史に名を残す者だ。
順風満帆の歯車としてぐるぐる回っているうちに、目の前の時間がゆっくりと流れ、少し先の未来が見えるような気がすることが増えてきた。これが威厳と自信かと勘違いしたのも束の間、事件が起こった。
Hello, 新型コロナウィルス
前年度過去最高益を記録し、意気揚々と始まった2020年にあれよあれよという間に霧がかかった。濃霧だった。
前年比99%減
今や会社の命題は事業をすることではない、会社をどのように潰さないかだ。人員カット、給与カット、雇用調整助成金申請、出稼ぎ、できることはなんでもやった。
会社は従業員を「休業」させ、体力を温存した。管理職も歯車から下り、突然のSummer Vacation!!
私も急に生まれた可処分時間をどうして良いかわからないまま、数日が過ぎた。普段から歯車をカラカラ回していただけのザ・ジャパニーズサラリーマンは同じような虚無感を味わったはずだ。(そうであって欲しい!)
でも私は、気づいたのだった。
このままではいけない!
30代半ばは人生100年時代ではまだ前半戦。多少のリスクを背負ってもまだまだ挽回できる、だったら何かやってみよう。
そう切り替えられたのは私が「人生の師」と勝手に崇めるヤフーCSOで慶應大学教授安宅和人さんの『シンニホン』を読んでしまったからだった。
この"分厚い"本をKindleで読んだ時の衝撃は今でも覚えている。
読み終わった後、何かやってみようとならなかった人がいたら、それはちょっとヤバいはずなので、私は正常通り感化された。
私にはまだ幼い子どもが二人いる。彼らに残すべき未来は自分の手で作らなければという衝動に駆られ、とにかくランニングに出た。
走らずにはいられなかったのだ。
5km、10kmと走るにつれて、頭の中にもう一つの衝撃が走った。
何をやってみるのか、全くアイデアが湧かなかったのだ。
十数年、自分なりに一生懸命働いてきたが、自分には圧倒的な強みがないことに気がついてしまった。
それに気づいた時に急に焦りが生まれた。ただただ漫然と走っていてはいけない。
頭を使え!頭を使え!頭を使え!
自分がやらなければならないこと(Must)、できること(Can)、やりたいこと(Will)を考えろ。特にWillだ!と自分に言い聞かせ、自分を棚卸ししてみることにした。
父ちゃん頑張るからな!
次回、「私の解体新書」
つづく