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読書記録:『さんかく』千早茜

Webライターのメグノンです。

今回は初の試みとして、読書記録の記事を書いてみました。
たまたま読んだ小説が面白かったので、忘れないうちに感想を書き残しておこうと筆を執った次第です。

この記事では千早茜さんの『さんかく』(祥伝社文庫)を読んで感じたことをつらつらとまとめています。ご興味があればぜひご覧ください。

この小説を選んだ理由は以下の3つです。

  • 著者のファンだったから

  • 表紙のイラストに一目ぼれしたから

  • 食べることが好きだから

昔から食に関する文章が大好物で、目に付くと手に取らずにはいられません。実際に好きなだけ食べたら太りますが、小説なら繰り返し読んで食べた気分になれますからね(*'▽')

最後まで読み終わると、「いいお味でした、ごちそうさま」と手を合わせたくなる。『さんかく』はそんな小説です。

内容を説明する前に、おもな登場人物を紹介しましょう。

【高村 夕香】
アラフォーのフリーランスデザイナー。京の町屋で一人暮らしをしている。

【伊東 正和】
厨房衛生用品の営業職をしている。大学生の頃に夕香が働いていた飲食店でアルバイトしていた。

【中野 華】
大学院で動物の研究をしている。正和の恋人。

この3人を軸に物語が進んでいき、夕香→正和→華の順に視点が切り替わります。連作短編の形式になっており、それぞれのストーリーが数珠のごとくつながっているのが面白いところ。

物語は夕香と正和が京都の小料理屋で再会する場面から動き始めます。二人はアルバイトの先輩・後輩で、正和は料理上手な夕香のまかないを鮮明に覚えていました。

「ぼく、昔から高村さんのまかないが好きで」

酔った勢いでポロリとこぼれた一言がきっかけとなり、彼らは夕香が暮らす町屋でルームシェアをすることになります。

夕香と正和の関係はただの同居人であって、それ以上でもそれ以下でもありません。強いて言えば、一緒においしい物を食べたいから一つ屋根の下に生活している。それだけのつながりです。

やがて正和の恋人である華は「何かおかしい」と気づきます。自分の目が届かないところで正和が知らない女性と同居していると知り、二人の仲はこじれてしまうのでした・・・・・・。

華からすれば裏切られたと感じても当然の展開ですね。
しかし夕香と正和の間には男女の関係はなく、ただルームシェアをしているだけ。

第三者の目線で言うと、この物語は「名もなき中途半端な関係」を中心に構築されています。
家族・友人・恋人。夕香と正和はどれにも当てはまりません。でもお互いに何となく居心地がいいから同居している。

彼女がいるのに別の女性と暮らすのはいかがなものか、と正和の行動に納得できない読者もいるでしょう。それがいいか悪いかはさておき、せめて華に事情を説明してから行動するべきだったでしょう。
(たぶん理解してもらうのは難しいですが・・・・・・)

華に同情する人から怒られそうですが、私は「いいな~、正和」と思いながら読んでいました。夕香の作る料理はどれもおいしそうで、本当に食べたくなるのですよね。
男女問わず、料理上手な人がモテる理由がわかりました。胃袋をつかむのは最強の戦略かもしれません。

誰かとつながりを持てば、もれなく煩わしさもついてくる。その反面で、楽しいことも増える。
何を食べるかより、誰と食べるかのほうが大事なのかも。

そんなことを考えながらページをめくっていたら、あっという間に読み終わってしまいました。

在宅ワークだと食事が適当になりがちなのですが、もっと一食を大切にしなければと反省させられた次第です。

印象に残ったシーンは数多ありましたが、とくに夕香と正和が最後に手巻き寿司を食べる場面は寂しくなりましたね。
あぁ、これが彼らのお別れ会なのか。もう一緒に食卓を囲むことはないのか。

あえて詳しく語りませんので、気になる人は小説を読んでみてください。
後味はスッキリ、最後までおいしかったです。

今回はこれにて〆とします。
また面白い小説を見つけたら読書記録を書くかもしれません。

最後までご覧いただき、ありがとうございました~('ω')ノ









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池田 愛|埼玉の取材ライター
これからも読者におもしろいと思ってもらえる記事を目指して書き続けます。 サポートしていただいた分は書籍の購入費用に充てる予定です。