女子スキージャンプ選手紹介番外編
女子スキージャンプのパイオニア アネッテ・サーゲン(Anette Sagen)
女子ジャンプ界のパイオニア、アネッテ・サーゲンは女子コンチネンタルカップが始まった04/05シーズンから08/09シーズンまで総合優勝の座を守り続け、女子ジャンプが世界選手権初採用となった2009年のリベレツ大会では銅メダルを獲得した。
ノルウェー南部ヌールラン郡生まれのサーゲンは1986年生まれで11歳からジャンプを始めた。2000年にFISウィンターレディースツアーに参加、01/02シーズンの同大会では総合2位に入り頭角を表した。
男子選手に混ざってジャンプをしていたサーゲンは何故女性と言うだけで大会の参加が許されないのか理解できなかった。2004年、ジュニアWC(どのような大会かは不明)を制した彼女だったが、ただ女性であると言うだけでメダルも受け取れず、ナショナルチームに参加できなかった。試合後のインタビューではジョーク混じりの皮肉を語ったが、絶望的な気持ちになったと後に振り返っている。男子達のメダルセレモニーの後、ホテルの個室で彼女は自分自身を祝福した。
2004年3月6日、彼女はコンチネンタルカップのトライアルジャンパーとして、K-185m時代のビケルスンで174.5mのジャンプを飛んだ。(因みに本戦はマルティン・コッホが2試合目で表彰台、現在FINアシスタントのハコラなんかも出ている。当時は痩せてたんだ...)
フライングを飛んだ感想としては”世界で一番、最高にワンダフルな感情を得られる場所で何とも形容し難い。“と答えた。
しかしこの1ヶ月前の2月、FISスキージャンプ競技委員長Torbjørn Yggsethがサーゲンら数名の女子選手がビケルスンでトライアルジャンプを行うことに反対、大論争を巻き起こした。結果Yggsethが職を辞しこの論争は幕を閉じた。
サーゲンは2015年のインタビューで”Yggsethの事を傲慢で思いやりのない人物であるとは思っていない。ただ昔ながらの凝り固まった人物であると思う。“と振り返った。
Yggsethは騒動直後のNRKのインタビューにて”自分がサーゲンの立場であったら苦しむだろう。彼女は最終的に女子ジャンプのパイオニアとして成功を収めるはずだ。“と語った。
2011年世界選手権に向けオスロLHが改修、オスロ市によりサーゲンは改修明け最初のジャンプをする選手に選ばれたが、彼女がジャンプをする前日11人の男子ジャンパーが先立ってホルメンコーレンでジャンプを行なってしまった。サーゲン本人は先に飛んでしまった選手から謝罪を受けそれを冷静に受け止めたがノルウェースキー連盟会長とサーゲンの父が大激怒。連盟は先に飛んだ選手を一時的にW杯メンバーから外す処分を下した。ノルウェーでの騒ぎは収まらず、ジェンダーギャップに関する政治的論争にまで発展した。
2013年に慢性睡眠症候群を発症、直接引退の原因にはならなかったが少なくとも2016年秋までこの症状に悩まされている。
サーゲンは女子ジャンプ黎明期のノルウェーをマーレン・ルンビ、リーネ・ヤー、ヘレナ・オルソン・スメビと共に支え2015年3月、ラストジャンプもオスロで飛んだ。引退ジャンプはオスロ開催の女子W杯のハーフタイム中に行われ、NHKの中継でも彼女の最後の勇姿を見る事ができた。(元康さんの温かい言葉が印象的だったわ)
そして同時にスキーの発展に寄与した人物に贈られるホルメンコーレンメダルを女子ジャンプ選手として初めて授与された。
引退後、新たな職を探すにあたって看護師の職を見つけ、看護大学校へ通学を始めた。
”看護師は人々に生を与えると言う点で最も大切な仕事の一つだ“とサーゲンは語る。
競技生活中、沢山の怪我を経験してきた為このような考えが生まれたと言う。
現在スキージャンプ女子W杯が開催できている背景には彼女の様な先駆者たちの功績が非常に大きいと筆者は考えるため引退した選手だがここで取り上げるに至った。
現在は各国のテレビ局が女子ジャンプW杯を生放送しているが、かつては強豪国のテレビ局ですら録画放送で流すと言う時代もあった。日本も例に漏れずであり、ほぼ全ての試合が生放送になったのは16/17シーズンくらいだった気がする。(2015年12月の伊藤有希表彰台の試合がディレイだったから多分そう。俺はどうでもいい事ばっかり覚えている)
女子ジャンプの今があるのはサーゲンのような先駆者達のお陰である。(好きな選手で尊敬に値する人物だと思うから前から取り上げたかったのよねw)
この映画、ちょい役なんだがサーゲン本人がカメオ出演しています 予告編のうらる↓
https://m.youtube.com/watch?v=x6wUByaHHOc
ノルウェー選手紹介記事にするつもりだったが、サーゲンの項目が長くなったから分離しますた。
photo citation from
https://olympics.com/en/news/get-to-know-the-athlete-role-models-anette-sagen
出典
https://www.nrk.no/sport/sagen---synd-at-dette-overskygger-1.7021152
https://sykepleien.no/reportasje/2016/02/hopper-over-til-sykepleie
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