ヒールの靴を全て処分することになり、ふとスマホを見ると新宿ミロード閉館のニュースに寂しさで胸がいっぱいになった。
ハタチになった時に友人とふたり、ミロードでヒールの靴を買った。
ヒールデビューだ。
毎週末にご飯を食べていたフロアの店の名前はもう忘れてしまったというのに、好きなブランドの名前は脳が記憶するものなのかな。
買ったヒールを待ちきれなくてレストランフロアのあの窓際で開け、履いてみた。 クラシカルとボディコンシャスが合体したようなわたしにとって当時の神デザイナーズブランドのワンピースに「おでこ靴」の5センチの太いヒールはものすごくピッタリで胸がギュッとした。
友人はいつも色味の綺麗なカジュアルなニットを着ていて、ドラマに出てくるOLみたいだった。
彼女のヒールは歩くとコツコツと音がするタイプ(伝われw) ミロードはわたしたちの物欲のセンサーにバシバシ引っかかるファッションビルだった。
東口を出てブラブラとあのへんを歩き南口に行く前に馬券屋のおっちゃんらがいるあたりで一瞬緊張し、古い剥き出しの石の階段を上がるとミロードが見えてくる。
服や靴を見てモザイク坂のレイジースーザンでポストカードを選んだ。 坂に面したDJブースでは誰が回していたんだろう。
ミロードで買ったヒールで走ったりミロードで買った服でLIVEに行って跳ねたりした。
あったのだ確実にわたしにもそんな時が。
レストランフロアの端っこの窓から見える切り取られた新宿の夜。
好きに生きてこ 、これからも
ミロードからの短く力強いエールにわたしも心からのありがとうとさよならを。
グッバイ、ミロード。