むすめがないた
3歳のむすめが泣いた。自分が嘘をついたことに対して「ごめんなさい、ごめんなさい」と言いながら泣いた。
むすめは、リビングの机の上に置いてあった100円玉を、誰も見てないところで自分のポーチにしまった。
ぼくと妻は、無くなった100円玉を探した。どうにも見つからなくて、むすめに知らないか聞いた。むすめは知らないと言ったけど、むすめのポーチには、100円玉がはいっていた。
むすめは、前におばさんにもらった100円だと言い張った。怪しい説明だと思ったけど、確かめる方法がないので、むすめの説明を信じることにした。
お金をとることはとても悪いことだってこと。嘘をつくこともとても悪いことだってこと。その2つをを説明して、むすめをぎゅっと抱きしめた。
するとむすめは突然に、顔を歪めて泣き始めた。
「お金をとってごめんなさい。嘘をついてごめんなさい。」そう言いながら、うぉんうぉん泣いた。
その涙をみて、ぼくと妻も泣いた。
正直に打ち明けてくれたことが嬉しくて泣いたと思った。でもたぶん、それだけじゃない。自分がごめんなさいを言わずに済ませてきたあれこれについて、情けなく恥じる気持ちが、涙につながった。
ちゃんと「ごめんなさい」を言う姿は本当に尊かった。
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