Xのブックマークを整理する 狂気の戦術核兵器編
戦術核兵器と戦略核兵器の違いはご存知でしょうか?ざっくり言うと、他国の国土、生産設備、インフラの要となる空港や鉄道ターミナル、軍事基地、国民そのものを破壊することを目的とする核兵器が戦略核兵器。敵部隊や艦船、防御陣地などに対して用いられる核兵器が戦術核兵器となります。
アメリカとソ連/ロシアのように離れている場合だと、戦略核兵器と戦術核兵器は弾頭の運搬手段であるミサイルの射程や爆撃機の性能が全く違うのですが、冷戦時に想定された欧州戦線のように敵国との距離が近い場合は、戦術核兵器として想定された核兵器を戦略目標に使うこともあり得たでしょうから、弾頭の規模や運搬手段によって絶対的に区別できるというわけでもありません。
今回ご紹介したいのは冷戦初期に登場した戦術核兵器たち。基本的に戦術核兵器というのは、自軍の戦力不足を核兵器の大威力で補おうとするもので、すごく乱暴な印象を受ける物が多いです。その乱暴さ恐ろしさ「こんなものが実際に使われなくて良かった」という感慨を共有できれば幸いです。
まずは核爆雷と核魚雷。
数が多かったり、固い陣地に籠っていたり、発見が難しかったりと、普通なら容易に倒せない相手をとにかく核兵器の大威力で雑に倒してしまいたい、というのがまあ戦術核兵器を使いたくなる理由の一つだと思います。潜水艦なんかは発見しにくいし、攻撃しにくいし、というんで核兵器の力業でなんとかしたくなる相手なんでしょうね。
海での使用が前提のため、狂気度は低め(だからこそタチが悪いとも)。
Mk101ルル 1958年から配備された潜水艦を確実に撃破するための11キロトン核爆雷。水中に核爆弾を落とせば周囲の潜水艦は確実に撃破できる、規模のデカいダイナマイト猟みたいなもんだ。 pic.twitter.com/WtKuP8Fjgu
— 偏見で語る兵器bot (@heikihenken) August 11, 2024
Mk.45 魚雷 アメリカが60年台に開発した潜水艦が敵潜水艦を狩るための魚雷。でもこの時期の魚雷の誘導性能低いけどどうするの?核弾頭なら狙いが大雑把でも当たるやろ…と母艦が有線制御で誘導・起爆。なお射程が短すぎて自分も危険な模様 pic.twitter.com/r1zJsN31VM
— 偏見で語る兵器bot (@heikihenken) September 30, 2024
次に核弾頭搭載空対空ロケット。ミサイルではなく、無誘導のロケット弾です!まだ誘導できる空対空ミサイルは開発中で実用化まで時間がかかりそうでした。そして無誘導のロケット弾と機銃では敵爆撃機を撃ち漏らす可能性があります。そこで核爆発で敵編隊を纏めて吹き飛ばそうという乱暴な発想で作られたのが核弾頭搭載対空ロケット弾です。
AIR-2 ジニー 空対空核ロケット 世は正に大核兵器時代!あらゆる兵器が核の力で巨大な力を得ていた。もちろんソ連の爆撃機もである。一機でも迎撃しそこねたらアメリカの都市が消滅してしまう…なら迎撃機の搭載兵器も核弾頭にしましょうねー pic.twitter.com/HHH2c05j14
— 偏見で語る兵器bot (@heikihenken) September 30, 2024
核弾頭搭載の無反動砲。
歩兵部隊が簡単に運用できるように開発された核兵器。と書くだけで眩暈がしてきます。最初は肩に担いで発射できる感じにしたかったみたいですが、そこまでの小型化はできずに三脚で地面に設置するか、車両に搭載して運用されたそうです。実戦で使用されずに本当に良かった!
デイビー・クロケット戦術核兵器 歩兵部隊が運用できる核兵器というコンセプトからして狂っている冷戦の産物。ちなみに運用訓練ビデオには歩兵大隊の攻勢発起前に歩兵中隊隷下の運用班が発射する…ってそれ迫撃砲じゃダメなんですかね(困惑) pic.twitter.com/aYAvult17R
— 偏見で語る兵器bot (@heikihenken) May 17, 2024
核兵器を運用するのに核兵器そのもの以上に重要なのが、その弾頭を敵地に運搬する手段です。これは徒歩で敵地に潜入して、核爆弾を置いて戻って来る、というもの。脱出にはどれほどの時間を想定していたのでしょうか?
SADM(アメリカ)
— 試作兵器bot (@sisakuheiki) September 1, 2024
兵士がヨイショと背負い、敵基地に侵入して設置する小型核爆弾。小型と言っても重量は68kg。これを背負って潜入任務って、米兵さんも大変っすね。
時限式爆弾なんだけど脱出に手間取ったら...あっ…(察し) pic.twitter.com/v5ldcS9N9k
狂気に満ちた兵器を見続けるとまともに見えてしまうけれど、冷静にかんがえるとやっぱりおかしい!師団単位に核ミサイルを配備したりしたら、有事に偶発的に使用されてしまう確率は跳ね上がってしまうと思います。
MGR-1 オネスト・ジョン 冷戦期アメリカの戦術核ミサイルだ。少人数用のデイビーばっかりネタにされるけど冷静に考えると歩兵師団ごときが核兵器を運用するのも頭おかしいよなぁ。編成についてはペントミックでググれ、そして編成沼にハマれ。 pic.twitter.com/MQe4y4ERUW
— 偏見で語る兵器bot (@heikihenken) August 28, 2024
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