ドラマ「トロイ伝説(第3話)」感想
内容
ギリシャ軍が包囲戦に切り替え、農民や漁民や商人が襲撃される。食糧不足に陥ったトロイでは食料が配給制になる。トロイ側では包囲を抜けるための地下道を掘る。
王妃ヘカベーはヘレンに、ヘレンがギリシャ側に戻っても、トロイへの攻撃は終わらなかったと慰め、トロイの人々からの信頼を得るように助言する。
ギリシャ側の間者クサンティウスはトロイに閉じ込められたトラキア商人として、パン焼き職人の家に潜り込む。
助産師からの助言を受けても妊娠しないことに憤るアンドロマケ。
ヘクトルはパリスを道案内に、アンドロマケの実家でもあるキリキアへの救援要請のため、少数で密かに包囲を抜ける決意をする。
クサンティウスは犬を使って、場外のギリシャ側と連絡をとる。連絡を受けたオデュッセウスはトロイにアキレスを送り込む。
ヘレンとパリスが結婚したことを告げられ、激高して捕虜を殺してしまうメネラオス。
王室の食糧を市民に分配することを主張するヘレン。まずは自分の分を分けると宣言する。街に立ち、自ら穀物を配るヘレン。最初は遠巻きにしていた人々だが、ヘレンが戦争の原因が自分であることを認めると、人々もまたヘレンを自国の王族と認める。
子を授かるため自ら下町に出向くアンドロマケ。尋ねたのはかつてヘクトル、カッサンドラ、パリスを取り上げた助産師。助産師はパリスの出生を最後に王室から遠ざけられたことを話すが、理由は教えない。アンドロマケはその理由をヘカベーにも尋ねるが、ヘカベーは助産師としての能力のせいにしてはぐらかす。
キリキアにたどり着いたヘクトルは地下道を逆側からも掘ることを依頼し、了承される。ヘクトルに、ヘレンを奪ったのは神の意志だったことを告白するパリス。ヘクトルはキリキアに逃れていたトロイの元司祭から、パリスの出生の際にトロイ滅亡の予言があったことを告げられる。
アンドロマケはヘカベーのとりなしでヘレンと和解を試みるが、かえってこじれる。またヘレンはトロイの高官からも、あてこすりを言われる。
トロイへの帰途、元司祭の助言に従いパリスを殺そうとするヘクトル。しかしゼウスの視線に気づき、思いとどまる。パリスはギリシャ兵の襲撃に気づき撃退する。
ヘレンの寝室に潜入するアキレス。ヘレンはアキレスの質問に対して、必死で嘘をつきとおそうとするが、アキレスはその反応から援軍を求めた先がキリキアだと察する。ヘレンはアキレスの誇りに訴えることで、かろうじて連れ戻されることを免れる。
ヘレンの寝室から退出するアキレスと見送るヘレン、それを見てしまう下男。
アキレスはクサンティウスにヘレンを守るよう命令する。
帰還したパリスにヘレンはアキレスとの一件を言いだせない。
ヘレンの部屋から出ていくアキレスを見てしまった下男の悩み顔で〆。
時系列的感想(ドラマを見ながら思ったこと)
農民が襲われるシーンの次に、ヘレンとパリスの結婚式の様子を説明なしでカットインして、更にギリシャ軍に殺された遺体からの食糧不足の対策を話し合うトロイ王族のシーンにつなげる。この作品ではこういう感じで対比していく、あるいはスイカに塩をかけるような手法が多用されている感。
食糧不足でヘレンとパリスの結婚式では宴会を開けなかったもよう。
地下道の工事に参加するパリス。前回、会議にも戦闘にも参加できなかったから、と思ったら下女二人の介添え付きで風呂入ってやがる!下女を下がらせ、パリスのバスタブに入るヘレン。君まで泥水に引きずり込んだ、いえ自分で入ったのよ、ってなんか良い話風にされても、と苦笑してしまうシーン。
家族の問題と国の問題がのしかかるヘクトルに同情。
ヘクトルは現状、まだパリスを嫌っている。
思わせぶりに姿をチラ見せするアフロディテ。
ヘレンを簡単に受け入れてしまうトロイの民衆に、ちょっとチョロすぎと思わないでもないが、ここで時間をかけすぎると物語が停滞してしまうよなあ。
世間話のつもりでヘレンに娘の話を振ってしまうアンドロマケ。的確に地雷を踏みに行っている。自分は母に向かなかったというヘレンの言葉は、今度はアンドロマケの地雷を踏んでしまう。
海はどう思っているだろうとか、なんだか哲学的なことを話し始めるアキレス。イリアスでテティスに慰めてもらうシーンの替わりなのかな。
兵糧攻めに苦しむトロイ兵に食糧と家畜を見せつけ、略奪に来たトロイ兵に紛れてトロイに潜入するアキレス。このドラマのアキレスは賢い。
ヘレンの寝室に忍び込むアキレス!これは今まで見たことのないシーン。
かつてヘレンを巡って争った英雄たちの中にアキレスもいたことになってる。多くの物語ではアキレスはヘレンの結婚相手争いしたメンツよりは少し若いと思うんだが、ここらへんはそういうことになっている話もあるかもしれないので、うかつなことを言うとギリシャ神話ガチ勢に怒られるかな?
アキレスとヘレンの舌戦。僅かなヘレンの反応からパリスの行き先を突き止めるアキレス。本当に賢い。またアキレスの誇りに訴え、連れ去られずに済んだヘレンも強い。ただアキレスは堂々と生きてきた人だから、人目を忍ぶのは慣れてないのかも。
帰還したパリスは嬉しそう。やっとトロイのためにひと仕事できた。対してヘレンはアキレスのことを言いだせず、沈んだ表情。
視聴後の感想
今回の白眉はヘレンの舌戦2連戦。
アンドロマケと互いに和解したいと願いながら、逆鱗に触れあってしまう女二人。
トロイに援軍を出そうとしているのがキリキアだと知ったアキレス。力ずくで連れ出されるのは防いだヘレン。引き分けというか、目撃してしまった下男の一人負けというか。
黒人のアキレスも最初はちょっと違和感があったけど、すぐ慣れました。哲学者然とした賢いアキレスの方がイメージ違いだけど、これはこれで。
時系列の感想と重複するけど、アキレスがヘレンの部屋に潜入するのは、このドラマオリジナルの展開かなぁ。昔のヘレン争奪戦にアキレスも参加したことになっているし。
これが正典という作品が無くてバージョン違いが無数にあるのがギリシャ神話なんで、間違っているとか、解釈違いとかいうのは野暮なんですけどね(「タイタンの戦い」「タイタンの逆襲」(新しい方)を見た頃は、まだここまで思えなかったなぁ)。
第4話以降の感想はこちら
第4話の感想
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