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ウクライナ正教会は2つある!? 正教会について何も知らないことを思い知らされました。
先日、ウクライナ正教会がロシア正教会と絶縁したというニュースを見て、「今回のような主権を巡る戦争だと、国ごとに教会のある正教会ではそういう問題も起こるのだな」と考えておりましたが、今日になってTwitterのタイムラインに「ウクライナ正教会は二つある」というツイートが流れてきて、びっくりしました。
4)ウクライナには大きなもので2つの正教会組織がありますが、その中で唯一最大の親露的な正教会が、オヌフリイ府主教座下率いる自主管理教会ウクライナ正教会(図B)でした。
— Климент Китахара(北原)☦️ (@kliment_klimis) June 3, 2022
ここがロシア正教会からの独立を宣言した事は、ウクライナに親露正教会組織はまとまった形では消滅した事を意味します。 pic.twitter.com/POGA81bbOO
「ウクライナ正教会 独立」で検索すると、在ウクライナ日本大使館のサイトの記事がヒットします。2018年の記事です。最初「在日ウクライナ大使館」の記事だと思い込んで読んでいたのは、恥ずかしい勘違いでした。
ソ連崩壊後にウクライナの正教会は独立したウクライナ正教会を求める教会と、従来通りモスクワ総主教の元で活動する教会と、どちらにも与せず独立して活動する教会があった。
モスクワ総主教は独立したウクライナ正教会を求める派閥を破門し、他国の正教会にも同調を求めた。
2018年になって正教会の中心であるコンスタンティノープル総主教がウクライナ正教会がロシア正教会から独立することを認める動きを見せたため、モスクワ総主教が反発している。
この記事を要約すると、以上になります。
ソ連の崩壊で生まれたロシアとウクライナの国家意識や、正教会全体の中でのコンスタンティノープル総主教とモスクワ総主教のイニシアティブ争いなどが透けて見えて大変興味深いです。
話を2022年に戻します。
CNNの記事によると先ほどの在ウクライナ日本大使館の記事の後、モスクワ総主教はコンスタンティノープル総主教との関係を断つところまでいったようです。そしてウクライナ国内にはコンスタンティノープル総主教の元で独立したウクライナ正教会と、モスクワ総主教の元でロシア正教会と深い関係を保持したウクライナ正教会と2つのウクライナ正教会が併存することになったようです。
そして、ここが重要な点なのですが、今回モスクワ総主教との絶縁を宣言したのは、モスクワ総主教系の方のウクライナ正教会です。考えてみれば、コンスタンティノープル系のウクライナ正教会は、大本のコンスタンティノープル総主教がモスクワ総主教と関係を断っているので、今更絶縁を宣言しても意味はないですね。
とにかく2014年にロシアがクリミアを占領し、ドンバスの2州に侵攻しても親ロシア的であった教会が、ここへきてロシアに叛旗を翻した意味は大きいでしょう。大元のツイートのスレッドでは、モスクワ総主教系ウクライナ正教会の重要な修道院で、ロシア軍の攻撃により修道士・修道女の犠牲者が出たことが指摘されています。
書き始めた時は、タイトル通り「ウクライナ正教会が二つあるとか知らなかった。考えてみれば正教会って歴史に出てくるところだけで、現代の正教会については何もしらないなぁ」という内容にしようと思っていたのですが、予想以上に現在進行中の戦争が内容に入り込んでしまいました。
荒れそうな政治・社会の内容は避けていたのですがねぇ。
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