感想 世界史シリーズの反省と課題
「君たちに伝えたいこと教養編」で続けている世界史シリーズ。ここまで書いてきて、感じたこと色々。
まずは閲覧数が上がるのが単純に嬉しいし、スキも沢山いただいたので本当にありがたい。その中でも「みんなの世界史」さんという方からしばしばスキをいただいている。本職の歴史の先生だそうで、noteでも世界史関連の記事をあげておられる方だ。思いがけない専門家からのスキに身の引き締まる思いがしている。
世界史シリーズを始める前に「歴史は面白い?つまらない?」という文章で、高校の世界史は本当の歴史を学ぶための基礎トレーニングだからつまらないのはある程度仕方がないと書いた。そして退屈でも仕方ない筈の高校世界史を面白く説明してくれる先生を魔法使いに喩えた。
我流アマチュアの魔法使いとプロの魔法使いの差を、是非見ていただきたい。僕も多いに参考にさせていただいている。
このシリーズは子ども向けコラムとして、自分の子どもたちが世界史に興味を持ったら読んでもらう体裁で書いている。頑張れば12歳くらいで理解できるような文章で、語りかけ調の文体を意識していたのだが、最近それが完全に崩れてきている。読者のレベルを考えながら、表現を意識して書くのは思った以上にエネルギーがいるのだと思い知った。
文体はともかく、暴走して子どもには絶対ついていけないような文章を書いてしまわないように注意しなくてはいけない。前置きなく知っている前提で固有名詞を出したり、込み入った国際関係をペースを落とさず説明していったりは、既にけっこうやってしまっているので注意しなくては。
当初は手元に残してある高校時代の世界史教科書を(内容が変わっているところは注意しながら)まとめて、その後興味のある部分を詳しくやっていけばいいやと軽く考えて始めたシリーズだったが、そこはオタク気質の性でなんだかどんどん深みに嵌まって、まずは高校世界史レベルで一通りやって、それから各国史とか、テーマ史とかって最初の構想はどこへやら。
最新の世界史その8で言えば、最初はバビロン第1王朝を中心に、同じアムル人のイシン・ラルサ両王朝についてさっと触れておこうかと思っていたのだが、それが別の資料だとイシン王朝はアムル人の国じゃないとか書いてあったり、他にもアムル人の国が山ほど出てきたり、古アッシリアまで絡んできて、結局ウル第3王朝滅亡からバビロン第1王朝成立までの期間で1項目に肥大してしまった。だいたい山川リブレットの「ハンムラビ王」が面白すぎたのが悪い。
エラム人で独立した1項目を作るのだけは、何とか思いとどまった。世界史シリーズのナンバーのついたコラムではなく、テーマ史として取り上げるつもり。一通り終わってからにするか、途中でもどんどん独立したコラムを入れていくかは考え中。
せめてものオリジナリティーとして、教科書よりも細かく区切って、時代をわかりやすく理解できるような構成にしようとしたせいで、参考文献をあちらへ行ったりこちらへきたりして必要な記述を拾っていくハメに。楽しいけれど、ペースが上がらない。何とか紀元前2000年までの各地の状況をまとめた。これからは紀元前2000年紀前半の世界をまた一巡する予定。
世界史その2では世界史教科書を素直に読むとシュメール人はアッカド人に滅ぼされたように見えるけど、実際はそうではなくアッカド人は最初からシュメール文明の一員だったと論じた。中公新書「シュメル 世界最古の文明」のシュメール版中華思想についての内容や、シュメール王名表の早い時期にセム語の名前が出てくる事などから、ある程度確信を持って書いた記述だったが、まずは基本というコラムの性格からして、ちょっと攻めすぎだったかもしれない。Wikipediaなら独自研究とか要出典とかつけられてしまいそうだ。
最大の課題はペースだが、これについては楽しんでやれる程度をキープしながら、気長にやるしかないのだろう。
このコラム公開時点の、世界史シリーズの最新記事はこちら。
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