不人気地下アイドルが感じたアイドルの世界
タイトルの通り、私は地下アイドルをやってました。
本当に地方の地下なので、みなさんが想像してるものとはきっと程遠いものです。
先日、私がいたグループの現体制終了が発表されました。
"現体制終了"と言っても、私が活動してた時のメンバーが全員いなくなるということなので、実質解散。
新メンバーは取らず、徐々にメンバーが減っての今です。
久しぶりにアイドルだった頃のことを思い出して、私の経験と今の思いを聞いてもらいたくなりました。
誰かに響いてくれたら嬉しいです。
バレませんように。
生粋のドルヲタ
7歳か8歳。当時AKBが流行っていました。
毎日テレビにはAKBが出てて、クラスの女の子たちはAKBの話で盛り上がってて、
私もそれからアイドルヲタクになりました。
小学校高学年頃から現場に通い始め、
今に至るまで色んなアイドルの現場に通ってきました。
周りがジャニーズやイケメン俳優に移っても私はブレずに、
可愛くてキラキラした女の子の集団が憧れで、大好きです。
アイドルの職業体験
そうして大人になってくると、何故だか自分もしたくなってきてしまうんですよね。
やっぱり"憧れ"だから。
そこで私は、ある場所で小さな卵として活動を始めました。
表現するのが難しいのですが、お客さんの前で歌ったり踊ったりできる場所があって、
そこで少しアイドルっぽいことをさせてもらっていました。
最初はまあ本気じゃなくて。
悪く言えばお遊戯会みたいだけど、アイドルの雰囲気を体感できて、職業体験みたいでいいなって感じでした。
本格的にデビューしたいとは思ってませんでした。
そして、その場所で派生してたグループの新メンバーオーディションが開催されることになったのです。
小さな卵にも応募資格があり、受けてみることにしました。
合格者も何人出るか分からなかったので、まあやってみようくらいの気持ちで。
そしたら、なんと合格したんです。
正式には一度落選通知をもらったけど、色々あって復活合格しました。
卵になって4ヶ月。かなり早い出世です。
他の合格者は本当に顔が可愛い子2人でした。
本当に顔向けできる顔面じゃなかったので、この中でなんで受かったのかはよく分かりません。
でも、嬉しかったです。
初めてレッスンに行った日。衣装を手にした日。
メンカラを伝えられた日。
自分の名前と番号が入ったマイクを手にした日。
自分のポジションと歌割りを与えられた日。
アイドルになれる日が近づいているのが嬉しかった。
学校卒業の年だったので、やれて1年だと思っていましたが、
有難いことに親からも精一杯応援してもらえて、
就職せずに続けようと思っていました。
不人気
無事にデビューを迎え、事務所所属のアイドルとなり、
ライブが楽しくて、嬉しくて、幸せで。
でもなんだかモヤモヤしていたんです。
アイドルには序列があります。
人気不人気があり、それが数で目に見える世界です。
地下アイドルは主にチェキの販売数で測ります。
お給料にも繋がります。
新体制になってすぐの遠征。
オフ会という名のチェキの撮影会がありました。
ヲタクが希望のメンバーの券を買って撮影するのですが、
人気のメンバーたちとお金に余裕のあるヲタクで、"○枚積んだら離れた場所で特別な撮影をしよう"となりました。
私は券を買ってくれる人がいなくて、取り残されました。
撮影が終わるのを、同じ境遇のメンバーとお金に余裕のなかったヲタクで、静寂な空気の中待ってました。
これ入ってかなり序盤の話だけど、きつかった。
それから少しして、広告に使う写真を撮ることになった時。
全員で撮影した後、選抜メンバーだけで写真を撮ることになりました。
私は選抜メンバーになれなかったので、取り残されました。
6人いる中で何故か2人だけ取り除いて撮ったんですよね。
選抜メンバーと呼ぶのもどこか違う気がします。
これだけは本当に理解ができなかった。
結局使われたのは、私のいない写真でした。
"新メンバーだったから人気がない"というのもあるかもしれませんが、同期の顔の可愛い2人は既に人気でした。
それなのに、私の列には平均3人くらいしか来なくて。
私のメンカラのペンライトがなかったことも、
誰もチェキを撮りに来てくれなかったこともありました。
遠征で着いてきてくれるなんてほぼありません。
いわゆる、不人気メンバーだったんです。
見た現実
そういう世界だということは十分分かっていましたが、
こんな環境にいて悔しくないわけがありません。
辛くないわけがありません。
だからこの環境から抜け出したくて、作戦を練りました。
チェキの落書きに力を入れたり、ライブの映像を見て細かくダンスの修正をしたり。
他のメンバーのヲタクがその姿を見て少しずつ評価してくれるようになって、より頑張りたい気持ちが強くなりました。
それに反して、一緒に活動していたメンバーのうち、
2人はメン地下に通いつめて大金を使っていて、
1人はヲタクと繋がって車で送り迎えしてもらっていました。
ヲタクは全部知った上で目を瞑っていました。
しかし、こんな状況でも立場は逆転しなかったのです。
不真面目なメンバーだということを分かっていても、
その子たちの人気が下がることはなく、
真面目なメンバーだということを分かっていても、
私の人気が上がることはありませんでした。
不真面目なメンバー。分かった上で推し続けるヲタク。
真面目さを評価されても人気は出ない私。
これ以上何をしたら心を掴める?推してもらえる?
結局顔なのか?アイドルの世界どころか世の中は顔か?
別にセンターになりたいわけではありません。
人気No1になりたいわけでもありません。
でもこの仕事をやってる以上、最低限人に好かれる存在ではありたかった。
この何とも結果が出ずに先の見えない状況が続いてからは、ライブが楽しくても特典会が憂鬱で、
笑顔より辛さが顔に出てしまうようになってしまい、この世界で勝てる術を完全に見失いました。
卒業
加入してしばらく経った時。
当初考えていた"就活せずに続ける"をやめようと思いました。
スタートがだいぶ遅くなってしまいましたが、無事に就職を決め、卒業することを決めました。
(この後の話は別のNoteに続きます........)
事務所からの反対を振り切り、就職先の早期研修をしながら休みにライブに出る生活を続け、
アイドルでの時間を減らして、少しずつ普通の女の子に戻る準備をしました。
卒業を決めてからのステージは、とにかく1つ1つ噛み締めて立ちました。
そして、卒業ライブ。
私がアイドル人生で主役になれる最初で最後の日。
やっと最後に私のメンカラでいっぱいの客席が見れました。
今まで見た景色の中で一番綺麗で、今でも忘れられません。
後列からメンバーの背中を見て。
カラフルに光る照明に照らされて。
レスをすると返してくれる笑顔があって。
そんなライブが私は本当に大好きでした。
最後だということでこの日のチェキの列は伸びて、
有終の美を飾り、私はアイドルを辞めました。
努力も虚しく、1年でアイドルを辞めました。
絶対アイドル辞めないで
アイドルは、良くも悪くも夢を見させるものだと思っています。
そんなに潔白で純粋なアイドルはいません。
"そんなもん"だと思います。
だからこそ、繋がりや彼氏を晒されて解雇された子や、
否定してまだ籍を置いている子を見てもそう思います。
これだけ現実を一歩引いて見てしまうようになった私ですが、
今活動しているアイドルの方みなさんに対して、
どれだけ汚れていても、アイドルを辞めてほしくないと思います。
ただの地方の地下アイドルではあったものの、共演したアイドルさんがみなさんキラキラしていることには変わりなく、
規模の大小に関わらず、アイドルは素晴らしいと改めて感じました。
彼氏がいたって、繋がってたってまあいいです。
歌って踊って、ヲタクと将来アイドルになるかもしれない女の子に夢を見させてくれればそれでいいと思ってます。
ただのヲタクの視点では、裏なんて知る由もないです。
しかし、同じグループの中で潔白な子がいるとしたら、そのメンバーの視点では、そうもいかないはずです。
真面目に頑張ってる子には、心から報われてほしい。
不真面目な子よりも、もっともっとスポットライトが当たる場所でキラキラしていてほしいと思います。
真面目に頑張っている子が壊れてしまう、失ってしまう世界ではいけません。
もしそういう子を推しているのであれば、全力でヲタクが輝かせてあげてください。
裏で何をしていてもステージで輝いていてほしいけど、
純粋な努力を続けてる人が一番輝ける世界であってほしい。
ヲタクとあなたへ
最後に、ヲタクをしてる人に言いたいことがあります。
アイドルは推されて幸せです。
みんな口を揃えて言うと思いますが、本当にそうなんです。
少なくとも私は、自分のことを好きでいてくれて、
会いに来てくれて、喜んでくれる存在がいてくれることが本当に嬉しかったです。
だから、自信を持って推してください。
自分の気持ちはいっぱい推しに伝えましょう!
いついなくなるかなんて分からない。
後悔しないように推し活楽しんでください。
そして将来アイドルになりたいあなた。
辛いこともあったけど、アイドル楽しかったよ。
輝くあなたに会えるのを楽しみにしてます。