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やっぱり褒められたい

しばらく前のことなのですが。

ある日コンビニでKOIKEYA PRIDE POTATOの「柚子香るぶどう山椒」という商品を見つけました。なんだか魅力的なパッケージ。これは職場に持っていって皆とシェアしたい。そう思いました。ふふ、これで今日の話題は独占だよ。俺はほくそ笑んだ。

しかし実際にシェアしてみると、食べる人食べる人、みな川平慈英のように「ムムム」って顔をします。どうやら山椒の味が難しいご様子(個人差あり)

結局、職場で大して評判にならず、試食は終了。机に残るPRIDE POTATOの残骸が悲しい。

一方で同僚Kさんが持ってきた「ポテロング クレイジーソルト味」は大評判です。だってクレイジーソルトは美味しいものね。生まれる人だかり。Kさんへ湧き上がる称賛。そして心ない言葉が聞こえてきます。

まったくフミさんの持ってくるものは、いつもこれだよね、イマイチだよな、センス無いよという同僚の嘲笑。

変化球ばっかりだよね。直球があって初めて変化球が生きるというのにね。カーブ、カーブ、スライダー、カーブでフォアボールだよねという野球ファンの嘲笑。

ていうかもっと美味いの持ってこいってんだよこのダメ人間という(以下略)

ここで改めて思いました。もうアラフォーです。それなりの分別も備えています。別々の靴下をはくようなことはありませんし、ラーメンにチャーハンをつけるようなこともしません。ガチャに1万とかぶっこむこともないでしょう。分別とはそういうものです。

でもね、褒められたいのです。

フミさんってセンス最高だよね~とか、超趣味いいよね~とか、セレクトショップやったらカリスマ店長になれるよ~とか、そう言われたいのですよ。


っていう話をしたらですね、同僚の56歳とか、39歳も力強くうなずきました。

「そうだ!」
「褒められたいんだ!」
「最後に褒められたのいつだよ!」
「何で誰も褒めてくれねぇんだよおおおお」

二人とも家庭で全くこうパッとしないらしく、なんだか俺の言葉が胸を打ったようでした。ほとんど涙ぐむハゲとデブ。夜の10:30、仕事は終わりません。

ポテチという入口から我執と嫉妬を経て、最後には人間ドラマに到達したのですが、でもね、年とか性別とか関係なく、みな褒められたいんだと思うんです。いつだって皆褒められたい。お金とかも欲しいけど、とにかく褒められたい。

しかもこう、丁度良く褒められたい。受け止められるぐらいの良い程度で、褒められたいんじゃないでしょうか。


「フミさんって、ほんとトム・クルーズにそっくりですね♪」とか言われても受け止められないもんね。似てないし、それって褒めすぎだから。嘘だから。嘘は許されずいずれ貴様の舌の根を地獄の獄卒が抜くであろう。震えて眠れ。

ともかく、いやーフミさんの持ってくるお菓子はほんとにおいしいね、とか、それぐらいでいいんだ。

褒められたいです。

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