怪|2022-04-07
二〇一九年八月一〇日、ニューヨーク州の拘置所において「自殺の怖れあり」として厳重な監視下にあったはずのジェフリー・エプスタインが死亡しているのが発見され、自殺と断定された。
エプスタインは、一説にはその被害者が百名以上にものぼると考えられている未成年への性的虐待や人身売買の疑いで逮捕されており、自殺は公判中の出来事だった。
政財界からショー・ビジネス界まで、「グレート・ギャツビー」を思わせる派手な交友関係だけが知られ、そのビジネスについてはいまもって詳細が明らかにされていない謎の「金融屋」(ファイナンシャー)は、過去にフロリダ州・パームビーチの邸宅で無数の未成年の少女をレイプした疑いで起訴されているが、このときには不可解な司法取引で大幅に減刑され、不当に厚遇された禁固刑を送っていた。
のちにこれに疑問をいだいたマイアミ・ヘラルドの記者が独自に取材活動を開始、トランプ政権の労働長官までのぼりつめていた当時のフロリダ連邦検察庁アレクサンダー・アコスタらのエプスタインに対する法外な「配慮」を紙面で暴く。
沸き起こる世論を背に、この「大統領の友人」を今度はニューヨークの自宅で行われた未成年虐待で逮捕・起訴したニューヨーク州南部地区検察局は、被告側からの圧力を退けて一審判決を勝ち取るが、エプスタインの自殺はこの再審請求の手続きを目前にしたものだった。同房だった収監者は日中に急遽他の拘置所へ移送されており、二人居た所員は三時間にわたって職場を放棄していたという。
時の大統領ドナルド・トランプをはじめ、民主党の大統領だったビル・クリントンやアンドルー英王子までをその「ゲスト」として自宅や自己所有する島へ招待していたエプスタインの不可解な死はさまざまな憶測を呼ぶが、その真相は謎のままである。
また、こうしたゲストのなかにはマイクロソフト社の共同創業者ビル・ゲイツの名も挙がっている。ビル・ゲイツがエプスタインの自宅や島で性虐待をおこなったという訴えは存在しないが、のちにゲイツと離婚を発表したメリンダ・ゲイツはビル・ゲイツが過去にエプスタインの邸宅へ招待されていたことに対し、かねてより抱いていた「懸念」を解消できなかったことが離婚の一因だと話しているようだ。
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