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闘病記|2023-08-22

今回は、うでパスタが書く。

あっさりとCOVID-19に感染して、丸々四日間のあいだ何もできずに自宅で寝込んでいた。だいたいひとというのは自分の病は大袈裟に言うものだから半信半疑に聞いていたら、そのとおりの苦しさだったので感心した。
これでも予防接種を三度受けているのだから、流行の初期から中期に備えも情報もとぼしいなかで感染された方はさぞ不安な思いをされたことであろう。
そして感染の拡大がはじめに報じられてから三度目の春も過ぎ、「もううちはこのまま罹らないのじゃないか」とまで思い始めていたにもかかわらず、それはやはり単なる確率の問題であって、もうひといき感染に勢いがつけばふつうに感染するのだというあたりには、どうしても自分を世界の特異点だと思い込んでしまう自分自身の大衆性を見てしまった。なんとかしてこの罠を逃れないかぎり、私の物語もまた大衆の織りなす大きな物語へと回収されていくことを免れるものではない。

三日目にようやく回復への道筋が示され(示され、というかそもそも医者にもかかっていないのだから自分でそう思っただけだが)、起きている時間も長くなってきたので床でなにか本を読もうと思った。ロクに頭が働かないので読みかけた本はどれも手に着かず、こうしたときの常として副島隆彦の新刊を確認してみたらまた二ヶ月に一冊ぐらいのペースでたくさん刊行されていた。副島隆彦が自分で言っているが、彼にはもう蓄えがないのでとにかく書いては売り、売っては書きしないとやっていけないということなのだろう。それでも出版社各社がそれをいちいち本にしているのだから、それは立派なことだと言わなければならない。この点は孫崎享も認めている。

副島隆彦とこんどで七冊目の対談を出した佐藤優は大病を患い、しばらく前からはがんの治療・闘病中だということのようだ。このふたりの関係、特に佐藤が副島のことをどう考えているのかはいままでどうもはっきりしなかった。現在は多くの方もご存じの通り、ウクライナに侵攻したロシアに対する評価やその情勢分析をめぐって佐藤へ世間の風当たりは強く、一方で変人の特権ともいうべき放言を繰り返す副島に発言の場を借りているような格好がはっきりしている。もっとも、その話す内容は佐藤が鈴木宗男とのやはり対談で語っていることとまったく変わらない。

佐藤の主張する骨子はいずれも以下の通りである。

1.ウクライナ戦争は、米国がウクライナ(とEU)をコマにしてロシアと事を構えさせたことに端を発している。

2.米国の狙いはロシアの弱体化であり、同時に米国は副産物として欧州向けLNG輸出量の拡大という果実を得て経済成長の恩恵に浴している。

3.アフリカのすべての国を含め、多くの国が欧米のロシアに対する批難・制裁には冷ややかな態度を示しており、実際に経済制裁は効果を発揮していない。ロシアの継戦能力には問題がない一方、ウクライナのそれは欧米からの細々とした逐次的な支援に全面的に拠っており、その意味するところはあきらかである。

4.ゼレンスキー政権の戦争目的であるクリミア半島を含む被占領地域の奪還は実現不可能であり、米国により管理された戦争でウクライナは引き続き人命を損耗し続ける。早期停戦だけが国民の命を救う手立てである。

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