過大評価されすぎじゃね?カード3選(アグリコラBGA環境)


はじめに

 BibisuraことEeveeです。今回は、BGAアグリコラにおいて、自分の中で「このカード過大評価されすぎじゃね?」と思っているカード3枚について紹介いたします。なお、以降評価をする上での前提となるゲーム環境については以下の通りとなります。

・追加スペースあり
・10-7ドラフト・同時
・すべてのカード

1.個人教師

 本記事を書こう!と思ったのは、この『個人教師』の弱さを語りたかったという点が大きいからであります。

地味に謎ポーズをしている

 「小麦の種」というマイナースペースを踏む度に小麦を貰いながら職業が出せるのでぱっと見たところ強いと思いがちですが、そのための手数を考えてみると思ったよりも出力が低いことが分かるかと思います。

 たとえば、1ステージ目に職業を並べて小麦を2撒きしたい場合、授業『個人教師』⇒小麦の種x2、畑x2、穀物活用の6手が固定になるわけですが、飯行動、増築用資材の2点において大きく出遅れを取っている形になります。これは中盤においての大きな負債に繋がってしまい、他の人は増員しているためアクションスペース「授業」を2-3手目に踏んでも良いが、自分は増員ができていないため相手の「授業」よりも先にそのラウンドでの手数を終えてしまう、となることが容易に想像できます。

 また、1ステージ目から職業を多く並べたいプランの場合においても、アクションスペース「集会所」を踏んでしまうと5手目に自分の2ワーカー目を置くこととなり、『個人教師』の効果が発動しないため、実質的に小進歩を序盤から打てないというデメリットもあります。また、職業を出す度に手に入る小麦に対して有効なアプローチがないと、結局は『市場長』の下位互換になってしまっているわけです。(『市場長』は職業プレイ条件が他人依存にならない点が大きい)

 そして、アクションスペース「小麦の種」でのコンボにおいては、序盤は増築増員に向かいながら、隙間の手で『個人教師』出してからコンボを狙っていくことが基本の動きとなるわけですが、全員の増築増員が一段落付き、点数行動を目指していく3-4ステージというのはアクションスペース「授業」が人気になることは少なく、『個人教師』の条件を満たすために自分で「授業」に行かなければいけないという本末転倒な展開になることが多いです。

 結局のところこのカードが抱える問題点としては、
 ①序盤から職業を並べる場合においては増築増員に向かう他プレイヤーに建築資材を多く渡すことになり、その結果中盤で『個人教師』の条件を満たす前に自分の手数が尽きてしまう
 ②コンボプランの場合においてはカードの性質上増築増員をしてから打たなければならないのに、相手依存のため自分で「授業」⇒「小麦の種」と踏まされるケースが多く、バリューが発揮されにくい

 という2点にあります。この2点の制約が非常に重く、個人的にはかなり評価を落としているカードとなっています。それでも、コンボや拡張性の高さ故に避けるほどのカードではないのもまた事実です。上手く他家をコントロールしながら使う必要のある、非常に難しいカードであると認識しています。


2.木骨の屋敷

 1木1レンガ2石1葦でとんでも打点を出せる可能性のあるロマン性の高いこのカード。

将来住むならこんな家がいい

 初手で木補助・増築補助がなくてもピックするような人も多いカードかと思います。しかしこのカード、本当に出力高いか?と個人的に疑問に思っているカードになっています。

 確かに増築補助と噛み合った時には5-6点の出力を単体で確保でき、小進歩で出すことができる最高峰の打点カードになるでしょう。ただしその場合、資源の確保手段をどうするか問題が発生します。各資源に対しては以下の通りになります。

〇6軒までどうやって増やすかが本当に難しい。いくら増築補助があるとはいえども10木以上は必要となる(家具職人小屋を除く)。また、葦の供給手段も重要であり、葦補助なしで11葦(増築用8葦+改築用2葦+進歩用1葦)集めるのは至難の業である。
〇木の家5/6軒を改築させるための5/6レンガを集める方法をどうするのか。4レンガ踏めなかった場合、2レンx3手かかり、その上で改築までたどり着く必要がある。
〇そもそも石補助がないレンガの家6軒を改築させるための6石を集めるのがかなり厳しく、その上さらに2石を追加で集めるとなると、必要となる手数はかなり多くなる(2石で取れたとしても4回踏む必要がある)。

 上記の通り全ての資源に対してのアプローチが必要であり、実は上振れを掴むためにはかなりの噛み合いを待たないとならないことが分かると思います。そのため、ドラフトの初手で上振れ狙いでこのカードを取っていた人は、別のもっと簡単に出る盤外点のカードや手圧縮のカードを意識すると、上振れに頼らず得点を出せるようになるでしょう。

 逆に、2-4手目であれば、手札との噛み合いが良ければ十分採用圏内のカードであります。このカードの説明に書いた通り、1枚で特大打点を出せるカードは1位狙いには非常に重要になるからです。どのカードにも通ずることですが、ピックしたからと言ってそのカードを無理やり出すのではなく、適切な付き合い方をすることでしっかりと自分の盤面完成を目指すことを狙っていく方が良いです


3.雇用契約

 右側のアクションスペース「授業」および、その下に位置するアクションスペース「日雇い労働者」の両方が空いている場合、両方の効果を得て占有済みにするカード。このカードの利点は職業コンボにも日雇いコンボにもつながり、ドラフトの受けが多いことが挙げられます。これはコンボの受けが広いという特徴は職業カード『薪切り』『水辺の労働者』等にも通ずる部分があり、コンボ狙いのドラフトの価値を押し上げてくれています。

羽ペンの書き心地ってどうなんでしょうね?

 さて、このカードはコンボ材としては非常に強力なのですが、日雇いがコンボしなかった場合においては職業『パトロン』と行っていることが同じであり、実はそこまで強くありません。そのため、無理にアクションスペース「集会所」を踏み、このカードを出すのは得策ではありません。抑えておくと良いポイントとしてこのカードを出したからといって増築増員ルートよりも強い動きになることは少ないという点です。

 職業を多く出すルートというのは性質上、増築増員をし終わった後から始めたほうが手効率が良くなるケースが多いです。なぜならば、序盤から出したいカードというのは累積アクションスペースを参照するカードや、コンスタントに増築に向けた有益な効果をもたらすカードです。
 それ以外のカードを序盤から無理に出すのは、序盤の増築増員レースに必要な資材の供給が遅れ、その結果として中盤の潤沢な資材を取る機会を損失してしまうことに繋がります。

 さて、では序盤の増築増員のための資材集めが遅れるというデメリットがある上で、このカードを無理やり出そうとするとどうなるかについてはもうお分かりかと思います。ただでさえ取れていない資源を取る1手すらも失ってしまい、確かに手元に食料はあるけれど、結局何もできていないという最悪な結末を序盤から迎えるわけです。アグリコラは拡大再生産が非常に重要なゲームであり、序盤に出遅れるとそのまま終盤までディスアドバンテージを抱え続けることになります。

 裏を返せば、無理にこのカードを出そうとしなければ職業『パトロン』と同等の活躍を見せてくれるということです。きちんと序盤から増築増員に向かい、それが終わった後に職業を並べていくように心がけると良いでしょう。序盤から職業を並べる展開を好む人は、このカードは相性が良いように見えてその実そこまでの手圧縮ができていないことを念頭に置くと良いです。


おわりに

 以上が、ぼくの考える「過大評価されすぎじゃね?」カード3選です。

 これらカード以外にも共通して言えることですが、自分の手の流れを変えてまで無理やりカードを出す行為というのは、ほとんどのケースにおいて損をしていることが多いです。各カードの強い使い方・弱い使い方をそれぞれ知り適切な距離でフラットにカードと向き合うことで、よりドラフトやプレイに安定感が出るようになります。

 まずは自分の中の固定観念をなくし、本当にこの立ち回りでいいんだろうか?という思考・反省をリプレイ検証や強いプレイヤーの立ち回りを見ながら、知識や経験を蓄えていくことが、実力向上につながると思います。

 ここまでの長文を読んで下さった方、本当にありがとうございました。ご意見等ございましたら、こちらのコメント欄、または私EeveeのTwitterアカウント @eevee3142 までよろしくお願いいたします!

つい先日(11/21)はイーブイの日でした。ギリギリ間に合わなかった


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