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宮下酒造(岡山)

 岡山県で1995年からクラフトビールを醸造している宮下酒造は、1915年創業の清酒蔵。100年以上の時を経て、現在は日本酒だけでなく焼酎やジン、ウイスキーなど、何でもつくる総合酒類メーカーに成長しました。

 そんな宮下酒造のクラフトビールブランドが「独歩」です。信念あるビールづくりに独立独歩、邁進していこうというのがネーミングの由来なのだそう。
 同社を取材させていただいた際、とりわけ印象的だったのがヘッドブルワー・伊藤泰信さんの次のコメントでした。

「酒は厳密に言えば、タンクごとに味が変わるデリケートなものです。同じように仕込んでいるつもりでも、微妙な違いは必ずあります。それは、普段あまりお酒を飲まない人にはわからない程度のささやかな違いに過ぎないかもしれませんが、だからこそ、心から美味いと思える酒が仕上がった時には、この仕事の面白さを心から実感するんです」

 酒づくりへの情熱と愛情を存分に感じさせるこの言葉を聞いたあとに飲んだ独歩ビールが、いつも以上に美味しく感じられたことは言うまでもありません。

 なお、同社では過去に、独歩ビールを蒸留、熟成した「ビアスピリッツ独歩」もリリースしています。ホップが使われているためウイスキーではなくスピリッツ扱いながら、麦芽を主原料とするこの蒸留酒、今ではすっかり激レア品。もしも運良く出会うことがあるなら、クラフトビールからの派生品としてぜひ味わってみてください(美味しいですよ)。

〈Text By Satoshi Tomokiyo〉

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