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ヘリオス酒造(沖縄)
「ヘリオスビール」を醸造するヘリオス酒造は、まだ沖縄戦の残滓が色濃く残されていた1961年の創業で、当時は地場のサトウキビを使ったラムの製造がメインでした。
その後、ハブ酒や黒糖酒、泡盛などにまで品目を広げ、やがて1994年の酒税法改正(ビールの小規模醸造、つまりクラフトビールの解禁)に合わせてビール事業をスタート。
オリオンビールが売り上げを伸ばす中、沖縄におけるビール事業は非常にハードルの高いチャレンジだったのではないかと想像します。
しかし、同社の松田亮社長は、「うちはもともとクラフトビール解禁(酒税法改正)前からビールの研究を進めていて、90年代の初頭からドイツやベルギーへ視察に行っていました。ビールづくりはかなり早い段階から構想していた悲願なんですよ」と語ります。
つまり、オリオンビールの好調に乗っかろうとしたわけではなく、「ビールの奥深さをもっと沖縄の人たちに伝えたい、その一心でした」というのが情熱の源泉。
ところで、ヘリオスビールを語る際、真っ先に思い出される商品があります。「ゴーヤーDRY」というビールを、沖縄料理店などで目にしたことがないでしょうか? ホップで苦味を出せるならゴーヤーで苦味を出してもいいじゃないか、という着想で生まれたこのビール。一見キワモノのようでありながら、確かにしっかりビールになっているのが印象的です(※正確には発泡酒)。
取材に訪れた際、職人肌の松田社長は「メソポタミア時代からつくられているビールですが、ホップが使われるようになったのは比較的最近のこと。それ以前はハーブの類いが使われていたそうですから、ゴーヤーを使うのはさほど不自然ではないでしょう。むしろ、苦味のある天然の素材と考えれば、ゴーヤーを使ってはいけない理由などひとつも見当たりません!」と胸を張っていたことが思い出されます。
〈Text By Satoshi Tomokiyo〉