見出し画像

ガハハビール(東京・東陽町)

 地下鉄・東陽町の駅からほど近い団地の中。帰宅途中の主婦や子供たちとすれ違いながら奥へ歩いて行くと、早くも店内から快活な笑い声が聞こえてきます。
 2017年、江東区で初めてビールの醸造免許を取得したガハハビールは、そんな変わった立地で存在感を放つマイクロブルワリーです。

 オーナーの馬場哲生さんは、長らく映画監督を目指して映像の世界に身を置いた後、数年前に調理師に転身した変わり種。居酒屋やマイクロブルワリーで経験を積み、このガハハビールのオープンに漕ぎ着けました。
 それにしても、なぜ団地の中で醸造所をやろうと思ったのか?

「とにかく坪単価が安かったし、何より更新料がかからないのが魅力で、すぐにこの場所に決めました。自分で商売を始めるなら、ランニングコストを抑えることが何よりも重要だと思っていましたからね。それに、クラフトビールだからといって、あまりこまっしゃくれたことはやりたくなく、誰もが気軽に楽しめる場にしたかったんです」

 そして、何と言ってもこのブルワリー名。ガハハビールという名称は、馬場さんの豪快な笑顔そのままのイメージですが、これは「修行先のブルワリーの先輩が、『お前がやろうとしていることと、お前の笑い方を組み合わせて、これしかないだろう』と命名してくれたのが始まり」なのだそう。

 数ある酒の中でも、笑いながら飲むのにうってつけなのがビール。下町の団地に現れた笑うブルワーのビール、ぜひご賞味ください。

〈Text By Satoshi Tomokiyo〉


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?