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#40 【米国スタートアップ】AI時代の聖地、サンフランシスコへ!全ての夢を叶える”パラレルキャリア”戦略
海外で活躍する20代の日本人女性にフォーカスするポッドキャスト番組『海外ではたらく私たち20’s』。今回のゲストは、日本の高校を卒業後、アメリカのコミュニティカッレジを経てカリフォルニア大学バークレー校に進学し、現在はサンフランシスコのスタートアップでソフトウェアエンジニアをされている、田渕悠さん(27)です。
この記事ではアメリカで働く現在のお話をお伺いし、多様な選択肢と挑戦する勇気をお届けします。
自己紹介
はじめまして!田渕悠と申します。
千葉県出身で日本の高校を卒業後に渡米し、語学学校を経て、カリフォルニアのコミュニティカレッジに進学しました。3年で卒業した後、UC Berkeleyに編入し、コンピューターサイエンスを専攻しました。2年で学部を卒業した後、新卒から現在までサンフランシスコのスタートアップでソフトウェアエンジニアとして働いています。
この記事では、大学進学時まで英語も話せず、ほとんど海外経験もなかった私が、どのようにして海外で働いているのか、そのリアルをお話しします。私のエピソードが、皆さんの挑戦の一歩につながれば嬉しいです。
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サンフランシスコのエンジニアとして働く日々
私は現在、Weights & Biasesというサンフランシスコのスタートアップで働いています。AI開発や機械学習を行うエンジニア向けのソフトウェアツールを提供している企業です。エンジニアが効率的にモデルが作れるよう、大量のデータを可視化し分析を容易にするサービス強みで、ChatGPTを開発しているOpenAIもクライアントの1つです。
私は10人弱の小さいチームに所属しているのですが、チームメンバーはスイスのSpotifyで働いていたものの大量レイオフをきっかけにキャリアチェンジされたシニアレベルの方や、育児と両立する方など、年齢や性別もさまざまです。また、優秀な人が昇進する文化が根付いてるので、私の上司は同い年の女性なんです。とても優秀で、大学在学時から10社でインターンシップを経験していたようなタフさを持っています。
チームは8人中6名が男性で、全社レベルでも60%は男性が占めると思います。ですが、管理職には女性が多く、マネジメントもコーディングもバリバリこなせる方ばかりです。働き方としても、リモートワークが可能なので、皆さん子育てと両立したり、育休や産休の取得率も高いと思います。社員もリモートワークを活用し、全米各地から好きな時間に働いている印象です。
私は、本社の近くに住んでいるので、無料で提供されるランチのために毎日オフィスに通っています(笑)アメリカの特にテック企業のオフィスは、アメニティがすごい充実してるんですよね。無料のランチに加えて、飲み物やお菓子類も豊富に揃っていて、お気に入りポイントです!
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有給休暇がUnlimitedの働き方改革
「スタートアップ=無休で働き続ける」印象を持つ方もいらっしゃるかもしれません。ところが、私の会社は非常にワークライフバランスを大切にしていて、みんなしっかり休むんです。以前の上司も3週間のハネムーンに行ったり、社長自身もバケーションを取得しているので、他の社員も「上長が休むなら、私たちも休んでいいんだ」と思えるんですよね。
さらに、私の会社は有給休暇が無制限なんです。休暇を取得し放題で、休みたい時に休むことができます。ただ、無制限だと逆に「いつでも取れるから今度でいいか」という心理が働き、有給の取得率が低下するというデータもあるみたいです(笑)業績も上がってるようですし、社員がお互いに信頼しあっているからこそ、成り立っている仕組みですね。そのためにも、採用は妥協せず徹底的にこだわっているようです。
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新卒も年収1億円越えの米国テック事情
私の企業の本社はサンフランシスコに位置しており、FacebookやGoogleなどが集まるシリコンバレーにもアクセスが良い立地です。この地域一体はスタートアップも多く、ハッカソンなどが盛り上がっています。就業後に同僚とミートアップに参加して、エンジニアのフィロソフィーを語り合うなど、熱量が高くエネルギッシュな風土が魅力的です。
ベイエリアには、テクノロジーの第一線で活躍する優秀なエンジニアが集まります。そのため、集まるお金も桁違いで、エンジニアの年収が他の地域と比較して非常に高額になります。新卒エンジニアの平均年収は1500万円で、毎年20−30%ずつ昇給するイメージです。そこにストックオプションなどを含めると、2000万~3000万円相当になることもしばしば。今注目のAIを専門とする優秀なエンジニアの場合、新卒や数年目の若手の年収が1億円を超えることも珍しくありません。
私自身もアメリカ進学のために銀行から1000万円のローンを借りましたが、就職後に2年半で完済しました。その間、生活費以外をほぼ返済に充てましたが、アメリカのソフトウェアエンジニアとして就職した恩恵もあったと思います。
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働くモチベーションの源泉
とはいえ、全員が派手に豪遊しているわけではないです。1億円を稼ぐ人もスウェットで通勤していたり、外見では分からない人が多いんですよね。見せつけない謙虚さもまた良いなと感じます。
このように、コンピューターサイエンスはお金が集まる分野なので、周囲にもお金を稼ぐ目的でエンジニアを志望する学生がいました。ただ、そのような人たちは途中で辞めてしまうケースが多かったですね。お金だけを目的とするのではなく、楽しさや面白さを見出せないと長続きは難しいのだと感じます。私自身も「エンジニアとして大丈夫なのかな」と思うことが多々ありますが、とにかく頑張るというスタンスで何とかここまで来ることができました。
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一時帰国の逆カルチャーショック
アメリカに移住してから10年が経ちますが、最近は一時帰国のタイミングで逆カルチャーショックを感じることが増えてきました。
例えば、街中の広告の多さには驚きますね。リモートワークを活用し、年に3~4回ほど帰国しているのですが、そのたびに広告の多さが印象に残っています。タクシーでも電車でも、どこを見ても広告が流れ続けている気がして、心が疲れてしまう時があります。
アメリカは車通勤の人も多いので、高速道路沿いの巨大看板が広告として機能してます。サンフランシスコは、電車の待ち時間などに立ち止まって広告を見る時間があまりないんですよね。バス停や駅に広告があっても、ガラスが割れていたりステッカーが貼られていたり、治安が良くないので広告として機能していない気がします(笑)
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将来の夢はエンジニア、セラピスト、不動産……
将来のビジョンとしては、アメリカで働き続けながら、リモートワークを活用して年に何度か日本に帰るスタイルを継続したいと思っています。アメリカにいる時の方が自分自身に全てのリソースを割くことができますし、のびのびできる感覚も気に入ってます。
仕事はソフトウェアエンジニアとしてのスキルを伸ばしつつ、前編でお話した心理学の勉強をリベンジしたいです。過去に1度、燃え尽き症候群を経験した時に心理学を学んだことがありました。その際に心理学の面白さを感じると同時に、メンタルヘルスの重要性も認識したんです。
今の会社には満足しているので、いつかはソフトエンジニアを本業としながら、大学院で心理学を学び、サイドジョブとしてセラピストして働くことが夢です。そして、チャンスだと思えるタイミングが来た時に大企業に転職するなど、臨機応変に対応していきたいです。
また、不動産のモデルルームを見るのが趣味なので、いつか不動産にも関わってみたいですね。やりたいことは尽きないです!
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ロールモデルは70歳のパワフルお母さん
プライベートでは、結婚や出産も経験したいです。
日本では結婚や出産を機に、年齢を強く意識する方も多いかもしれません。ですが、私自身は年齢による区切りをあまり意識してないです。というのも、アメリカでは採用時に年齢を聞いてはいけない法律があったり、敬語や上下関係の文化も薄いので、「30歳までにこれをしないと」というような、年齢を区切りとする風潮が少ないんですよね。
また、母の存在も大きく影響しています。70歳を迎えた母は結婚相談所を7年以上運営したり、朝6時からZoomでMTGしたり…と凄くパワフルなんです。そんな母の姿を見ていたので「年齢は関係ない」というのが私の価値観に結びついていると感じます。
若さも大切ですが、年を重ねるにつれ豊かになっていく知恵や経験も沢山あります。それを踏まえると、「人生ここまで」と限界を作ってしまうのは勿体無いと感じます。私のように英語が全く話せなかった人でも、アメリカで働けることを知ってもらえたら嬉しいです。
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読者へのメッセージ
諦めないで人生楽しみながら色々挑戦してみよう!というメッセージを送りたいです。他の誰かにできて自分にできないことはないと信じて、これまでたくさんの挑戦を重ねてきました。
一方、人と比べすぎないことも大切。私自身、UC Berkeleyに通っていた時に周囲の優秀な同級生と比較して落ち込むことがありました。ですが、昨日の自分よりも今日の自分が成長できているならそれで十分だと思うんです。他の人と比べないで、諦めずに色々なことに挑戦することが大切ですね。
そして、最後に感謝の気持ちを忘れないこと。毎日を平和に過ごせるのも当たり前ではないです。たくさんのサポートのおかげで自分が成り立っているので、私も日々感謝を忘れずにら毎日を生きたいと思います!
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📢 悠さんからのお知らせ
①Podcast:おぷてぃみマニアの雑談室 〜20代女子の赤裸々トークを盗み聞き〜
親友と2人でPodcastを配信しています。何気ない雑談や仕事、恋愛、人生について話しています。前向きな気持ちになれるポッドキャストなので、興味がある方は息抜き感覚で聴いてみてください!
②書籍:バイリンガルのITエンジニア英語
YouTuberでソフトウェアエンジニアのmayukoさんが執筆された本で、IT業界の英語表現が分かりやすくまとめられています!私もコラムに参加しているので、エンジニア志望の方やIT英語を磨きたい方はぜひ手に取ってみてください!
番組:海外ではたらく私たち20's
『海外ではたらく』に挑戦する20代の日本人女性をゲストに招き、日本社会の固定観念を覆し続ける彼女たちから、海外で働くまでのストーリーや現地でのリアルな体験談、将来のキャリアを伺う番組です。日本で生まれ育った彼女たちが異国でチャレンジする姿を通じて、リスナーの皆さんに多様な選択肢と挑戦する勇気をお届けします。毎週月曜日 朝7時配信
X(旧Twitter)
制作:BIAS
BIASは、固定観念が人々の可能性を狭めている現状への問題意識から、固定観念が覆る瞬間を創造し、「バイアスを超えた可能性を」目指すプロジェクトです。現在は、BIASの第1弾コンテンツとして、Podcast番組「海外ではたらく私たち20’s」の制作に注力しています。
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