便太郎のおもひでぽろぽろ【第4話】浦江飯店
参ったなぁ~
船長青年酒店以外の宿は調べてない便太郎。
雨に濡れるは、宿は無いわ…
もう踏んだり蹴たったりとはこの事。
アレ?
俺は踏んだり蹴たったりして無いよね?
踏まれたり蹴られたりが正しいのでは?
とロビーで妄想にふける便太郎。
と、そこに欧米人カップルが入って来た。
便太郎と同様、ため息と舌打ちのワンツーパンチで、
無慈悲に満室と断られていた。
チャンス到来!
おーい!
君たち、ここ満室だったでしょ?
何処のホテル泊まるの?
行くとこあるの?
と話しかけた。
ちょっとハイテンション過ぎたかな?
おいおいポン引きを見る様な目はやめろ!
俺はホテル斡旋業者ではない!
魔都上海で行き場を無くした可哀想な仔犬である事を伝えた。
お前も満室で断られたのか?
そうなんです。
しかも、あの無愛想な女が、近くの安宿とか聞いても、何も教えてくれないんですよ!
舌打ちとかしながら、明日来いとか言うんですよ。
態度悪いっすよね?
と同意を求めてみる。
が、それについては無反応…
ここから歩いて10分の所にもう1箇所、
安宿あるから一緒に行こうか?
おっ!良いね?近いじゃん。
是非是非お願いしますワンワン。
助かった〜
雨の中だが、いざゆかん!
欧米カップルも傘などささないのである。
大通りを歩き。
細い路地を抜け。
橋を渡り。
また路地を抜け。
全然10分で着かない…
いつつくんでしょう?
全身ズブ濡れとなり、
30分ほど歩いてようやく到着。
中に入るとなんか薄暗い。
天井も異様に高くて、
お化け屋敷みたいだな…
そんな第一印象だった。
とりあえず、ドミトリーは空きベッドがあった。
良かった良かった。
こうして記念すべき上海への第一歩を踏み出した。
天井が無駄に高く大広間見たいな所の横にある部屋とか、一部廊下にもベッドが置いてあってドミトリーとして使用されている。
ベッドは全て一段ベッドで2段ベッドは無い。
古いホテルだが趣があり、個人的に嫌いじゃないホテルだ。
ただいろいろ面倒臭いホテルではある。
チェックインして、濡れた服を部屋に置いてある、オイルヒーターの上に乗せて乾かしていたら、おっさんの服務員に、突然もの凄い剣幕で怒られた!!!
ここで服を乾かすな!!!
って言ってたんだと思うが、
実際は何言われたか全く不明…
部屋にトイレとシャワーが付いててバスタブもあった。
冷え切った体もすっかりぽかぽかで、バンコクのBIG-Cで買ったペタペタサンダルでウロウロしてたら、またまたおっかねー服務員がもの凄い剣幕でわーわー怒ってる!!!
どうやらサンダルでウロウロするなという事らしい…
そんなに怒らなくても良いじゃないか!!!
なんなんだよ上海…
やっぱり来るんじゃなかった…
あ~あ~
バンコクが恋しい…
勘弁してよ上海!!!
その後も…夜10時過ぎて起きてると怒られ…
そこの階段は上るなと怒られ…
とにかく何やっても怒られる。
初日だけで何回怒られたことか…
こうして魔都上海の夜は更けるのであった。
後で知ったのだがアインシュタインが宿泊したチョー有名ホテルで、浦江飯店と言うらしい。上海で初めての洋風ホテルなんだとか。
とにかく居心地の悪いホテルだった。
つづく