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【イベントレポート】特集12月2日『急にたどりついてしまう』

Not Born Yesterday 福間健二監督特集1969-2023 が始まりました!
初日の12月2日は、1995年の長編第1作『急にたどりついてしまう』です。
トークゲストには、テルオ役の北風太陽さん、カッチン役の川瀬陽太さん、制作の瀬々敬久監督とサトウトシキ監督の4人。28年も前のこととは思えぬ記憶とリアルさで、この映画を語ってくれました。

北風太陽さん

北風さん演じる立川ピストルズのテルオに何かアクセントがほしいということで、瀬々さんが「メロンパン持て!」(爆笑)と提案し、トシキさんも賛成。ところが福間監督は「秒で却下でした!」と北風さん。場内大爆笑です! 福間監督は、大木裕之監督の『あなたがすきです、だいすきです』1994年に主演した北風さんを見てオファーしたとのこと。いっぽう、カッチン役の川瀬さんは本作主演の、故伊藤猛さんの紹介で決まった。当時の川瀬さんは『急たど』が映画出演2本目。今日は、伊藤猛が主演した映画『きらい・じゃないよ2』(1992年、内田栄一監督)のTシャツを着ての登壇です。

川瀬陽太さん

さて、この企画はどこから来たのか? 
「福間さんはずっと映画を撮りたかった。それで僕らも応援することになった。でも、練習にピンク1本撮らせてからと瀬々が言って」とトシキさん。その1本とは、トシキ監督の『悶絶本番ぶちこむ‼︎』(原題「ライク・ア・ローリングストーン」)の脚本を担当したことです。それからすぐに『急にたどりついてしまう』の準備に入った。
北風さん「初日、居酒屋の店主役の原將人さんに、銭湯行こうって誘われて、その気になってたんだけど、撮影が長引いて銭湯行けずに、瀬々さんのところに泊めてもらいました」
瀬々さん「原將人を使ったのは、福間さんが言葉の天才なら、原は映画の天才、と思ったから。この映画には当時の福間さんが好きなものが全部入ってる。若松プロ的な撮り方、ブコウスキーほかいろいろある。13年後の『岡山の娘』はぜんぜん違っていて、手探りな感じがある」
トシキさん「デジタルということもあるだろうね。『急たど』では台本にはないところに凝るから、ときどきイライラしたよ(笑)。でもこれ以降の作品と『急たど』はやっぱり違う。フィルムだからかなあ。ダンディな映画で、カッコいい」
川瀬さん「夜の店の前の、猛の〈いきなりチュ〉は、本人のアイデアなの? 俺は、現場少なかったから、改めて見て、あそこはどうだったんだろうとかいろいろ思っちゃった」
トシキさん「どうだったかな、あそこは長く回したんだよね」
そして福間映画7作に通底するものについて語られます。
瀬々さん「リサ役の松井友子から最新作の七海役のくるみまでの、福間さんの女性観は一貫してるし、父の不在もいつもある。それから、いまここに生きるということ」
トシキさん「日活ロマンポルノの〈ここに生きる〉という命題のようなものと似てる。ほとんど女性が主人公というのは、俺には佐々木昭一郎につながるんだよね」

主人公の伊藤猛と監督の福間健二の不在のおかげか(?)、これまでとは違ってそれぞれが自由に語れたかのようなトークに、場内はにこやかな笑顔にあふれていました。
北風さん、川瀬さん、瀬々さん、トシキさん、愉しい時間をありがとうございました!
そして来てくださったたくさんのお客さまに感謝いたします!
語りきれなかった思い出話は、打ち上げの居酒屋でも延々と続きました。

Not Born Yesterday 福間健二監督特集1969-2023は、12月22日までつづきます。
新作『きのう生まれたわけじゃない』で初めて福間映画に出会った方も、これまでの作品を何度でも見たいという方も、ぜひポレポレ東中野に足をお運びください!

https://kino.brighthorse-film.com/NBYfukuma/

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